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戦国異伝供書

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第四十一話 人と城その一

                第四十一話  人と城
 晴信は幸村を含めた真田家の者達と会った、それが終わってから山本に対して会心の笑みで話した。
「わしは果報者じゃ」
「何故そう言われますか」
「ははは、わかっておろう」
 思わせぶりに問う山本に笑って返した。
「お主も」
「人が揃っておるからですか」
「そうじゃ、お主にしてもそうでじゃ」
 それでというのだ。
「次郎達身内にも優れた者達がおり」
「代々仕えておられる方々もおられ」
「老臣に若臣達も揃っておる」
「だからですな」
「これだけの優れた者達が揃っておるのじゃ」
 だからだというのだ。
「今の様に言ったのじゃ」
「そうでありますか」
「そうじゃ、それでじゃ」
 晴信はさらに話した。
「この優れた者達の力を使ってじゃ」
「そのうえで」
「わしは信濃をさらに手に入れていく」
「やはりそうされますな」
「佐久と上田も手に入った」 
 この二つの地がというのだ。
「ならば次は木曽と小笠原家となるが」
「殿、木曽家につきましては」
 山本はこの家についてはすぐにこう述べた。
「出来れば縁組をされて」
「そうしてか」
「当家に組み入れられては」
「そうじゃな、ではわしの娘をな」
 晴信は山本の言葉を聞いてすぐに述べた。
「嫁がせてじゃ」
「そのうえで、ですな」
「あの地を取り込もうぞ」
「木曽家自体も」
「そうしよう、あの地は大事じゃ」
「はい、木曽は木が多いので」 
 それ故にとだ、山本は晴信に話した。
「その木を切って売れば」
「薪に家にとな」
「木は何にでも使えまする」
「まさに幾らでも売れるな」
「信濃の中でも最も木が多いので」 
 それ故にというのだ。
「あの地の木を売りましょうぞ」
「ではな」
「しかもです」
 山本はさらに話した。
「あの地はさらにいいことに」
「美濃に進める」
「はい、あの地を手に入れますと」
「上洛も見えて来るな」
「ですから」
「必ずじゃな」
「手に入れていきましょうぞ」
「わかった、では木曽はな」
「これよりですな」
「本格的にじゃ」
 まさにと言うのだった。
「手に入れていこうぞ」
「さすれば」
「してじゃ、木曽との話をしつつな」
「小笠原家ですな」
「あちらに兵を進めていくぞ」
「小笠原家は信濃の守護です」
「当家と同じじゃ」
 甲斐の守護である自分達と、とだ。晴信はここで述べた。
「それだけにな」
「はい、あの家に従う者は多く」
「それなりの力があるな」
「諏訪家よりも」
 先に取り込んだ信濃のこの家よりもというのだ。 
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