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龍天使の羽撃き

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18

要塞内部に侵入した後は、キリトとエレリアに侵入口を斬ってもらい、天井を崩落させた。

これで追ってはこれまい。

まぁ、増援も見込めないが、シャフリやタイガならどうにかするだろう。

『ふむ。侵入できたのは…』

「一番ヴォジャノーイ! 要塞破壊はお手のもの!」

『二番キリト。えーと……タイマンなら』

『さ、三番リクです!』

『四番。アヤメよ』

『五番エレリアー。』

『…………………』

『……………六番チャンピオンキョウヤ』

『七番! オ~レ!』

キョウヤが七番男…もといランク7位のランディを見て名乗る。

ちょうど7人だったし七番が欲しかったんだろうなぁ…。

「よーしのってくれてありがとう。キョウヤ、こっからどうすんの?」

『取り敢えず深部を目指そう。エレリア、前衛を頼む。ヴォジャノーイは後方警戒』

キョウヤの指示に従い、先頭にエレリア、その後ろにランディ、リク君、アヤメちゃん、キョウヤ、キリト、俺と続く。

金属鍍金はこの世界において最高クラスの防御力をもたらす。

故にこの布陣だ。

まぁ、横から貫かれたら終わりなのだが。

通路を進んでいるとエレリアのアシュトレトが止まった。

『全員下がって一個前の横道に入れ』

『どうしたエレリア』

キョウヤが尋ねる。

『クリーチャー型だ。ここは僕が何とかする。さぁ!行け!』

おいカッコいいじゃないかエレリア。

即座に肩部バインダーとアームドアーマーDEのスラスターを前方に向け、噴射。

全員が手に武器を構えたまま後退している。

その際、すこし戻りすぎた。目の前で五機が通路に入る。

「キョウヤ。後頼んだ」

GNソードⅤを抜き、振り抜く。

『ヴォジャノーイ!?』

さっきキリトとエレリアがやったように通路を崩落させる。

「キリト。皆を守れ」

『お前にそんなこと言われると背中がかゆいんだけど…』

失礼な奴だ。

「じゃぁ俺はエレリアと格好つけてくる」

『頑張ってくださいヴォジャノーイさん!』

リク君の応援に応えないとな。

バインダーとアームドアーマーDEのスラスターで即座に通路を進む。

前方に黒い影!

GNソードⅤを腰にマウントする。

右手を肩にかつぎ、引き絞る。

何千回何万回と繰り返した動作。

貫けぬ壁を貫く光。

何者も止める事能わぬ龍の一撃…!

「意志よ貫け!」

クリーチャー型を貫いたまま通路の奥まで行くと、ホールに出た。

そこではエレリアが十機近くのクリーチャー型と交戦していた。

その変わり様は原型がわからないほどだ。

かろうじてモノアイなのかデュアルアイなのかマスクタイプなのかを判別できるが、それだけだ。

『なんだよ。来たのか』

「お前だけに格好つけさせんぞ」

『ちぇっ』

エレリアの腰に差した刀は八本のうち既に三本がない。

「じゃ、やろうか!」

ビームトンファーを展開し、ツメを振り下ろすクリーチャー型の攻撃を受ける。

「おらぁっ!」

左のビームトンファーで受太刀し、右手でクリーチャー型の胸部を貫く。

貫いた機体が爆散する。

『くっそ! まじでコイツらの原型機がわからない! どうする灯俊!?』

とりあえず原型機(系列)の予想がかろうじてつくのが3…7機。

「とりあえずスリットアイはヴェイガン系! 尻尾と腹のビームに注意で頭にコックピット!翼系は基本厄介だから気を付けろ!」

『OK!』

斜め前のスリットアイ機。

おそらくはガフランの頭部を手刀で貫く。

爆散することなくポリゴン片になって消えた。

次に相手取るのはマスクタイプ…おそらくジム系。

突然、その腕が伸びた。

「マジかよ!?」

咄嗟にGNソードⅤを抜き、打ち払う。

「まさに異形っ!」

他のクリーチャー型も原型から大きく形を変えつつあった。

巨大な鉤爪を持った者や三倍程に巨大化した者。

『ピンチだな…』

「わりぃなアカリ。俺明日学校休むわ」

『え? は? おい待てヒトシ! お前まさか…!?』

ブレイクデカール機を倒せるのは心意攻撃のみ。

僅かでもいい。

弱くともいい。

心意によって受けた傷は、ブレイクデカールでは直せない。

「龍天使の威光にひれ伏せ! 【心意 TRANS-ActMax】!!」

全身を、赤い光が包み込む。

それに呼応するようにカンヘルの装甲の隙間から緑の光が溢れる。

「トライングシステム起動!」

赤い装甲、緑の光、蒼い焔。

「へへ……ずっと俺のターンってなぁ!!!」

side out












「うごぁ……アタマガァー」

ブレイクデカール機を殲滅したヴォジャノーイはコックピットで頭を抱えていた。

『おいおい大丈夫なのかよ?』

「あしたがっこーやしゅむぅ……」

『はぁ…取り敢えず、奥へ行くぞ』

「おーぅ……」

装甲と自分の脳に多大な負荷をかけるのがTRANS-ActMaxという心意だ。

コックピット内部にはアラートが響いている。

「うざってぇ……」

ヴォジャノーイが一つ一つのアラートを消していく。

「うわひでぇな…推力七割かよ…」

アラートを整理し、操作系統に反映させた結果、カンヘルの出力は三割ほど落ちていた。

『むしろ全身ビームに包まれててその程度で済んでるのが奇跡だろ』

「前のカンヘルだったら逝ってたな」

『俺に感謝しろよヴォジャノーイ』

今回カンヘルが自壊しなかったのは、エレリアがリアルで施した金属鍍金があったからだ。

「もちろんさ…」

『俺に惚れたか?』

「はいはい。愛してるよ親友」

『友愛だろ?』

「もちろんさ。俺ぁホモじゃねぇ」

カンヘルの後にアシュトレトが続く。

『つかよ、カンヘルのスペックなら七割でも十分速くね?』

「そりゃぁそうだが……」

『そういやぁ葵ちゃんとはどこまでいったの?』

「なんで今聞く?」

『え? 気になったから』

「黙秘権を行使する」

『おもんな』

「置いてくぞこのやろう」
 
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