ゼロの使い魔 ーエルフの使い魔はインファントの守護神ー
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序章 ファイナルウォーズ
3話 オペレーション・ファイナルウォーズ(後編)
前書き
皆さん、お待たせしました。ようやく続きが書けました………遅くなって申し訳ありません……。
ーー南極大陸ーー
轟々と吹雪く、ブリザード。南極大陸は今日も地吹雪を伴う局地風が吹く。そんな吹雪にも構わず、南極大陸に立つ一頭の黒い巨大な影。
近くには地球防衛軍のEDF戦車や自衛隊の90式メーサー殺獣光線車が火花と炎をあげながら、大破した状態の残骸となって放置されている。
これらの兵器を破壊し、今も堂々と南極大陸に立つ巨大な黒い影。それは世界を滅亡の危機に陥れ、人類を何度も絶望の底に追い込んだ、最強の怪獣。
その名はゴジラ。
『怪獣王』または人智を超えた『完全生物』『破壊神』など色々な異名を持つ。
人類最大の敵であるゴジラは、彼らの南極における『オペレーション・ファイナルウォーズ』の最終段階であるG迎撃作戦に使用された兵器の攻撃を諸共せず、全てを破壊した。
「ゴアァァァァァァァァァァァァァァォォォォォォォォエェェェェェェン!!!!!!!」
ゴジラは自分の破壊した人類の兵器に向かって唸っていると口を開き、咆哮する。
すると、南極の氷塊が割れ、中から船首ドリルで出てくる兵器があった。海底軍艦『新・轟天号』だ。
轟天号は、そのまま目の前のゴジラに向けて突っ込んでいく。
「目標、補足!ターゲット、ロック!」
「撃て!!」
ドン!ドン!ドン!ビビーーィッ!!!
新・轟天号の艦長ゴードンが指示を出す。轟天号からミサイルやメーサー砲がゴジラに向かって撃ち込まれていく。
ボンッ!ボンッ!ゴォォォッ!!
ガアァァァァァン!!!
しかし、ゴジラは轟天号の攻撃には諸共しなかった。ゴジラは直ちに反撃の放射熱線を轟天号に向けて放つ。
「メインエンジン被弾!!」
「グルルルル…………!!」
熱線を喰らった轟天号は、火花をあげながら南極の地へと不時着する。ゴジラは不時着した轟天号を唸り声をあげながら、睨んでいた。
「怯むな!!ヤツが最後の怪獣なんだ!皆、しっかりしろ!攻撃の手を緩めるな!」
『了解!』
艦長であるゴードンは乗組員を鼓舞し、次の指示を出す。轟天号の乗組員達は直ちに轟天号を早く動かそうとする。
ボンッ!ボボボンッ!
するとゴジラの背びれがピカッピカッと再び光だす。また放射熱線を放つつもりでいるようだ。
「クソ………!」
熱線を放とうとするゴジラにゴードンはいきり立つ。
ドン!ドン!ドン!ドン!
「ゴオォォォォォォォォォエェン!?」
「何だ!?」
「艦長!スーパーXⅢです!」
「黒木か……!」
すると、ゴジラの背に何処からかの攻撃が命中する。スーパーXⅢからの冷凍弾だった。
轟天号もスーパーXⅢの存在を確認し、ゴードンも助かったと思わせるような表情で轟天号内のモニターに映るスーパーXⅢを見つめる。
《ゴードン大佐、すみません。遅くなりました》
するとモニターに一人の男の顔が映し出される。黒木だった。
「いや、お陰で助かった。だが少し遅すぎるぞ」
《すみません。これから我々も作戦に参加します。それと、もうすぐ3式機龍も到着します》
「ようやくメカゴジラもか…………」
《それだけではありませんよ》
「何?」
「ファァァァァーーッ!!」
「モスラか…………」
そこへ大きな鳴き声が響き渡る。するとゴジラの前に虹色の翼を羽ばたかせる怪獣が現れる。インファント島の守護神の名を轟天号で兵器管制を担当する尾崎がその姿を見て語った。
「キュウイイィィィィン!!」
「ギャオオオオオオオォァァァン…………!!」
モスラは脚による引っかき攻撃、さらに翼から鱗粉や稲妻をばら撒く攻撃をゴジラに開始する。モスラの放つ鱗粉攻撃にゴジラは苦しむような声をあげた。
バァン!バァン!バァン!!
「ゴオォォォォォォォエェェェン!!」
苦しむゴジラへさらに後方から、バルカン砲よる攻撃が命中する。そこにはバルカン砲を放ったしらさぎに輸送されるレールガンとバックユニットを解除した高機動型の3式機龍《改》の姿があった。
『八代、これが機龍最後の戦いだ!ビシッと決めろ!』
「了解!機龍、起動!!」
しらさぎ1号機に搭乗する富樫がしらさぎ2号機から遠隔操作するオペレーターの茜を鼓舞する。奮い立たされた茜は機龍を起動させると、機龍の目に光が灯った。
「輸送ワイヤー解除!」
ズシン………!
機龍に取り付けられたワイヤーアームが解除され、機龍は空中で切り離される。ワイヤーが外された機龍はロケット噴射により、南極の地へ降り立った。
「何も貴方達までこんな極寒の地まで来なくても…………」
「そういう訳にはいきません」
「モスラが戦ってのに、後方でただ見てる訳には………」
「それにあたし達が勧告した件もあるからね」
しらさぎ2号機で機龍を操縦する茜は同じく2号機にいるフェアリーに乗るモルとロラ、ガルガルに乗るベルベラに語りかける。三人は南極で戦うモスラを見守る為にしらさぎに乗って来ていた。
「修復完了!」
「再起動!」
ここで轟天号も起動を回復させ、再び戦線に復帰した。
「これが最後だ!皆、気を引き締めて行け!前進あるのみ!!」
『『『了解!』』』
「ゴアァァァァァァァァァァァァァァォォォォォォォォエェェェェェェン!!!!!!!」
戦線に戻った轟天号艦長のゴードンの号令に轟天号の乗組員、スーパーXⅢに搭乗する黒木率いる自衛隊、機龍を操縦する機龍隊は覚悟を決めた。そんな彼等にゴジラは大きく咆哮し、立ち塞がる。
「尾崎、手動で狙え!」
「了解!」
艦長の指示に尾崎はレーダーに移るゴジラに標準を合わせる。
「メーサー発射!」
ビビーーィッ!!!
轟天号の船首鋼鉄ドリルから冷凍メーサーがゴジラめがけて発射される。
「ターゲット、ロック・オン」
「冷凍弾全弾発射!超低音レーザー、全開!!」
ドン!ドン!ドン!ドン!ビビーーィッ!!!
同じくスーパーXⅢからゴジラに向けて、冷凍ミサイルと機種先端から超低音レーザーが放たれる。
「ゴガアァァァァァァァァァァェェェェンン!!?」
轟天号とスーパーXⅢの冷凍攻撃がゴジラに直撃し、ゴジラは悲鳴とも呼べるうめき声をあげる。
「ファァァァァーッ!!」
「ギャオオオオオオオォォォ…………!!」
そこへ、モスラがゴジラに向けてありったけの毒鱗粉を放つ。毒鱗粉を浴びさせられたゴジラは動きが徐々に鈍り始めていた。
「八代、今だ!!ヤツの腹に風穴を空けてやれ!!」
「了解!!」
ギィン……!!
富樫の指示により茜が機龍の右腕をドリル『スパイラルクロウ』に変換する。
「ピキャャェェェン!」
「グルルルル………!!」
毒鱗粉で動きが鈍ったゴジラは近づく自分の分身である機龍に気付くと唸り声をあげる。
「フン!」
ゴゴゴゴゴ…………!!!!
「グォォォォォォエェェン!?」
「ピキャャェェェン!」
茜が操縦する機龍はゴジラの左腹にスパイラルクロウを貫くように撃ち込み、ドリルを回転させる。腹にドリルで穴を開けられたゴジラは苦しむような声を出す。
「ギャォォォォ………!ゴアァァァァァァァァ……!」
機龍が右腕のドリルをようやく引き抜くも、ゴジラはフラフラ……とまだ苦しんでいた。
「3連ハイパーメーサー、スタンバイ!」
一気に決着をつけるつもりでいるのか茜は胸部ハッチのロックを解除し、3連装ハイパーメーサー砲を開く。
「発射!」
ヒビィィィィィ………ビビィーーーッ!!!
「グォォォォォォエェェン…………!!?」
機龍の胸部から三発のマイクロ波がゴジラ目掛けて発射され、さらに機龍の口からのメーサーも混ざり計四発のマイクロ波がゴジラに襲いかかる。腹に穴を開けられた上に最強のメーサー光線を傷口に受けたゴジラはこれまで以上に苦しみ、悲鳴をあげる。
「グォォォォォォ…………!!」
ドォン…………!
モスラや人類の連続攻撃にゴジラはうめき声を上げながら、遂に前乗りに倒れてしまった。
「ゴジラ転倒!」
「辻森さん。ディメンション・タイドのスタンバイをお願いします」
ーー東京湾岸部・陸上自衛隊芝浦分屯地『特別G対策本部』ーー
《辻森さん。ディメンション・タイドのスタンバイをお願いします》
「わかったわ。お願い!」
「了解!」
黒木からの連絡を受けた辻森がディメンション・タイドの発射管制担当の『美馬和男』へディメンション・タイド発射をお願いする。
その直後、南極のはるか上空の大気圏外の衛星がキラリと光る。ディメンション・タイドの砲口はしっかりと南極へ向いていた。
《スタンバイ・モードで待機します》
システムボイスの音声が対策本部に響き、モニターには南極で横たわるゴジラが写し出される。
「ディメンション・タイド起動!」
衛星からディメンション・タイドの口が姿を見せる。
《発射準備完了まで300秒》
「早く5分経ってくれ……!そんなに待てないぞ!」
「工藤君、落ち着いて!」
システムボイスの声を聞いたマイクロマシンの天才エンジニア『工藤元』がモニターの奥で倒れるゴジラを見て慌て出すのを辻森が制止する。
ーー南極大陸ーー
《発射準備完了まで300秒》
「クソッ!あと5分だと!?何をモタモタしとるんだ…!奴がまた起きてしまうぞ!」
轟天号内ではゴードンがディメンション・タイドの発射準備の時間が長いことにイライラしていた。
ボンッ!ボボボンッ!ゴオォォォーーーッ!!
ガアァァァァァン!!!ドオォォォォン!!!
するとゴジラの背鰭が光ったと思えば、ゴジラが再び起き上がり、熱線を轟天号の船首ドリルに向けて発射した。
『ぎゃぁぁぁぁっっ!!?』
「船首ドリルに直撃!!」
「クソッ!言ったそばから………!」
熱戦を再び受けた轟天号は再び南極大陸に不時着する。
「艦長!さっきの熱線で船首ドリル損傷!メーサー砲が使用不可能です!」
「何!?チッ………!」
尾崎から出された言葉にゴードンは舌打ちする。先程の熱線で轟天号の船首ドリルが損傷してしまい、メーサー砲が撃てなくなってしまったのだ。
「轟天号が………!」
《八代!もう一度、3連ハイパーメーサーだ!ゴジラの動きを止めろ!》
「了解!ん………?」
しらさぎ3号機からゴジラの熱戦を受けた轟天号の様子を見ていた八代が再びゴジラに向けて機龍の腹部からメーサー砲を放とうとしたが、何かに気付いたのか再び、しらさぎ2号機の窓から外を見る。
「キュウイイィィィィン!!」
「ギャオオオオオオオォォォ…………!!」
「モスラが………」
轟天号に向けて熱線を放ったゴジラの後ろからモスラが自分の脚を纏わりつくようにゴジラの背中を抑えたのだ。
ーー東京湾岸部・陸上自衛隊芝浦分屯地『特別G対策本部』ーー
《発射準備完了しました》
ディメンションタイド発射完了のシステムボイスの声が遂に本部に響き渡る。後はゴジラに向けて撃つのみだ。
「いつでも撃てます。どうしますか?」
あとはゴジラをロックオンできればディメンション・タイドを発射できるのだが、ここでまた問題が発生する。
《ギャオォォォン!!!》
《ファァァァァン!!》
《オート・センシング・システムに障害物があります》
「モスラが邪魔でロックオンできません!」
「何!?」
モニターからゴジラをロックオンしようとする美馬が皆に告げる。ロックオンの標的であるゴジラはモスラの脚で動きを止められているのだ。上から狙うため、モスラがゴジラの上に覆い被さっているようになっている。これじゃ、モスラもディメンション・タイドで攻撃してしまう。
「仮にロックオンできても、モスラ諸共ディメンション・タイドに吸い込まれます!」
「黒木特佐、モスラを一旦離すかゴジラをまた動けなくして!これじゃディメンション・タイドをロックオンできない!」
《了解》
無線越しで辻森はスーパーXⅢの黒木にお願いをする。黒木の返事は二文字だった。
ーー南極大陸ーー
「機龍が開けた傷口を狙おう。全弾発射、超低温レーザー全開」
「「了解!」」
黒木の命令でスーパーXⅢに添乗する乗組員が答える。
ドン!ドン!ドン!ドン!ビビーーィッ!!!
「出力一杯、エネルギー限界値!」
「グォォォォォォン!!?」
その瞬間、大量の冷凍弾と機種先端から超低音レーザーがスーパーXⅢからゴジラにしかも機龍がスパイラルクロウで穴を開けた傷口に向けて放たれ、傷口にダメージを受けたゴジラは悲鳴をあげる。
「3連ハイパーメーサー、発射!」
ヒビィィィィィ………ビビィーーーッ!!!
「グォォォォォォエェェン!!?」
そこへ畳み掛けるように機龍の胸部から3連ハイパーメーサー砲がゴジラ目掛けて発射され、ゴジラはかつてない程に苦しみだす。
「ファアァァァァァ……………」
ゴジラにダメージを与えられたのを確認したのか自らの脚で止めていたモスラがゴジラから離れ出す。
「グォォォォ………!ギャオォォォォォォォォォン…………!!!」
ズシ…………バタァァァァン………!
ゴジラは自分に攻撃した機龍やスーパーXⅢに向けて苦しみながらも大きく咆哮すると右に横になるように倒れてしまった。
「やったぞ!」
「ゴジラ横転を確認!」
「よし………急げ!まだか!?」
「もう少しです!」
轟天号内のモニターからゴジラ転倒を確認したゴードンは部下達に轟天号の再起動を急がせる。
「修復完了!」
「再起動!」
ゴゴゴゴゴ……………!!
ここで轟天号の修復完了の報告が入り、副館長の小室が轟天号の操縦桿を動かすと、轟天号は再び上昇を始めた。
ーー東京湾岸部・陸上自衛隊芝浦分屯地『特別G対策本部』ーー
「ゴジラがまた倒れたし、モスラも離れたわ。今度こそ発射よ!」
「了解!いきますよ、皆さん!もっと離れてください!巻き込まれますよ!」
《了解》
《了解》
《わかった。急げ!ゴジラから離れろ!》
モニターを見て、転倒したゴジラとゴジラから離れていくモスラを確認した辻森が美馬に再度指示を出す。
辻森の命令を聞いた美馬がしらさぎ一号機の富樫、スーパーXⅢの黒木、轟天号のゴードンに発射の合図をする。
美馬からの連絡を受けたスーパーXⅢと轟天号、さらに3機のしらさぎと八代がオペレートする機龍も倒れるゴジラから離れ出した。
そして、美馬はモニター内で倒れるゴジラに遂にディメンション・タイドの照準を合わせることに成功する。
「ロックオン完了!ディメンション・タイド発射!」
ズゥゥゥゥゥ………!ズォォォォッ!!
遂に美馬がスイッチを押す。
すると南極上空の大気圏外にある衛星からディメンション・タイドによるブラックホールがゴジラに向けて放たれた。
ーー南極大陸ーー
「ギャァォォォオ………ゴアァァァァァァァァァァァァァァォォォォォォォォエェェェェェェン!!!!!!!」
ズシィィィ…………!ズシィィィィィン!!
「何!?」
「まだ動けるのか!?」
「なんて奴だ………!しぶとい野郎だぜ!」
ディメンション・タイドからブラックホールが放たれたほぼ同時、南極ではゴジラがゆっくりとだが再び立ち上がったのだ。それを見て、しらさぎ4号機乗る『葉山進』や『関根健二』、轟天号のゴードンは驚く。あれだけダメージを与えてもまだゴジラは動けたのだ。
「ギャオォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!」
ズズスズ…………!!!
「ギャオォォ……!?」
大きく咆哮するゴジラだが、そこへ南極上空に渦巻きが発生したと思うとゴジラは上を見上げる。
すると上空に発生した渦は南極の氷塊やゴジラが破壊した地球防衛軍のEDF戦車、自衛隊の90式メーサー殺獣光線車の残骸を次々と吸い込み、さらにほぼ真下にいるゴジラまでも渦へと吸い込もうとする。ディメンション・タイドから発射されたブラックホールだ。
「グルルルル…………!!!」
ボンッ!ボボボンッ!ゴオォォォーーーーーーーーーッ!!
一方、ゴジラは引き摺り込まれないようにするためか南極の氷の大地に脚をしっかりめり込ませたと思いきやブラックホールの渦へと放射熱線を放つ。
ズォォォォォォォ…………!!!ズゥゥゥゥゥ…………!!
「ゴアァァァァァァァァァァァァァァォォォォォォォォエェェェェェェン!!!!!!!」
やがてブラックホールがゴジラ周辺へと落下する。ブラックホールが落下した瞬間に大きく天に向かって咆哮したゴジラは大きな光へと包まれた……………。
ーー東京湾岸部・陸上自衛隊芝浦分屯地『特別G対策本部』ーー
《冷却モードに入ります》
「やったか!?」
『……………………………』
システムボイスがディメンション・タイドの冷却モードに入ることを伝える中、工藤は本部の巨大モニターを見てゴジラが消えたかどうかを確認し、辻森率いるGグラスパーのメンバーは無言でモニターもゴジラが消えたかどうかを確認する為、モニターに釘付けとなっていた。
ーー南極大陸ーー
『……………………………』
『……………………………』
『……………………………』
「ピキャァッ!!」
南極大陸ではゴジラがいた辺りの氷の大地には大きなクレーターが生まれていた。轟天号やスーパーXⅢ、しらさぎに添乗する皆もゴジラがいた辺りを無言で見つめる。そのクレーター上空をゴジラを探すかのようにモスラが通過した。
「ゴジラが消えた………」
「ならいいんだけど………」
「本当に消えたの?」
八代か添乗するしらさぎ2号機からゴジラがいなくなったのを見たエリアス三姉妹もまた疑心暗鬼だった。
ゴジラは本当に消えたのか?この作戦に参加した者達全員がそう感じていた。南極大陸と別の場所で作戦に参加している者達の間に無言の空気が続いていた。だが、その無言の空気はすぐに破られた。
《皆さん…………報告です。ゴジラの生体反応無し!よってゴジラ消滅を確認!オペレーション・ファイナルウォーズ………これにて終了です!!!》
『!!!』
空気を破ったのはゴジラ美馬からの朗報だった。その瞬間、一気に作戦に参加した者達の顔に笑顔が戻ってくる。
『やったーーーーっ!!!』
「よしっ!!!」
轟天号内では地球防衛軍とゴードンが。
「やりましたね!」
「ありがとう」
スーパーXⅢ内では作戦に参加した乗組員に笑顔で返す黒木が。
「「やったーー!」」
「ふぅ………」
「皆、ご苦労だった!本当によくやったぞ!」
そして、しらさぎに添乗する葉山や関根などの機龍隊は喜びを隠せないのか手を大きくあげ、機龍のオペレーターである八代はホッとした様子を見せる。しらさぎ1号機に乗る冨樫は機龍隊の面々に隊長として、改めてお礼を言っていた。
「貴方達もありがとう」
「こちらこそ」
「私達こそ、お礼を言うべきです。本当にありがとうございました!」
「なぁに当然さ。これで地球はようやく平和だよ」
「ファァァァァーーッ!!」
さらに八代はここまで付いてきたエリアス三姉妹にお礼を言う。モルとロラは八代にお礼を返し、ベルベラは相変わらず憎まれ口のような返事をする。また、ゴジラ消滅を同じく喜んでいるのかモスラが大きく羽根を羽ばたかせ鳴き声をあげた。
ーー東京湾岸部・陸上自衛隊芝浦分屯地『特別G対策本部』ーー
『やったーーーーっ!!!』
「これで終わりか…………」
喜びの声はGグラスパーの方でも上がっていた。隊員達や工藤が喜びの声を出す中、隊長の辻森は喜びの表情でゴジラが消えた後の南極大陸を移すモニターを見る。これまでの人生をゴジラ打倒に闘志を燃やした彼女は喜んでもいたが同時になんだか寂しい様子もあった。
ーー陸上自衛隊八王子駐屯所・司令部ーー
『やったーーーーーーっ!!!』
「終わったか………。そして、これで機龍の役目もお終いか」
「総理………」
機龍のドックがある八王子駐屯所でも喜びの声は出ていた。機龍の整備隊や機龍に関わる人全てがゴジラ消滅の知らせに大きな歓声をあげる。一方、機龍のプロジェクトを進めてきた内閣総理大臣の五十嵐は長年の宿敵であるゴジラを葬ることができたのを喜んでいるのとこれで役目を終わる機龍の今後について既に決めているのか、彼の両方に座る一柳と土林に笑みを浮かべながらもまだ何か未練が残るような表情でいた。
ーー南極大陸ーー
「これで終わったのね…………」
「あぁ…………」
未だに喜びの歓声が響く轟天号の中で美雪が尾崎に声をかける。全てが終わったのか尾崎は脱力した様子だった。
「だが、俺はこれで全て終わったとは思えんな」
「え?」
すると尾崎の口から出た以外な発言に美雪の目は丸くなった。
「ゴジラは死んだんじゃない。消えただけだ。死んだことと消えたことは違う」
「それって………ゴジラはブラックホールの中でもまだ生きてるってこと?」
「だろうな。俺はそう思っている」
「でも………いくら生きていたとしてももうこの地球へ戻ってくるのは不可能よ。きっと一生、ブラックホールの中で閉じ込められると思うけど?」
「………だったらそれでいいんだが。だが、忘れたのか?嘗てディメンション・タイドの地上試験によって発生した時空の亀裂からメガニューラやメガヌロンが時空を超えてこの世界へ来て、それでメガギラスまでもが現れたことを。あの兵器はブラックホールで吸い込まれた先に何処かへ繋がる穴を作るんだろう、恐らく」
尾崎は美雪に嘗てディメンション・タイドの地上試験の影響で発生した時空の亀裂から現れたメガニューラがメガギラスを生み出したことを説明する。どうやら彼はディメンション・タイドから放たれるブラックホールは何処かへ繋がる穴を作ると予想していた。
「それって………ち、ちょっと待って尾崎君!まさかゴジラが時空を超えて過去か未来へと送られたってこと!?」
「いや、或いは…………」
「或いは…………?
尾崎の仮説に驚く美雪はゴジラが未来か過去へゴジラが送られたのではないかと始めるが、尾崎はまだ仮説があるようで冷静だった。
「もしあのブラックホールの先に俺達が住むこの世界とは別の世界があってしかもそこに人間が住んでいたら?」
「え……………!?」
「多分、あり得ない仮説だとは思う。だが、もしそうそうだったらその世界の人間達にはいつ爆発するかもわからない世界を破滅させる爆弾を送ってしまっていたら俺は申し訳ない気持ちで一杯だがな」
「……………………………」
尾崎の大胆なあり得ない仮説に美雪は驚きながらも無言でモニター越しでゴジラが消えた後を見つめる尾崎をずっと見ていた………………。
だが、尾崎の読みは当たっていた。ゴジラは死んだのではなく消えただけ。しかも、ゴジラは怪獣や科学が存在しない魔法の世界へと送り込まれていたのである。
そして、地球でオペレーション・ファイナルウォーズから15年の月日が経つ時、事態は大きく動き出す。
怪獣や科学が存在しないその世界で地球に住む一人の少年が『ゼロ』と呼ばれた少女に召喚された頃、心優しいエルフの少女と新しく生まれようとしているインファント島の守護神との出会いが新たな物語が動き出そうとしていた…………。
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