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とある星の力を使いし者

作者:wawa
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第1話

麻生は学校の窓から外の景色をぼ~っ、と見つめている。
あの始業式には何とかギリギリに間に合ったが、先生達の間では結局目をつけられることになってしまった。
麻生はやっぱり二度寝をしていればよかったと後悔しながら、始業式で校長の長い話を聞かされながら思う。
クラス分けは上条と同じクラスになった。
上条と麻生はあの始業式の後、名前を教えあい(麻生は教える気はなかったのだが上条が何度もしつこく聞くので仕方なく教えた)家も近いので行き帰りはよく一緒に行動している。
これも上条が勝手についてきているので、一緒に行動しているかと言われれば違うかもしれない。
部屋も隣だからか麻生が学校をさぼろうとしても、上条が部屋まで押しかけて強引に連れて行くのでさぼることも出来なくなっていた。

(ちっ・・・・面倒な奴に捕まったな。)

麻生は窓の外の景色を見ながら思う。
そんな時、授業中にぼ~っとしている麻生を見た教師、月詠小萌は麻生に注意する。
一年七組の担任であり身長一三五センチとどう見ても一二歳くらいにしか見えないこの高校の七不思議の一つにも数えられる教師だ。

「こらっ~!!麻生ちゃん!!!先生の授業中に何ぼ~っとしているんですか!!!」

その注意を聞いた麻生は視線を小萌先生に向けず口だけ動かす。

「気にしないでください、先生。
 俺なんかの為に授業を止めたら皆に迷惑ですよ。」

「先生は麻生ちゃんがちゃんと授業を聞くまでは何度でも注意するのです!!」

「じゃあ俺はこのクラスに存在していないと思って授業してください。」

「大事な生徒をそんな風に思えないです!!」

麻生はこれ以上話しても平行線を辿ると思ったのか、視線を小萌先生の方に向ける。
それを確認した小萌先生はにっこりと笑うと授業を再開する。
そして授業が全て終わり放課後。

「麻生、一緒に帰ろうぜ。」

「勝手にしろ。」

適当に答えて鞄を持つ、麻生。
そんなやり取りを見ていた青髪ピアスは言う。

「カミやんと麻生はほんま仲ええな。」

「そうか?
 部屋も隣だから普通じゃね?」

「僕だったら部屋が隣でも一緒に帰らんわ。
 あっ、女の子やったら話は別やで。」

「お前は女の子だったら誰でもいいんだろう。」

「そんなことないよ。
 僕にだってちゃんと好みあるよ。」

二人が話をしていると麻生は会話に入らず教室から出ようとする。
上条は視界の端で麻生が教室から出ようとするのが見え、麻生を引き止める。

「待てよ、麻生!!
 俺も一緒に帰るって!!」

急いで鞄を持ち麻生を追いかける、上条。
それを見た青髪ピアスは思う。

「もしかして麻生とカミやんがこんなに仲ええんは二人の間に肉体関係が・・・・・」

「そんなわけあるか!!!」

全力で否定しながら上条は麻生を追いかける。
麻生に追いついた上条は二人並んで歩いて帰っている。
二人が歩いている道には風力発電のプロペラが見えたり、二人の間をドラム缶に車輪をつけた警備ロボットが追い越していく。
学園都市。
東京西部を切り拓いて作られたこの都市では「超能力開発」が、学校のカリキュラムに組み込まれており二三〇万の人口の実に八割を占める学生達が日々「頭の開発」に取り組んでいる。
そしてこの学園都市は能力開発以外の科学技術も最先端の技術などが使われており、外と比べると数十年分くらい文明が進んでいると言われている。
上条と麻生も日々「頭の開発」をしているのだがレベルは二人とも0。
所謂、無能力者である。

「あと一か月とちょいで夏休みだな。」

「その夏休みにお前は補習が入ってくるんじゃないのか?」

最初は楽しみな顔をしていた上条だが、麻生に指摘されて目に見えて落ち込む。
上条はそれほど頭はよくない。
赤点や補習など毎回引っかかるくらい成績が悪い。
麻生もそれほど成績は良くはないが補習にかかるほど成績は悪くない(本来、麻生は頭が非常に良いのだが本人はめんどうと言う理由でテストなど適当にしているから)。

すると上条が前を見た時歩くのをやめる。
麻生も一応歩くのを止めて上条が見ている視線を追う。
その先には一人の男の学生に何人かの不良が囲んでいる。
おそらく金でも要求しているのだろう、と麻生は考えるが俺には関係ないことだ、と無視しようとするが・・・・

「麻生、助けに行くぞ。」

この男、上条当麻が真剣な表情で麻生に言う。

「行くならお前一人で行け。」

「あの数相手で俺一人だけじゃあ勝つ事は難しい。
 けどこっちが二人だったらまだ勝てる可能性が残っている。」

「俺はあの男に助けてと頼まれた訳でもない。
 だから、俺が助けに行く理由にもならない。」

「お前は頼まれなかったら助けにいかないのか?」

「そうだ。」

「なら、俺がお前に頼む。
 一緒にあいつを助けてやってくれ。」

その言葉を聞いて麻生は沈黙する。
そして深くため息を吐く。

「相手は5人。
 俺が3人相手するからお前は残りを倒せ。」

その言葉を聞いて一瞬驚いたが、すぐに笑みを浮かべ不良達の所に走っていく。

(あいつに関わっているとどうも調子が狂うな。)

そう思いつつ麻生も不良達の所まで走る。
上条が不良達に何か言うと上条は顔を殴られてそこから喧嘩が始まる。
麻生は上条の後ろから殴ろうとする男の襟元を掴み右足で男の両足を払う。
男は後ろから引っ張られるので後ろに体重がかかり、その運動を利用して背負い投げの如く男を投げ飛ばす。
地面に叩きつけられて気絶する、男。
振り返ると別の不良がポケットからナイフと取り出すと麻生に突き刺してくる。
しかし、何度も突き刺してくるがそれを簡単にかわしていく。
そして不良のナイフを人差し指と中指の間で挟む。
不良がそれに驚いている内に顎を打ち上げて気絶させる。

(あと一人・・・早く終わらせて寝るか。)

上条の方を見ると一人は何とか倒せたようで今は一対一で喧嘩している。
麻生の前にはもう一人の不良が立っている。

「なかなかやるみたいだな。
 けどな・・・」

不良が掌を開けるとそこに風が集まっていく。

風力使い(エアロシューター)・・・お前、能力者か。」

「そうさ、見たところお前は無能力者みたいだしな。
 どうだ、金を渡したら骨一本で許してやるが?」

不良は掌に集まっている風で脅しをかける。
しかし、麻生は驚きもせず逆に呆れた表情をする。

「はぁ~、たかが風をちょっと操れるからっていい気になって。」

「なんだと!?」

「それを見る限りだいたいレベル3って所か。
 その力で不良達の従えて何が楽しいのか・・・・俺には理解できないね。」

憐みの表情で言う、麻生。
その言葉が頭にきたのか不良は、掌に集まった風を麻生に向けて放つ。
しかし、風は麻生に当たる直前にその風がいきなり止んだ。

「なっ!?・・ど、どうなっているんだ!?」

不良は何度も風を麻生に向けて放つが直前に風は勢いの無くし吹き止んでしまう。

「お前も能力者か!!」

「そんな事どうでもいいだろう。」

そう言い三メートル離れている不良に一気に近づき、左足で踏み込むと同時に左手で不良のみぞを殴る。
くの字に折れると不良はみぞをおさえる。

「て、てめぇ・・・何者・・だ。」

不良は消えそうな意識で麻生に問いかける。

「ただの通りすがりの一般人Aだ。」

麻生がそう答えてるのを聞いて不良の意識が途切れる。
麻生が上条の方を見るとちょうど上条も相手を倒したようだ。

「麻生って結構強いんだな。」

無傷おろか服に一つも汚れがないのを見て言う。

「たまたま俺の相手が弱かっただけだ。」

絡まれた学生の男はどうやら逃げたようだ。
麻生はそれを確認して自分の鞄を背負いすたすたと歩く。
それを追うように上条もついて帰るのだった。

部屋の前で上条と別れすぐにベットに倒れて麻生は睡魔が来て眠る。
二時間くらい寝ているとパチッと目を開ける。
そのまま立ち上がり冷蔵庫にある水を飲みながら時計を見る。

(六時か・・・・暇だし散歩するか。)

麻生は制服を脱ぐと黒のズボン、黒のシャツ、そして黒の袖のないコートを着て鍵も閉めずに外に出かける。
麻生は暇があればほとんど散歩をする。
その散歩に意味はなくただ歩いているだけ。
すると不良達がまた誰かを取り囲んでいる。
数が多くどんな人がまた絡まれているかは確認できない。
少なくともズボンをはいていない所を見た限り女性のようだ。

(まぁ、誰が絡まれていようが俺には関係ない。
 あの正義馬鹿も居ないことだし無視無視。)

麻生が素通りしていこうとした時だった。

「うん?・・・あっ!!てめぇは夕方の!!!!」

不良の一人が麻生の顔を見ると何かを思い出しようだ。
対して麻生は・・・・

「誰だ、お前?」

「もう忘れたのかよ!?
 夕方くらいに俺達ボコボコにしただろう!!!」

麻生は改めて不良達をよく見る。
知らない顔も居たが何人かは夕方に会った不良達も居た。

「あの時は油断したが今回はお前は一人だ。
 そして数では俺達は圧倒的だ。」

そう言って今度は麻生を取り囲む。
女性を囲んでいた不良達が少なくなり、女性の顔を確認することが出来た。
肩まである茶色い髪に灰色のプリーツスカートに半袖のブラウスにサマーセーターの格好をしている。
しかし、左の胸に他の女性学生とは決定的に違う物があった。

(あのマーク・・・こいつ常盤台の学生か。)

常盤台中学。
学園都市の中でも5本の指に入る名門校であり、同時に世界有数のお嬢様学校。
生徒数は二百人弱でレベル5二名、レベル4四十七名、それ以外は全員レベル3。
在学条件の一つにレベル3以上である事が含まれているとんでもない学校。
全生徒の能力干渉レベルを総合すると生身でホワイトハウスを攻略出来ると噂されている。

「おい!!どこ見てやがる!!!」

不良の一人が麻生を睨む。
はぁ~と大きくため息を吐く。

「お前達ってほんと馬鹿だよな。」

「なめてんのか、てめぇ!!!」

「だって、そうだろう。
 いくら女の子にモテないからって中学のガキ(・・・・・)を狙うなんてな。
 まぁ、こんなお子様(・・・)を狙ってもお前達がモテないことには変わりないけど。」

「てめぇ・・・ぶっころす!!!!」

不良達が一斉に麻生に襲いかかろうとした時だった。

「子供とかお子様とかうっさいのよ!!!!」

突然、常盤台の女性がそう叫ぶと同時に凄まじい電撃が不良達を襲う。
一瞬にして不良達は黒こげになる。

「あー、こんな雑魚共に能力使っちゃ・・・・・」

頭をかきながら女性は言う。
しかし、黒こげになったのは不良達だけだった。

「何だ、一人で倒せるのならさっさと倒せばよかったじゃないか。」

「えっ・・・・」

女性は後ろを振り向くと麻生だけが火傷一つなく普通に立っていた。

「あんた、何者・・・・」

「通りすがりの一般人Aだ。」

「一般人が私の電撃を受けて無傷なわけないでしょ!!」

もう一度電撃を麻生に向けて放つ。
だが、その電撃は何か壁に当たったかのように弾け飛ぶ。

「あんまりほいほい電撃を飛ばすな。」

麻生はその光景が当たり前のように平然と女性に注意する。

「何よ、その能力・・・」

「能力と言っても身体検査(システムスキャン)では無能力者(レベル0)なんだが。」

「レベル0ですって・・・・・」

女性は驚きの表情を浮かべている。

(面倒になってきたな。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・逃げるか。)

麻生はそう考えると女性が驚いている内にUターンして逃げ出す。
それに気づいた女性も麻生を追いかける。

「こら、待ちなさいよ!!!」

誰が待つか、と思いながら逃げ出す、麻生。

(あいつの不幸体質・・・俺にうつったんじゃないのか・・・・)

今この場に居ない上条を恨みながら後ろの女性をどうやってまくか考えるのだった。 
 

 
後書き
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