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ある晴れた日に

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258部分:その吹く風その十五


その吹く風その十五

「まああの怪獣退治のチームに入りたいとも思っていたけれどな」
「それでベムスターに食べられるのね」
 茜も彼に突っ込みを入れてきた。
「そうなったら最高に面白いのにね」
「食われてたまるかよ」
 言葉がさらに忌々しげなものになる。
「悪い宇宙人とか倒すんだよ。ちゃんとな」
「そういえばあの世界の宇宙人ってどれもこれも物凄い悪いわよね」
 静華はこのことを皆に話した。
「何か宇宙はこんなのばかり?って思ったわよ」
「そうそう」
 茜が彼女の言葉に頷く。その通りだというのだ。
「もうね。卑劣で残忍なのしかいないわよね」
「怪獣は凶暴だし」
 ウルトラマンの世界の特徴である。ここには様々な風刺があると言われている。一説には宇宙人は国際社会であり怪獣は自然であるという。
「胃次元人なんかもう」
「あれビデオ観てて気持ち悪かったわよ」
 凛がその垂れ目気味の顔を思いきり顰めさせた。
「私そのせいでウルトラマンエース前半あまり好きじゃないのよね」
「俺もだよ」
「俺もな。あの話はな」
 佐々と野茂が彼女に同意して頷く。
「あれ何だったんだろうな」
「メビウスでも出て来たけれどな」
「特撮を観るのはいいわよ」
 田淵先生はそれは一向に構わないというのだった。
「それはね。別にね」
「じゃあ観ますけれどね」
「喜んでね」
 坪本と坂上が先生の言葉に頷いて述べた。
「ビデオでタロウでも借りるか?」
「あれが一番いいか?メビウスかな」
「何で皆タロウとメビウス好きなんだろ」
 桐生はそのことがかなり不思議だった。
「僕もどちらも好きだけれど」
「面白いからでしょ」
 恵美の彼への返答は実に簡単なものだった。
「そういうあんたは好きな特撮は?」
「仮面ライダー剣」
 彼はそれだった。
「あれが一番好きだよ」
「剣ね」
「いいよね。あの必死さが」
 桐生も桐生でここでかなりのこだわりを見せてきた。
「僕、あれがよくてね」
「そうね」
 恵美も彼のその言葉に同意して頷くのだった。
「最後まで観ないとわからないところがあるけれどね」
「それはね。けれどいいのは間違いないよ」
 霧生にしては強い主張だった。
「あのライダーもね」
「ええ。何か趣味も本当にそれぞれなのね」
 恵美は話していてそのこともわかったのだった。
「皆それぞれで」
「とにかく。早く起きたらそういうのも観られるわよ」
 田淵先生はここぞとばかりに皆に言ってきた。
「わかったわね」
「何かそれって人参じゃねえのか?」
 正道は今の田淵先生の言葉にすぐに突っ込みを入れた。
「そういうふうに聞こえるんだけれどよ」
「人参でもあるのとないのとで全然違うでしょ」
 しかも田淵先生はそのことを否定しないのだった。堂々とさえしている。
「そうでしょ?だったらいいじゃない」
「いいのかね」
「いいのよ」
 正道の言葉に対して強引に押し切りにきた。
 
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