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諦めない姉

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第二章

「何時出るかわからないわよ」
「見たい模様が、よね」
「それでもやるのね」
「やるわよ」
 断固たる言葉だった、そしてだった。 
 卯月は万華鏡を何度も振ってそうして覗いた、すぐに苦い顔になるがまた振って見ることを繰り返す。一旦晩ご飯とお風呂になったが。
 お風呂を出てすぐにまた万華鏡を振って見る、皐月はそんな姉にいい加減どうかとなって言った。
「もう諦めたら?」
「だから諦めないわよ」
 姉の返事は変わらない。
「出るまで」
「寝るまでするの?」
「出るまで寝ないから」
 卯月はこう言って振って見続ける、それで遂に二人が寝る時間である十時になった。ここでやっとだった。
 卯月は万華鏡を覗いてから皐月に笑顔で言った。
「見えたわ」
「何百回見たのよ」
「そんなに見てないでしょ」
「見てたわよ、四時位から見ていて」
 それでだったというのだ。
「十時になってなのね」
「見られたわ、諦めなかったからよ」
「諦めないと最後にはっていうのね」
「そうよ、じゃあこれでね」
 万華鏡の見たい模様を見た、それで卯月はようやく笑顔になって皐月に言った。
「明日の学校の授業の支度して。宿題は家に帰ってすぐにしたから」
「もういいのね」
「これで寝られるわ。やっと見られたからほっとしたし」
「よく寝られるのね」
「そうよ、すっきりしたわ」
 実際にそうした顔になってだった、卯月は自分のランドセルに明日の授業の教科書やノートや使うものを入れてだった。
 ベッドに入って寝た、見たいものを見られた彼女の顔は実に晴れやかだった。
 

諦めない姉   完


                 2019・4・29 
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