魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話
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第百九十二話
三十日の夜。
暦さんとドラマツルギーの決闘前夜。
「それで、何の用だよエピソード」
「はは、超ウケる」
うけねぇよ。
お前はあれか、俺ガイルのサブヒロイン(?)か。
「それで何の用なんだ? わざわざポストに手紙なんぞ入れて」
呼び出された。
真夜中に。
「ん、あー、うん」
場所は、直江津高校の近くの河川敷。
「ちょっと死んじゃくれねぇか?」
おいマジか。
協力要請ならともかく殺害予告か。
「俺は臥煙から無害認定されてるんだが?」
一応、河川敷なんて場所に……ダンピールから水の近くに呼び出された時点で察してはいた。
「超ウケる。それがどうしたよ?」
ああ、そうか。
エピソードが動く理由は『私情』だったな。
「忍野とは会ったか?」
「ああ? ハートアンダーブレードの眷属を庇った奴だろ?
メメ・オシノといやぁガエンの側近だ。
俺は仕事を邪魔されたんだ。だからよぉ…」
エピソードが十字架を構える。
「ちょっと責任取れやガエンの懐刀!」
その十字架を槍のように構えての突進。
「そんな二つ名は持ってねぇなぁ」
全力で気功を廻す。
エピソードに手を向ける。
「ファランクス」
衝突の瞬間、鐘を鳴らしたような轟音が響いた。
体格差は圧倒的。
だが…まぁ…。
「調子に乗るなよ六歳児」
水のある場所に俺を連れてきたのは間違いだったなエピソード。
エピソードの横に展開したファランクスで川に叩き落とす。
「エピソード」
エピソードが川の中程で立ち上がる。
割と浅い場所だ。
エピソードの周囲を球場ファランクスで囲む。
半径は5メートルほど。
「水って爆発するって知ってた?」
障壁内部の水を全て分解。
その上で放出系魔法スパークを発動する。
パチリという火花の後。
障壁内部で大爆発が起こった。
激しい閃光が辺りを照らす。
「あー…やりすぎたか…? いやダンピールだしそうそう死なんはずだが…」
障壁を解除すると莫大な熱量が解放された。
「あーあ……」
川を流されるエピソードの体。
魔法で手繰り寄せる。
生きてはいるが全身焼けただれ、顔も判別不可能。
やり過ぎた。
いやでも殺されそうだったんだし殺しても文句はないだろう。
と、なればこれでも手加減した方ではないのだろうか。
えーと……とりあえず臥煙に電話しよ。
スマホを取り出して臥煙にコールすると、三回目で出た。
「もしもし」
『やぁ一夏君。金田城の鎮魂お疲れ様』
「ああ。それについちゃぁ色々言いてぇ事あんだけどよ。エピソードってダンピール知ってるか?」
『ああ知ってるよ。絡まれたのかい?』
「ああ。で返り討ちにしたんだがどうすりゃいい? 忍野にでも渡しゃいいのか?」
『ああ。それがいいだろうさ』
「わかった。あと残りの依頼だが後回しでいいか?」
『構わないよ』
「そか、じゃぁな」
通話終了。
川の一部を気化させ即席の蒸留水を作る。
エピソードの体をよく洗い、包帯でぐるぐる巻きにする。
「あー。だるいだるい」
FAを使って忍野を呼び出して事情を話す。
「今回俺は悪くねーぞ。襲われたんだから正当防衛だろ」
「全くもってその通り。殺されかけたから殺しかけた。目には目を、歯には歯をだね」
飄々とした忍野がエピソードを担ぎ上げた。
「これから交渉?」
「ああ。今回の事は交渉材料にさせてもらうよ」
「好きにすれば?」
ヒラヒラと手を振りながら、忍野が闇へ向かって歩く。
「忍野!」
「ん? なんだい?」
「明日の暦さんとドラマツルギーの死合、見ててもいいか?」
「ばれないようにね。傍観者の存在はそこはかとなく匂わせておくからさ」
「そ」
ピタリと忍野が足を止めた。
「そういえば織斑君」
「なに?」
「阿良々木君なんだけどさ。彼ちぐはぐすぎるんだよ」
「というと?」
「身のこなしを知っている、理解している。それなのに、体の動きがぎこちない」
「へー」
「そう、例えるなら。夢の中でだけ何年もの間研鑽したような感じだった」
「明晰夢でも見てたんじゃない?」
「そうかもしれないねぇ」
ペタペタというサンダルの音が遠退いていく。
明日が、とても楽しみだ。
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