極寒の中で
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第五章
「わたくし達にも勝てません」
「じゃあやるか」
「はい、一瞬で終わらせましょう」
莫は残にも告げた、そしてだった。
侮辱されたと感じ怒れる魔女に向かった、魔女は寒波の術を中心に氷系統の術を次々に使うが二人はというと。
氷に強い炎の系統の術を集中して使い魔女を圧倒し瞬く間に倒した、すると辺りの気候は次第に元に戻っていった。
魔女は亡骸を確保されて復活させられたうえで裁判にかけられて厳罰となった。こうして事件は終わって。
莫は残と共に冒険を終えた祝いとして西寧の四川料理の店に入ってそこで担々麺や酸菜魚、回鍋肉、麻婆豆腐、夫婦肺欠、紅油餃子それにデザートの杏仁豆腐と白酒を頼み飲み食いを楽しんだ、その中でだった。
莫の手にあるものが宿った、それはというと。
「両刃三尖刀ですね」
「ああ、九紋竜史進の刀か」
「それがわたくしの新しい神具です」
莫は残に心の中にある言葉をそのまま話した。
「武器がです」
「それはいいな」
「はい、これまで武器の神具はなかったですが」
それでもだとだ、莫は担々麺をすすりつつ話した。
「それがです」
「手に入ったな」
「有り難いです、この武器はかなりの強さです」
「神具だしな」
「頼りになります」
「お前はこれまで武器がなかったからな」
神具であるそれがとだ、残は飲みつつ話した。
「それが手に入ってな」
「戦闘もこれまで以上に出来ます」
「いいことだな」
「まことに。それに」
莫もここで酒を飲んだ、そのうえで残に話した。
「わたくし自身も。神託を乗り越えて」
「それで、だよな」
「全体的に一回り強くなりました」
そうもなったというのだ。
「有り難いことに」
「いいことだな」
「まことに、ですが」
新しい神具と力を手に入れたがというのだ。
「これからです」
「ああ、おらっち達はな」
「神託は目的ではありません」
「通過点だからな」
「その目的に向かいましょう」
こう残に言うのだった。
「世界を救うという」
「そうしないといけないからな」
「飲んで食べたら」
その後でというのだ。
「次の場所に行きましょう」
「ああ、絶対にな」
「それがわたくし達の目的なのね」
莫は微笑んで言った、そうして今は四川料理を酒と共に楽しんだ。その目には既に先にあるものが映っていた。
極寒の中で 完
2019・4・28
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