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船の中の事件

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第三章

「それを使うで」
「ほな自分がメインでやな」
「やらせてもらうわ」
「ほなな」
 花華も頷いた、そしてだった。
 蓮美は彼女を言うならば助手にしてだった、そうして事故現場に入った。そこは鮒底で被害者から証言を聞いてもだ。
 証拠は一切なかった、しかもだ。
 船員はおろかその時間に出入りしていた者の証言を聞いても事件との接点はなかった、事件があったと思われる時刻に現場にいたのは。
「俺だけなんですよね」
「そやね」
 蓮美は被害者の若いリザードマンの船員に応えた。
「あんただけで」
「俺も気付かないうちに」
「殺されてたんやね」
「生き返させられてですよ」
 その時にというのだ。
「自分がはじめて殺されたって」
「わかったんやね」
「そうなんですよ、これが」
「そやけど後ろからな」
 まさにとだ、蓮美はその殺された店員に話した。
「鋭い刃物でな」
「ばっさりですよね」
「一撃でやられたからな、返り血もな」
 それはあった、現場に今も。
「あるしな」
「これは俺の血ですね」
「この血とあんたの血を調べたらな」
 これがというのだ。
「一致した」
「それじゃあ」
「あんたの血や、間違いなくな」
「そうですか」
「けどほんまに犯人の証拠はや」
 それはと言うのだった。
「一切ない、けどな」
「けど?」
「この現場をあたしは徹底的に調べた」
 そうもしたというのだ。
「その結果や」
「何かわかりました?」
 今度は鰐人の船長が蓮美に尋ねた、今現場には船の主な者達が揃っている。
「それで」
「撒いたモンスターの気配に反応する薬に一つ反応があった」
「気配が、ですか」
「悪魔の」 
 この系列のモンスターのそれがというのだ。
「残ってたわ」
「悪魔ですか」
「悪魔系のモンスターの魔力は種族によるけど強い」
 強力なモンスターが多いことで知られている、これは彼等と正対する立場である天使系のモンスターも同じだ。この世界ではどちらの者達も人に対して試練や気晴らしで攻撃を仕掛けることもあるのだ。
「それでや」
「悪魔の気配がですか」
「残ってた、それでな」
 蓮美はさらに話した。
「そこから調べるわ」
「そうされますか」
「ここはな」
 こうしてだった、蓮美はこの事件についてあらためて調べることにした。そしてその結果面白いことがわかった。
 この港では今影の中に不審なものを感じたという報告があがっていた、それは船の中でも同じであり。
 今回の事件もだった、それで蓮美は花華に船の食堂で昼食の後でお茶を飲みつつそのうえで言うのだった。今食堂にいるのは二人だけで灯りに照らされている中で向かい合って話をしている。
「悪魔族のモンスターのなかでもな」
「特別なか」
「そや、そうしたモンスターがな」
「事件に関わってるか」
「間違いない、影っていうと」
 このことから言うのだった。 
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