九江の下水道
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第四章
「邪教が祀ってるのは何や」
「邪神やな」
「その邪神の復活をな」
「ここで企んでるか」
「攫った人達を生贄にしてな」
そしてというのだ。
「そうしようとしてる」
「止めんとな」
白は暗い下水道の中で目を光らせた、狼の目に正義の光が宿りそれが闇の中で見事な輝きを見せている。
「何の罪もない人達を生贄にするとかな」
「そや、何があってもな」
蒲も目に正義の光を宿らせている、サイクロブス独特の単眼の大きな光もまや闇の中で輝きを見せている。
「止めるで」
「連中の場所もわかってるな」
「僕等と比べるとな」
それこそとだ、蒲は相手の実力のことも話した。
「何でもない連中でな」
「モンスターや獣に見られてることもか」
「特にこいつに働いてもらった」
ここで蒲の傍に青い犬に似た外見の獣が出てきた、大きさは大型の犬程だ。
「ブリンクドッグにな」
「その犬消えることが出来たな」
「そや、こいつと小型のモンスターや獣達がな」
「その隠れ家もか」
「見付けてな」
そしてというのだ。
「隅から隅までな」
「調べてくれたか」
「今からこいつ等に話を聞く」
獣使いは使役するモンスターや獣の言葉を理解出来る、その能力も使ってそのうえでというのである。
「そしてな」
「二人でやな」
「隠れ家に入って」
「連中倒すか」
「そうしよな」
こう言ってだった、二人は蒲のモンスターや獣達の案内を受けてそうして邪教の隠れ家まで進んだ、そうして。
二人で雪崩れ込んで神具や術、それにモンスターや獣達も使って邪教徒達を倒していった。彼等も武器を持っていて術も使えたがやはり星の者達である二人の敵ではなく。
全員倒されてそうして生贄にする為に攫われていた人達も皆助け出すことが出来たが。隠れ家を出ようとした時に。
目の前に全高十メートルはあろうかという頭に角を生やし禍々しく赤く光る目でそれぞれの手に剣を持っている六本腕の異形の者が出てきた、蒲はその異形の者を見て白に言った。
「これは絶対にな」
「邪教の連中が信仰していた邪神やな」
「魔馳やったか」
蒲はその邪神の名を口にした。
「人食いで殺しを楽しむ邪神や」
「拙者も知ってる、こんなの信仰してるとはな」
「やっぱり邪教やな」
「ほんまにな、拙者達が倒した邪教の連中が生贄になったか」
「そうみたいやな」
「これも因果か」
「邪教の連中にとってはええかも知れんが」
自分達が信仰している邪神が蘇ってだ、蒲はややシニカルに言った。
「しかしな」
「邪神が世に出たら厄介や」
「そやからな」
「今から倒すか」
「攫われた人達頼むで」
モンスターや獣の幾割かに彼等の護衛と安全な場所への誘導を任せてだ、蒲は残った者達そして白と共にだった。
邪神に向かった、邪神は六本の腕で二人に襲い掛かるが。
蒲は即座にだ、そのうちの一本の付け根に氷の刃の術をぶつけて切断しそのうえで白に対して言った。
「六本腕もな」
「一本一本潰していったらな」
「それでや」
こう言うのだった。
「その分戦闘力は失われる」
「そやな」
「それでや」
「ここはやな」
「まずは腕を潰して」
「そうして戦っていくべきやな」
「あとこいつの息は」
蒲は邪神の口から出るそれも見た、不気味な緑色をしている。
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