閉じられた水門
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第一章
閉じられた水門
呉沢勝と巴青雲は今は呉の神託で中国河南省の開封に来ていた、この街は黄河と長江を結ぶ大運河と黄河の接点であり水運で栄えている。
だが水運で栄えている筈のこの街が今はだ。
元気がない、それで呉は巴に言った。
「何かな」
「これは明らかにですね」
巴は呉に冷静な顔で述べた。
「異変が起こってますね」
「間違いなくな」
「ではですね」
冷静にだ、巴は呉に述べた。
「この度は」
「すぐにギルドに行こうか」
「そうしましょう」
こう話してだ、呉は巴と共に開封のギルドに向かった。だがこの時に呉は巴に龍人の顔を曇らせて言った。
「ここは本来な」
「より、ですね」
「そや、賑やかでな」
「何しろ大運河の接点で」
「水運が半端やなくええ」
「私達が起きた世界では」
どうかとだ、巴も話した。二人共今は元気がない開封の街中を歩きつつ話をしている。
「かつては宋の都で」
「東周時代は大梁っていってな」
「魏の都でしたね」
「そうした場所やったからな」
それでというのだ。
「繁栄してた」
「今も立派な観光都市です」
宋、ここでは北宋の都だったことを活かしてだ。
「そうでしたが」
「今はな」
「何といいますか」
「この有様や」
「はい、どうにもです」
「元気がない」
「商売も活気がなく」
それで賑わっている筈の街だがというのだ。
「これはです」
「明らかに何かあるからな」
「それで、ですね」
「ここはな」
「そのことからですね」
「調べていこうか」
呉は巴に考える顔で述べた。
「そうしよか」
「ではまずはギルドに入り」
そしてとだ、巴は提案した。
「依頼から異変を探しますか」
「多分この状況をどうするかが私の神託やしな」
「それでは」
彼も巴は呉の言葉に頷いた、そしてだった。
二人は開封のギルドに入った、するとそこにだった。
開封の多くの水門の中でとりわけ大きくかつ重要である水門を開放して欲しいとあった、呉はその提案を見てギルドの事務所の者に身分を隠したうえで尋ねた。
「水門で何かあったんか」
「はい、水門は砦になっていますが」
それがというのだ。
「砦を護る兵隊さん達が急に操られて」
「それでかいな」
「はい、その結果です」
事務所の若い女のフェアリーが呉そして彼と共にいる巴に話した。
「水門が閉じられて」
「それでやな」
「今開封の水運が落ちていて」
街の自慢であり繁栄の源であるそれがというのだ。
「街としてもギルドを通じてです」
「解決の依頼を募集してるか」
「そうなのです」
こう呉に話した、尚彼女は呉も巴も旅の冒険者と思っている。
ページ上へ戻る