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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。

作者:エギナ
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第一部
  第31話 新年魔法大会 【ショットダウン 其の七】

「あー、囚人枠はそろそろ始まった頃じゃないかな?」
「そうね。他の看守は全員出て行ったし、私も戻ろうかな」

翁までが何処かへと行ってしまい、私と要だけになった医務室。だが、決して二人きりになったからといって、特別な感情が生まれる事はない。少なくとも、私には。

「戻らないで。僕をひとりにしないで」
「私、そう言う誘いは無視するタイプなんだけど」
「無視しないでーせめて僕も一緒に連れてってー」
「じゃあ一緒に行こっか」

要を起こして、肩を組む。要の足取りが安定しないのは気にしない気にしなーい。って事で、どんどん歩くぜー。

「……あれ、琴葉。いつもより歩くスピード遅いけど、歩幅大きくない? どうしたの?」
「うるさい。黙って歩いて」
「へー……僕に合わせてくれてるんだ」
「……うるせー」

———と平和だった五分前。その時の雰囲気を返して欲しい。

「オラァァァアアアアアアア‼︎‼︎‼︎」
「死ねぇぇぇぇええええええええええ‼︎‼︎‼︎‼︎」
「勝つのはオレだぁぁぁぁぁあああああ‼︎‼︎」

って感じで騒ぐ囚人共。魔法の暴発故にフィールドはぐちゃぐちゃ。コトハチャンも手を出しにくそうに上空にいる。

一言で言って、カオス。

「琴葉……顔怖いよ?」
「ええ? そんな事ない筈だけど? ふふ」
「あー、うん」

囚人だとしても、一人の魔法遣いとして、この魔法の使い方はマジでないわー。ゴミ以下、ゴキ以上ってところかな。本当にゴキ嫌い。

「はぁ……後でぶっ殺す」
「程々にね!」

さて、解説していこうかね。

おっとー、急に一舎代表が魔法発動。させまいと三舎、四舎代表が邪魔するが、一舎代表は容赦なく魔法発動。三舎、四舎代表は吹き飛ばされるー。ここで一舎代表がドヤ顔! 気持ち悪い‼︎ とそこへ二者代表が攻撃ー。一舎代表、咄嗟にガードするが二舎の馬鹿力には勝てず後方へ吹っ飛ぶー‼︎ そして二舎代表の後ろに六舎代表が回ってドーン‼︎ 二舎代表、地面に強く激突‼︎ マジでなんなんだこの戦いわぁ‼︎‼︎

「四番、さっさと魔法を使え‼︎ 御前の魔法なら三秒で決着つくでしょうが‼︎」
「分かっている‼︎ 僕に命令するな‼︎」
「じゃあさっさとやりやがれ」

と言う事で、四番は水の魔法を展開。要が発動した“黒波乱舞”には劣るも、かなり高等な魔法。ふっ、勝ったな。
四番が発生させた水の渦は、他の選手やコトハチャンを巻き込んで空へと上がっていく。そして、かなりの高さになった所で魔法を切る。そのまま落下して、他の選手は戦闘不能。素早くコトハチャンの首を掻き切って、試合終了。

数十分後、四番から試合の時の自慢を長々とされる事になるのは、また別の話……かなぁ? そもそも話になるのか分からないんだけど。

「試合終了‼︎ 第三種目合計順位を発表するぜ‼︎ 一位、一舎‼︎ 二位、四舎‼︎ 三位、二舎‼︎ 四位、三舎‼︎ 五位、六舎‼︎ で、看守枠で脱落しちゃったけど、六位、五舎‼︎ って事で、準決勝に残るのは現在合計得点上位四舎‼︎ それはぁぁあああああ‼︎ 一舎、二舎、三舎、四舎だぜぇぃっ‼︎‼︎ 最後までおたのしみにぃぃいいい‼︎‼︎」

———遂にこの時が来たか。

彼奴らと本気でやり合える、数少ない舞台。

「……要。本気、出すよ」
「……うん」

準決勝の競技は“ディストラクション”。日本語にすると“破壊”。
各舎の主任看守と、副主任看守、二人で一チームの計八人で行われる、至って普通のクリスタル防衛戦。競技の名前はクリスタルを破壊する事から来ている。
この競技が終了した時の一位と二位の舎が決勝に進出。三位と四位の舎はそこで脱落。

この大会、一位の舎には好きなものが与えられるが、二位以下の舎には何も与えられない。だから、全員一位を狙ってきているため、ここで負ける事は出来ない。

故に、この競技は“地獄の準決”に相応しい、“破壊”の競技になっている。

毎年、この競技では出場者八人全員が医務室送りになる。
八人の内四人、つまり三位、四位になった舎の代表達は、魔法の直撃や魔法で作られた魔剣に因って深手を負い、意識不明の重体。一位、二位となり、決勝の出場権を掴み取った残りの四人も、魔力の使い過ぎや魔法の暴走に因って、かなりの傷を負う。

そんな、危険過ぎる競技が、これから始まる———


































が、その前に。

「お昼の時間だよ‼︎ 一舎から四舎の出場者達にはお昼が用意してあるから、主任看守が取りに来てネ‼︎ ミニ競技の参加者は、放送があったら舞台に来てネッ‼︎」

本当のカオスが始まる。
 
 

 
後書き
【MI☆O☆Uの次回予告だぜッ!!】
本当のカオスが始まる———
次回、『第32話 新年魔法大会【食事中なのに】』
ひたすら、遊ぶ。それ以外の選択肢、無し———
「囚人枠が雑すぎない?」だって? 看守枠、真面目にやったから——— 
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