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悲しい瞳

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第七章

「モンスターとは離れたくないね」
「お母さんだから」
 少女は悲しい目のまま答えた、彼女と同じ目をした少女も無言で頷く。
「だから」
「そうだね、じゃあね」
「私はこれから」
「そうした孤児院というかいい獣使いの人を知ってるから」
「その人のところに行って」
「いい人だよ、ただ子供がいないから」
 だからだというのだ。
「丁度いいよ、その人のところに行って」
「そしてなの」
「一緒に住める様にするよ」
「そうしてくれるの」
「今のままじゃその目のままだから」
 この上なく悲しい目のままだからだというのだ。
「それよりもね」
「その人のところに行って」
「暮らせる様にしていいかな」
「お母さんと一緒なら」
 モンスターを見てだった、少女はグレイカスに答えた。
「それなら」
「それじゃあね」
 話は決まった、グレイカスは少女とモンスターを心ある獣使いに預けその養子とした、少女達はそこで人の温もりと優しさを知り数年後笑顔になることが出来た。やがて少女は心ある若者と出会い結ばれることになるがそれは後の話である。
 少女を心ある獣使いに紹介したグレイカスはアユと共にだった。
 店の中でパプワニューギニア独特の石の上に置いたうえでココナッツミルクと土と挟んだうえで蒸し焼きにした芋や肉、野菜等をココナッツミルクの酒と共に飲みフルーツも楽しんでいたがその時にだった。
 手にあるものが宿った、彼はそれを見つつアユに心の中に言ってくる言葉を述べた。
「これはマサライの棒だね」
「何かブーメランみたいやな」 
 アユはその棒の形を見て言った。
「投げたら手元に戻るか」
「うん、相手にあたってもね」
 そうなるとだ、グレイカスは答えた。
「心の中の声がそう教えてくれるよ」
「それは強い武器やな」
「威力もかなりあってね」
「肝心のそれもええか」
「マサライはパプワニューギニアの神様で」
「その神様の力が宿ってるか」
「そうなんだ、そして神託を乗り越えて」
 グレイカスはさらに話した。
「僕自身もね」
「強くなったな」
「そうなったよ、全体的に一回りね」
「それはええことやな」
「じゃあ、この力でね」
「これからもやな」
「世界を救う為に頑張っていくよ」
 神託を適えたグレイカスは笑顔で言った、そうしてだった。
 今はアユと共に蒸し焼きの料理とフルーツを甘い酒と共に楽しんだ、次に動く為の英気を養う為に。


悲しい瞳   完


                 2019・4・21 
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