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悲しい瞳

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第五章

「特にサンダーヒポグリフは」
「多分そのお陰で」
「お母さんはそこまで君を大事に思ったいたんだ」
 グレイカスはそう察して少女に話した。
「そういうことだよ」
「そうなの」
「その愛情を大事にして」
 そうしてというのだ。
「今から山を降りて」
「村に行くの」
「そう、けれど君は何もしなくていいから」
「復讐は」
「僕達に任せて」
「私等やったら大丈夫や」
 アユは少女に笑って話した。
「それでな」
「今は」
「そう、大丈夫やさかい」
「だからなのね」
「あんたは何もせんでええで」
「復讐はしなくていいから」
 グレイカスも言った、森人のその顔は今は穏やかな笑顔だ。
「君もモンスターも。ただ」
「ただ?」
「その目は今すぐは無理でも」
 悲しみ、それに覆われた瞳を見て言うのだった。
「やがてはね」
「この目が」
「そう、笑える様になればいいとね」
 その様にというのだ。
「思っているから」
「それでなの」
「今は村に行こう」
 少女に話しつつだ、そのうえで。
 一行は山を降りて村に着いた、そしてだった。
 村に着くと村人達は少女とモンスターの姿を観ると一目散に逃げ去った、グレイカスはその彼等を見て言った。
「すぐに警察が来るね」
「最悪軍隊がな」
「彼等が来てもね」
 アユに余裕の顔で述べた。
「そんなことをしても」
「全くやな」
「僕達には意味ないから」
「素性を明かせばな」
「それでね」
 まさにそれだけでというのだ。
「終わることや」
「そやな」
「ただ、村人達の逃げ方は」
「もう丸わかりやな」
「心に疚しいことがあるから」
「怯えて一目散に逃げたな」
「自分の中にある良心から」
「そやな」
「さて、僕等はな」
 あらためてだ、英雄は述べた。
「そんなつまらない連中は放っておいて」
「村長のとこ行こうか」
「村長は許せない」
 父親であってもとだ、少女は俯いて言った。
「絶対に」
「うん、けれどね」
「復讐はしなくていいの」
「そんなことしなくても報いはね」
 それはというのだ。
「与えられるから」
「お兄さん達が」
「そう、だから任せて」
 グレイカスは少女に笑顔で話した。
「今から」
「それじゃあ」
「村長の屋敷に行こうね」
「私は何もしないで」
「むしろ何かしたら」
 それはと言うのだった。
「駄目だよ」
「憎いけれど」
「当然だね、お母さんをそうしたから」
 グレイカスは少女の気持ちはわかっていた、それもよく。 
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