おかしくなった自然
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第三章
立派な五色の道服を着た年老いたリザードマンの男が訳のわからないことを喚いて暴れ回っていた、郭はその男を見て言った。
「あれは」
「心当たりあるか」
「この広州の土地神だよ」
「街を護ってその自然を司ってるか」
「その神様だよ」
「その神様がな」
魯はその神を見て郭に話した。
「随分おかしいな」
「謎は解けたわ」
郭はここでこう言った。
「広州の土地神様はこの鉄塔に住んでたけれど」
「そこに落雷が落ちてか」
「その衝撃でな」
「おかしくなったんやな」
「神様やから落雷位では死なへんけど」
それでもというのだ。
「その衝撃でや」
「おかしくなったか」
「そうだね」
魯に真面目な顔で話した。
「それで街の自然もね」
「それを司る神様がおかしくなったらな」
「おかしくなったんだよ」
そういうことだというのだ。
「要するにね」
「そういうことやな」
「そう、だからね」
「街の異変をどうにかするには」
「神様を正気に戻すしかないよ」
「そやな、しかしな」
魯は郭に応えつつ広州の土地神を見た、すると明らかに狂気を見せている神は二人を見て早速襲い掛かってきた、それでだった。
魯はあらためてだ、郭に言った。
「こっちに来る、ここはな」
「一旦戦ってね」
郭も魯の言葉に答えた。
「大人しくなってもらって」
「それからやな」
「正気に戻ってもらおうね」
「そうしよな」
二人で話してだ、襲い掛かってきた土地神との戦闘に入った。流石に神だけあって強く二人も苦戦した。
一進一退の攻防が続いた、だが神が大きな術を使おうとした時に。
郭は自身の神具である叫名棍を使った、すると神は動きを止めた、その一瞬にだった。
郭は魯と共に懇親の術を次々に神に向けて放った、すると流石の神も動きを止めてその場に倒れた。そうしてだった。
目を覚ますとだ、こう言った。
「わしは一体」
「正気に戻りました?」
「むっ、そなた達は」
「はい、僕達はです」
郭は神に応えて魯と共に自分達のことを話した。そして神と街がどうなったのかも話した。するとだった。
神は項垂れてだ、こう言った。
「あの時わしはここでしこたま飲んでいてな」
「そこにですか」
「落雷を受けてな、普段は避けられたが」
「かなり酔っておられたので」
「よけられずまともに受けてな」
「その衝撃で、ですか」
「おかしくなった」
そうなってしまったというのだ。
「ここはな」
「やはりそうでしたね」
「不覚を取った、雷が落ちる様な時はな」
「神様でもですね」
「落ちる様な場所で飲まんことだな」
酒、それをというのだ。
「全く以てな」
「そうですね、神様は落雷を受けても死にませんが」
「雷の程度にもよるが」
「相当な強さのものだと」
「それをまともに受けてな」
「おかしくなることもあるので」
「特に酔っていればな」
そうであったなら尚更というのだ。
「そうなるな、その為広州の者達に迷惑もかけたな」
「まあ誰でも間違いはありますからね」
それはとだ、郭はここでは神を責めなかった。
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