大地の指輪
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第四章
「あれは頼まれてだよ」
「頼まれて?」
「そうだよ、そこはな」
実際にと言うのだった。
「北の島の村の連中に頼まれてな」
「この島のかいな」
「そうだよ、すぐ北のな」
「あの島か」
どの島かだ、ハウオファはすぐに察して述べた。
「あそこは小さな村があったな」
「その村の長老からな」
「頼まれたか、そういえばあの島も大地の女神を信仰してるな」
「あの指輪は元々あの島の村人達のものだったってな」
「村人達に言われたか」
「あそこの長老さんにな」
「そうか、ならな」
ハウオファはここまで聞いて言った。
「あっちに行くか」
「そうするのか」
「今からな、それでな」
「おっと、わしを捕まえるか」
「盗みは盗みや」
ハウオファは大盗賊に顔を向けて告げた。
「捕まえん筈がないやろ」
「そうか、ならな」
「逃げるつもりか」
「いや、今は大人しく捕まる」
「捕まったら相当長い歳月刑務所やぞ」
窃盗、その罪状でというのだ。
「それでもええか」
「死刑にはならんな」
「この十星連合では殺人とかせんとや」
即ち凶悪犯罪に手を出さないと、というのだ。
「死刑にはならん、けどな」
「裁判にかけられてか」
「下手したら一生刑務所から出られんぞ」
「そうか、しかしな」
「今は逃げんか」
「あんた達は強いな」
二人を冷静に見ての言葉だ、二人から発せられるオーラを見てだ。
「逃げても捕まる」
「そやからか」
「ここは捕まるわ」
大人しくとだ、こう言ってだった。
大盗賊はこの時は大人しく捕まった、だが留置所に入るとすぐに脱獄して何処かへと去ってしまったがこれは別の話である。
二人はすぐに北の島に行った、そしてその村のエルフの長老に自分達の身分を明かしたうえで指輪を神殿に返す様に言ったが。
長老は二人にだ、困った顔で言った。
「あの指輪は元々この島の宝で」
「そうやったんか」
「何百年も前にどういう経緯かあの島に移って」
そしてというのだ。
「そうしてです」
「取り返す機会を待ってたか」
「そうでした」
「そうか、しかしな」
「それは、ですか」
「あの島は地震が多くてな」
それでというのだ。
「あの指輪がないとな」
「地震が起こりますか」
「それも徐々に強くなってる」
ハウオファはバイテと共にいつつ長老にこのことも話した。
「そやからな」
「だからですか」
「そや」
それでというのだ。
「あの島に指輪を置かんとな」
「ですが元々この島の宝なので」
どうしてもと言うのだった、長老にしても。
「取り返してもらったからには」
「そうか、ほなな」
「ほなとは」
「ここはな」
ハウオファは考える顔になって長老に話した。
「神殿の方と話してな」
「そしてですか」
「ちょっと考えてみるわ、おら達も間に入るさかい」
「それでは」
「この島の宝が何であっちの神殿に渡ったのかも知りたいしな」
こう言ってだった、ハウオファ達は一旦神殿に行って神官長にも事情を話してそうしてだった。二人が間に入ってだった。
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