夢幻水滸伝
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第八十九話 東国統一その十二
「日葵ちゃんと話して決めたんだよ」
「そうしてるね、実際に」
「ああ、横須賀にも艦隊置いてるけれどな」
「あれは守りだね」
「そうだよ、折角だけれどな」
「攻めるものじゃないね」
「だからな」
それでというのだ。
「攻めるなら陸しかねえけれどな」
「相手もわかっててね」
「守りを固めてるからな」
「厄介だね」
「ああ、攻めるにはな」
そうするにはというのだ。
「厄介だな」
「どうしたものかね」
「内政に専念するけれどな」
それでもというのだ。
「そればっかりじゃな」
「日本の統一は出来ないし」
「正直困ってるぜ」
手詰まり、幸田はそれを感じていた。
しかしだ、元来陽気な気質の彼は深く悩む気質ではない。それで麻友に対してこう言ったのだった。
「けれど困ってるなら動けってな」
「動いてだね」
「困っている状況をな」
それをというのだ。
「打破するだけだぜ」
「それだけだね」
「隙を見て攻めていく」
「それだけだね」
「ああ、今は待つぜ」
「吉君の性分じゃないね」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「だからな」
「ここはだね」
「内政しながら状況を伺うぜ」
「そうしようね」
「そして美味いもんも食ってな」
ここでは笑ってだ、幸田は麻友に顔を向けて言った。
「美味い酒も飲んでな」
「待つんだぜ」
「今晩は飲むぜ」
「肴は何にするんだい?」
「刺身、あと豆腐か」
この二つだというのだ。
「それでな」
「楽しむんだね」
「ああ、それかな」
どうかとだ、さらに話す幸田だった。
「すき焼きしてな」
「豪勢だね」
「星の奴全員集めて楽しむか」
「東国の星の人全員で」
「おう、九人でな」
仲間達全員でというのだ、幸田にとって彼等はそうした存在なのだ。
「そうするか」
「そっちの方がいいね」
「九人全員ですき焼き食う方がだね」
「ああ、いいかもな」
「それじゃあ作るね」
「わかってるよな、すき焼きはな」
「東京のだね」
すき焼きも関東と関西によって調理の仕方が違う、江戸っ子の幸田は言うまでもなく関東派である。
「それをだね」
「ああ、食ってな」
そうしてというのだ。
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