寂しい女神
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第四章
「それで何も出来なくて」
「退屈やったか」
「そうなのよ、それでそこにね」
「それがし達が来たんやな」
「そうよ、それでね」
「退屈から逃れられるってか」
「思ってるけれど。一緒に遊んでくれて」
寂しさから解放された顔でだ、女神は言った。
「その後は」
「それがし達もここにずっとおれんしな」
「そうよね」
「そやからそれがし達が出たら」
「その時からまた、よね」
「そうなるな、ほなな」
ここはとだ、また言ったバイテだった。そしてここで女神達に自分達の素性を話した。そうして彼等に言った。
「そういう訳でな」
「私のことも何とか出来るの」
「そや、この神殿に神官を何人か送って」
そしてというのだ。
「この神殿を奇麗にしてちゃんとな」
「神官さん達がいつもいてくれる様にするの」
「そうするわ、まあ廃寺とかどうしてもあるけど」
それでもとだ、バイテは言うのだった。
「それぞれの教団で出来る範囲があるけれど」
「そうじゃないとなのね」
「それを何とかするのも政やしな」
こう言ってだった、バイテはすぐに手配して神殿に神官達を置いて神殿を復興させ観光地としてもアピールさせた。愛嬌のある女神がいつもいるということを喧伝させて。するとこのことは当たってだった。
奇麗にされた神殿には人が常に来る様になり女神は寂しい思いをしなくなった、また無人島も観光地としてやがて人も住む様にもなった。
こうしてバイテは女神の孤独を救いタヒチを後にすることになった、その時にだった。バイテの手にあるものが宿った。彼はその宿ったものを見つつそのうえで自分の中に語り掛けてくる話の内容をハウオファに話した。
「これはや」
「お守りやな」
見れば貝殻、虹色に輝く巻貝のそれだった。それが幾つもネックレスの様に連なって配されている。
「どうやら」
「そや、トフの守りや」
「確かタヒチの海の神様やな」
「敵のあらゆる攻撃から身を守ってくれる、特に水関係からな」
「そうしたお守りか」
「それを貰った、これは有り難いわ」
「そやな、ほなな」
「この神器の力も使って」
そしてと言うのだった。
「しかも神託を適えてな」
「そのことからもあるか」
「それがし自身も全体的に一回り強なった」
このこともあるというのだ。
「そやからな」
「このことも使ってやな」
「それでや」
そのうえでというのだ。
「これからはな」
「新しい神具とその強くなった力でやな」
「世界を救う、ほな行こうな」
バイテはハウオファに言ってだった、今はタヒチを後にした。そうしてそのうえで世界を救う為に動くのだった。
寂しい女神 完
2019・4・18
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