魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話
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第百八十四話
グリニッジ標準時一月八日15:00。
『これより作戦を開始する』
その日、世界はISの兵器としての力を改めて思い知らされた。
同時刻、アメリカホワイトハウス前。
ホワイトハウス前の通りにアジア系の女が立っていた。
「こちら01。作戦を開始する」
女が指輪をそっと撫でた。
「我が祖国のために!」
女の体が物々しい装甲に包まれる。
緑色の機体色。
各部ハードポイントに付けられた多量の武装。
フランス製IS、ラファール。
女はふわりと浮かび上がり、目の前の建物に、ありったけの武器で攻撃を仕掛けた。
ミサイルやロケットランチャーによってホワイトハウスが破壊されてゆく。
弾切れの武装を次々パージし、次の武装を量子展開。
動く武器庫の異名を取るラファールの一つの真価がそこにはあった。
あらかたホワイトハウスを破壊し終えると、女が背を向けた。
そして、女は逃げ惑う市民に目を向け……。
ガトリングの砲口を向けた。
「死ね」
ばらまかれた銃弾が一般市民の体を抉る。
「任務完了。帰投する」
同時刻、ニューヨーク国連本部前。
「02。作戦開始」
女がラファールを纏う。
その装備は全てがロケットランチャーやミサイル砲。
対ISでも拠点制圧でもなく、対建造物装備。
女がトリガーを引くと、全ての誘導弾が国連本部ビルに向かって発射された。
ビルの中程に集中して叩き込まれるミサイル。
やがて、爆発音意外の音が辺りに響き始める。
軋むような音だ。
ガキン! という嫌な音と共に、国連本部ビルが『折れた』。
ラファールが残りの武装を辺りにばらまく。
「任務完了。帰投する」
同時刻、大韓民国国会議事堂前。
「03。作戦を開始する」
女がロケットペンダントを開け、中の写真を見る。
「亡き祖国と家族のために!」
女の体を緑の装甲が包み込む。
「愚民共に正義の鉄槌を!」
国会議事堂を破壊し、市民を虐殺した女は龍山基地…在韓米軍の司令部へと向かった。
火砲に曝されながらもラファールは悠々と基地へと乗り込んだ。
追加の武装を展開した女が司令部へ狙いを定める。
「調停者気取りの罪人共め!」
カチリと、トリガーが引かれた。
同時刻、日本国皇居地下。
『現在地上施設が攻撃を受けている。神器隊は即座に適性ISを無力化せよ』
簡易カタパルト内にアナウンスが響く。
『ホログラム解除。ハッチオープン』
スターターのランプが赤から青へ。
「了解。神器隊ツルギ、大和出ます」
「カガミ、武蔵出ます」
「マガタマ、信濃行きます」
皇居城壁一部から三機のISが射出された。
テロリストのラファールに三条の光が伸びる。
曳光弾の光だ。
ラファールのハイパーセンサーが三機を捉える。
「日本軍か!?」
『目的は達した。撤退せよ』
量子通信で告げられた命令通り、ラファールが逃走を開始する。
「こちらツルギ。追いますか?」
IS大和を駆るパイロットが司令部に尋ねる。
『大和及び信濃は追撃、可能ならば捕縛せよ。武蔵は0エリアで後続の敵機に備えよ』
「「「了解!」」」
近距離型の大和と長距離型の信濃がラファールを追い、中距離型の武蔵が戦闘態勢で待機する。
「マガタマ、先行する。援護しろ」
「了解、隊長」
大和が全スラスターを後方へ向け、ラファールに突っ込む。
その手に握った薙刀を前方へ向け、一本の矢と化す。
「カミカゼアタック!?」
ラファールが大和にマシンガンを向けるが、シールドに阻まれ、弾は通らない。
「でぇぇぇりゃああああぁぁぁっっっ!!!」
薙刀の鋒がラファールのシールドに触れる寸前、大和のシールドが消えた。
否、鋒に集束した。
その一撃は軍用出力のラファールのシールドエネルギーを削り取り、絶対防御を発動させた。
「敵機の絶対防御発動を確認。これより捕縛する」
side in
「なるほど? 俺らがズコバコやってる間にそんな事がねぇ…」
朝起きるとカンファレンスから緊急通達が来ていた。
即座に管理者権限でコアにアクセスし、各機のプロパティを閲覧し、ワイヤーフレーム化。
それをホログラム映像で閲覧。
ネットに繋ぐとテロリストの犯行声明が出されていた。
『我々は朝鮮民主主義人民共和国再独立軍!
我々は亡き祖国のため! 亡き閣下のため!正義の名の下に立ち上がった!』
Re:independent Democratic People's Republic of Korea force.
略称はR:DPPK。
動画サイトを閉じる。
この後の演説の内容なんぞ聞く意味も無い。
ふーむ…。とりあえずR:DPPKがこちらに直接危害を加えない限り放置でいいか…。
「んぅぅ……」
隣から艶かしい声がした。
「姉さん、もう朝だよ。起きて」
姉さんの体を揺り動かす。
「30秒まってくれ…」
姉さんが仰向けのまま、全身の気の巡りを加速させる。
そしてきっかり30秒後、姉さんが体を起こした。
「んー………ん?」
姉さんが顔を動かさず視線だけを動かした。
きっと緊急通達を見ているのだろう。
「ISテロだと…?」
「そう言うこと。ホワイトハウスを半壊、国連本部倒壊、韓国国会議事堂を全壊、皇居を小破。
ワシントンの奴はホワイトハウス直衛の追撃を振り切り海中へ。
ニューヨークの奴は追撃を受けずに海中へ。
韓国の奴は韓国国会議事堂と在韓米軍司令部を破壊して逃走。
皇居に現れた奴はどうにか捕縛したらしい」
「なるほど」
姉さんがバタンと後ろに倒れた。
「で、モンドグロッソは無期限中止か」
国連本部、つまりIS委員会本部が壊され、モンドグロッソが中止になったのだ。
それだけで莫大な損害が出る。
こう言ってはなんだが、今回のテロは大成功だろう。
「それにしても、ここには情報回ってきてないんだね。
IS部隊の基地なのに」
来ていれば姉さんにも招集がかかったかもしれない。
そうでなくとも慌ただしくなるはずだ。
「シュヴァルツェア・ハーゼは御飾りの部隊だからな」
「いいの? そんな事言って?」
「事実だ。なんのためゲオルグみたいな無気力で野心のない男が基地指令をやっていると思っている」
「クーデター防止?」
「ああ。そしてそんな男に与えられた部隊が期待されると思うか?」
たしかにそうなんだけども。
「恐らくだが、ドイツで最もISに長けた女は軍じゃなくてどこぞのSPだろうな」
「身も蓋もない話だねぇ」
ホロウィンドウを全て閉じ、服を量子展開する。
「とりあえず朝ごはんたべよ」
朝食を取って諸々の準備をして猫化し、姉さんの後に続いてシュヴァルツェア・ハーゼのミーティングルームへ。
姉さんが入ってきてもざわめきは治まらない。
耳をすますと、皆テロの話をしていた。
「静まれ子ウサギ共ー」
姉さんがシュヴァルツェア・ハーゼを黙らせた。
「全員知っているだろうが、本日明朝アメリカ、日本、韓国でISを使ったテロが発生した」
姉さんがはっきりと告げ、シュヴァルツェア・ハーゼの面々が息を飲んだ。
「次、いつどこでISによるテロが起こるかはわからない。故に、今日からは実戦を前提とした戦闘を教える。
私が教えることのできる全てを伝える。
いいな?」
ヤヴォールッッッ‼ と全員が返した。
その日は全ての訓練を中止しての座学だった。
そこで明かせる限りのISの裏技や裏コードを教えていた。
と言ってもシールド集束砲とかのレベルだ。
応用的な一撃必殺とかね。
そういえば皇居守備隊の人が最後に使ってたのって姉さんが代表時代に自衛隊に教えてたやつだよな…。
宮内庁からの出向組かな…?
ミーティングルームの後ろでごろごろしていると、後ろの扉の隙間から手招きする手が見えた。
そっと出るとゲオルグ准将がいた。
そして何故か手に猫じゃらし。
「ほれほれ」
准将が振る猫じゃらしをぺちぺちたたく。
「んにゃーお」
「ふぅ…。癒される…」
だいぶお疲れのようで。
「聞いてくれ一夏君。ISテロのせいでシュヴァルツェアハーゼが存続の危機だ。
まったく…私がクーデターなぞ起こすはずないのになー…」
寝転ぶと疲れた表情の准将が俺のお腹をもふもふぷにぷにする。
なんで准将こんなに撫でるの上手いんだろう?
「ごろにゃーん……ごろごろ……」
「ああ……一夏君。ドイツに移住する気はないかね…。ないなら無いでいいから私にいいペットを紹介してくれないか…」
「にゃぉーん?」
「癒しが…癒しが足りんのだよ…」
そういう事なら…。まぁ…。
という訳で人化してから准将の部屋へ行きこっくりさんみたく動物霊を召喚した。
「准将。ラウラ少尉を呼び出してはいただけませんか?」
「ん? 構わんよ」
「ラウラ少尉をNINJAにしますがよろしいですね?」
「ああ。いいとも」
准将がウキウキしながら姉さんに連絡を入れた。
数分待つと姉さんとラウラが来た。
「なんでラウラを呼び出したんだ一夏」
「え? 思いつき。ラウラもNINJAにしたらおもしろそうだなーって」
「ほう? それはお前が抱き抱えているモノと関係あるのか?」
「もちろん」
俺が抱いているのは、半透明のウサギだ。
昔の橙のように、障壁魔法で外形を為している。
「こいつはイナバ。俺が呼んだウサギのゴーストだよ」
「憑けるのか?」
「さぁ? 取り敢えずマスター権限をラウラに移譲しようかなって」
「なぜいきなりなんだ…」
なぜってそりゃ……。
ゲオルグ准将を手のひらで指す。
「あのオジサンが癒しが欲しいって言ってたから」
「ならマスター権限はゲオルグでいいだろう」
「それやると准将が干からびて早死にするけど?」
「ああ…そうか…そうだったな…」
俺達は若いし、気功によって常人の数倍の速さと量で生命力を補充できるから姉さんは忘れていたようだが、式神というのは術者の生命力を糧に現世に顕れるのだ。
「だからマスター権限はラウラに移譲する。気功教えてるんでしょ?」
「あくまで気功を回せる程度だぞ?」
「人間の首を折れるくらいだから大丈夫さ」
ラウラを手招きする。
「兄様」
ラウラは少し不安げな顔をしていた。
「なにも心配はいらない。さぁ、手を出して」
ラウラにイナバを抱かせる。
そして、マスター権限をラウラに移譲。
「これでイナバはお前のファミリアだ。マスターが始めから気功を使えるラウラなら、イナバも恐らくは直ぐに人化できるようになるだろう」
「きゅー」
とイナバが鳴く。
「あ、就業中はゲオルグ准将に預けとこうな」
「うむ。わかったぞ兄様」
ラウラがイナバを准将に渡す。
「…かたい」
「一月もすればもふもふになるので我慢してください准将」
「うむ…」
少し不満げな准将。
姉さんとラウラと部屋を出る。
「姉さん、ラウラ」
「どうした?」
「そろそろ発とうと思う」
「………………………そうか」
長い沈黙だった。
「ISテロで各国の防衛網が強化されてる。空路は難しいから、海路で行こうと思う」
「わかった」
姉さんが膝をついた。
「夏には、ラウラを連れて日本にいく」
「うん」
「最後にキスしてくれ」
姉さんと唇を重ねる。
舌を絡める。
温もりを共有する。
唇を離した。
姉さんが立ち上がる。
「一夏、ラウラにもやってやれ」
「はぁ?」
なに言ってんの?
「もちろん唇だぞ。舌も捩じ込んでやれ」
「頭沸いてるの?」
「ほら! いいから!」
ラウラの方を向かされた。
コテン、と首をかしげている。
「あー…ラウラ。嫌なら突き飛ばせ」
ラウラを抱き寄せ、唇を奪う。
箒や姉さんに対して行う物とは違う、労るようなキス。
ゆっくり5hitくらいした。
「に、兄様!な、なんだ今のは!?」
「まぁ…。続きは姉さんにきいてくれ…」
ラウラを手で制す。
「じゃぁね、二人とも」
窓から出て、飛行術式と光学迷彩術式を起動する。
「さらば愛しのドイツ……。ってね」
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