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ある晴れた日に

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171部分:輝けダイアモンドその五


輝けダイアモンドその五

「そういうことで」
「止めます、はい」
「そういうことよ。わかったら」
「音橋君、竹林さん」
 二人は強引に話を終わらせるとそのうえで正道と未晴に声をかけてきた。
「御願いするわね」
「今日の放課後ね」
「ええ。じゃあ行って来ますよ」
「二人で」
 こうして話がまた一つ進んだ。そうしてその日の放課後。最後の授業が終わって正道は早速ギターを背中に担いで自分の鞄も持ってそのうえで未晴に顔を向けるのだった。
「じゃあよ、竹林」
「行くのね」
「その前に何処かに寄るか?」
 不意にこんなことを言う正道だった。
「何だったら喫茶店で一服してからでもな」
「ううん、もうすぐに行きましょう」
「もうすぐにか」
「まずは仕事を終わらせてからね」
 しっかりとした調子で彼に告げる。
「そうしてからでどうかしら」
「そうだな」
 正道も彼女のその言葉に頷いた。
「考えてみればそれが一番いいよな」
「その方がほっとするじゃない」
 静かに微笑んでまた彼に言ってきた。
「全部終わってからコーヒーでも紅茶でもね」
「ああ。じゃあまずは八条学園まで行ってな」
「そうしましょう」
 また正道に言ってきた。
「お仕事を終わらせてからね」
「しっかりしてるよな」
 正道はそんな未晴の言葉を聞いて言うのだった。
「そういうところ。やっぱりな」
「そうかしら」
「だってよ。仕事前に一服ってなったりするじゃないか」
「そうなの?」
 未晴は彼の言葉に対して首を捻るのだった。少なくとも彼女はそうではないことがここでわかる。それを示す動作であるからだ。
「私は。それは」
「そこが真面目なんだよ」
 彼が言うのはそこだった。
「まず仕事を終わらせてからだよな」
「ええ」
 あらためて正道の言葉に対して頷く。
「そうよ」
「そういうのがな。ないからな」
 正道はここで自分を振り返って述べた。
「俺にはな」
「俺にはって。そういうのは駄目よ」
 未晴の声も顔も少し咎めるものになっていた。
「それはね。やっぱりね」
「ちゃんと仕事を終わらせてからね」
「わかったさ。それじゃあな」
 正道は何だかんだで未晴の言葉に頷くことにした。
「終わらせてから。喫茶店に寄るさ」
「そうしましょう。まずはね」
「それでな。申請だけれどな」
「ええ」
「これはすぐに終わるよな」
 こう言う正道だった。
「申請するだけだからな」
「あとは届けてもらってね」
「何だ、あっさりと終わる話だな」
 正道は言ってからこうも思った。
「それだけか」
「だから。終わってからね」
「わかってるさ。それで竹林よ」
「今度はどうしたの?」
「御前何でまた俺と一緒に来たんだよ」
 隣にいる未晴に顔を向けて問うたのだった。
「一人でもいけるのによ」
「それは言ったと思うけれど」
 未晴は彼のその問いに落ち着いた顔を向けつつ尋ねてきた。
「だから。一人より二人でね」
「行く方がいいっていうんだな」
「そういうことよ。やっぱり一人より二人よ」
 このことをまた言うのだった。
 
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