ロックマンX~Vermilion Warrior~
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第104話:Miss
オリハルコン。
水素。
エネルギーカートリッジ。
エニグマの強化に必要なパーツを得たエックス達は、最後のパーツであるレーザー装置を得るためにホタルニクスのレーザー研究所に向かおうとした時、ルナと鉢合わせした。
入ってきたルナが手にしていた物にシグナス達は目を見開く。
「それは…もしかしてホタルニクス博士のレーザー装置!?」
「やはり君はホタルニクス博士の元に行ってたんだね」
「ああ、爺さんに頼んで渡してもらったんだ。あの人は俺の友達だからな」
「ありがとう!!これでエニグマが完成して地球滅亡の危機を防げるわ!!」
「ホタルニクス博士は?是非一度会って彼に礼を言いたいのだが?」
吉報にシグナスが珍しく顔を綻ばせていたが、ルナの表情は沈んでいく。
「爺さんはシグマウィルスに侵されてた…俺にレーザー装置を託して…シグマウィルスの温床になっていた研究所ごと自爆したよ。」
段々と彼女の声が震えていき、シグナス達は彼女にかける言葉が見つからなかった。
「そうか…」
「ホタルニクス博士…惜しい人を亡くしたね……」
「何てことだ…この世からまた天才がいなくなるとは…世界の損失だ…」
ホタルニクスとはそれなりの付き合いであったゲイトも顔を手で覆いながら無念そうに呟いた。
「エックス、ゼロ、ルイン。頼みがある」
「何だ?」
「爺さんは世界の平和を任せるって言ってた。俺からも頼む。爺さんが守ろうとしたこの世界を…あんな屑野郎の好きにはさせないでくれ…!!」
涙を流しながらも力強く発せられる言葉にエックス達は頷いた。
「よおし!!てめえら!!今からエネルギー加速装置を開発するから足を引っ張るんじゃねえぞお!!」
【おおっ!!】
そしてレーザー装置を使い、急ピッチでエネルギー加速装置の開発を開始するルナ達。
それを遠くからエックス達が見守る中、ダグラス達に的確に指示を与えつつ、かなりのペースでエネルギー加速装置の開発が進んでいく。
「(大したものだな…)」
決してゼロも彼らの役目を軽んじていた訳では無い。
だが、こうした優秀なスタッフの支えがあってこそ自分達は心置きなく戦えるということを改めてゼロは実感していた。
「ルナって強いね…あんな悲しいことがあったのに…」
「親しい人を失って辛いはずなのにな…」
エックス達はルナの心の強さに感嘆していた。
親しい人を喪った悲しみは凄まじいだろうに彼女はそれを作業中に全く感じさせない。
エックスやゼロ、ルインでさえ親しい人を喪った時には様々な感情が入り乱れるというのにである。
そしてタイムリミットが訪れれば世界は滅ぶというそんな極限の緊張状態にあっても彼女は普段通りで焦りを全く感じさせない。
ユーラシア墜落まで後5時間を切ろうとしているが、絶望に屈しない彼らの姿にエックス達もまた最後まで抗い続ける事を今一度改めて決意していた。
エネルギー加速装置が完成し、エニグマに取り付けると、最後の調整を終えたルナが叫んだ。
「ふう、エニグマ完成だ!!ちょっとばかしボロいが、パーツで補強したから何とかなるだろう!!いつでもコロニーにぶちかませるぞ!!」
ルナの声にハンターベースにいる全員が活気づいた。
当初はエニグマで本当に破壊出来るかどうかは不安だったが、ルナの協力を得たことにより、オリハルコンを砲身の強化だけではなくエンジンに応用したことで、当初の強化案の3倍以上の出力を獲得した現在のエニグマ。
「まあ、正直…これだけしてもエニグマでコロニーを破壊出来る可能性は50%だな。」
「そうだね、僕も威力向上のために色々と考えてみたけれど…あれ以上は無理だった…それでも最初よりは遥かに良くなったけど」
「でも成功率は50%もあるんだよ!!破壊出来なくても地球への軌道を逸らすことが出来れば…」
「成功することを祈るしかない」
全員はモニターに映るコロニーを見つめ、エイリアとアイリスは出力や発射位置を検証している。
それもやがて終わり、発射準備が整った。
「いよいよこの時が来たな」
エネルギーチャージを終えたエニグマを前にシグナスが万感の思いを込めて呟く。
時間も無く幾つもの制約が掛けられた厳しい条件化でスペースコロニー・ユーラシア墜落予想時間まである程度の余裕を以って、ここまで漕ぎ着けられたのは流石にエックス達と言ったところか。
更にジャンク屋でありながら特A級クラスの実力を持ち、優秀な技術者であるルナの手で最初に立案された強化よりも大幅に強化されたのも大きい。
「きっと上手くいくよね?」
「分からない…分からないけれど…」
「破壊出来なくても、コロニーの地球落下への軌道をずらすことさえ出来れば良いんだよ。頼むぜ…爺さんが決死の思いで俺に託してくれたんだ…」
祈るように呟くルナ。
そんな彼女を見遣りながらエックス達もモニターを見つめた。
「今より地球の運命を賭け、エニグマによるユーラシア砲撃作戦を開始する」
厳かに宣言する総監シグナス。
「エネルギー充填完了。エニグマの出力、発射角度。共に問題ありません。」
シグナスに向かってアイリスが報告することで全ての準備は整った。
後は運を天に任せるのみ。
「よし…発射!!!」
それは外でハンターベース周辺を警護していたハンター達もエニグマから勢いよく放たれる閃光を見ていた。
『発射!!!』
シェルターに避難していたケイン達も、シェルターのモニターでハンターベースとエニグマの様子を見守る。
『発射!!!』
目も眩まんばかりの途轍もない閃光が周囲を多い尽くし、天に向かってエニグマから放たれる巨大なビーム。
それは瞬く間に成層圏に達し大気圏を突き抜けると寸分違わず標的であるユーラシアに向かって伸びていき、そしてエニグマのビームがユーラシアに直撃した。
あまりの衝撃にコロニーの全貌が見えない。
光、土煙、しばらくしてやっと訪れた暗黒と沈黙。
「やったか?破壊したか?エイリア、アイリス、どうなんだ?」
傍らのエイリアとアイリスに向かってシグナスが呼び掛けると彼女達もシグナスに向かって頷き、すぐにコンソールパネルを叩きユーラシアの座標地点の様子を探る。
その様子をシグナスも、エックスも、ゼロも、ルインも、ルナも、ゲイトも、ダグラスも固唾を飲んで見守っている。
時間経過と共に彼女達の表情が曇っていく。
「……駄目…です。」
「……コロニー破壊率…62%……コロニーの落下軌道が多少変わって衝突までの時間が…延びたに過ぎないわ…」
「な…?そんな…マジかよ…地球落下の軌道をずらすことさえ出来なかったのかよ…爺さんは無駄死にだったってのかよお…!?」
「そんな…!!」
女性陣の悲痛な声が静かな指令室に響き渡る。
沢山の犠牲を生みながらも完成させたエニグマによる狙撃が無駄に終わったことに絶望を隠せない。
「くっ、この僕まで参加していながらこんな結果とは何て様だ…!これではホタルニクス博士に顔向けが出来ない…!!」
「くそ…ここまでなのか…!?」
「いや、まだだ!!まだこれからだ…まだ俺達には次の…次の作戦があるんだ!!それに賭けよう。俺は…俺は最後まで絶対に諦めたりはしない!!少なくとも、ホタルニクス博士達のおかげでコロニー落下までの時間を延ばすことは出来た!!彼らのおかげで出来た時間で次の作戦…スペースシャトルによる破壊作戦を成功させるんだ!!」
「次の作戦か…」
エックスの言葉に勇気付けられるように顔を上げるシグナス…。
だが、もはや次の作戦として彼らに残された手段は作戦とさえ呼べる物ではなかった。
「そうだな、爺さん達がくれた時間を無駄にするわけにはいかねえ!!」
「ふっ、そうだね。それにこのままシグマの掌の上で踊らされて終わりだなんて僕はごめんだよ」
「同感だ。俺もこのまま大人しく滅んでやるつもりはない」
「そうだよね!!最後まで諦めちゃ駄目だよね!!」
「そうね、希望がある限り抗いましょう」
「はい、最後の最後まで!!」
それでも絶望と同様に希望もまた伝染するのだ。
エックスの言葉によってルイン達の目に希望の光が灯ったのだ。
「………お前達…ふっ、そうだな。地球の未来がかかっているんだ。お前達の言う通り我々までが希望を捨てる訳にはいかないな。これよりスペースシャトルによるコロニー破壊作戦を実行する。アイリス、説明を」
シグナスは一同を見回しながら作戦開始を伝える。
「はい、総監。前にエイリアさんが説明したようにスペースシャトルでコロニーに接近し、そのまま特攻する作戦です。シグマウィルスの影響でオートパイロット機能が使えないから、必ず誰かにパイロットとして搭乗してもらい、パイロットにはギリギリで脱出してもらう事になります…もし少しでも脱出するタイミングが遅れてしまえば爆風に巻き込まれて命はありません…。この作戦に使用するシャトルはただの移動用なので、当然エニグマと同じで今のままではユーラシアを破壊するには威力が全然足りないので、エニグマ同様にパーツを調達して補強しなくてはいけません。シャトルをミサイルのように改造する感じで…」
「そうか…シャトルの補強に必要なパーツはどこにあるんだエイリア?」
「待ってて…急いでパーツの在りかを調べるから…」
エックスに尋ねられたエイリアが即座にパーツの在りかを探し始める。
「お前達は少し休息に入るんだ。今から30分だけだが、仮眠を取れ。精神的な疲労を少しでも取って来るんだ…我々にはもう些細なミスすら許されないからな」
「了解」
息を吐いた途端に一気に疲れたような気がしてルイン達は重い足取りで指令室を後にして仮眠を取るためにカプセルルームに向かう。
エニグマによる狙撃でユーラシアを破壊する作戦は失敗に終わってしまったが、次のスペースシャトルによる特攻作戦のために現時点で動ける者がそれぞれに出来ることをする。
「スペースシャトルか…正直かなり分が悪い賭けには違いはない。今までのシグマウィルスのパターンを解析したプロテクトプログラムを組み込めばオートパイロット機能が使えるはずだ。問題はシグマウィルスの自己進化前にシャトルをユーラシアにぶつけられるかだが…」
ハンターベースの格納庫で最後の希望であるスペースシャトルを見上げるゲイト。
『君…』
「ん?誰だ…」
周囲を見渡すが誰もいない。
「空耳…?いや、しかしレプリロイドが空耳など…いや、それほど疲れているのか…?」
『空耳などではないよ。わしはここにいる』
「何?あ、あなたは…」
目の前に突然カプセルが出現し、ライト博士のホログラムが出現する。
いきなりホログラムとは言え伝説の科学者が現れたことにゲイトは驚愕した。
『ふむ、君がゲイトか…ふふ、わしの昔の友の若い頃を思い出させるような良い目をしておるな』
ライト博士がゲイトを見て最初に思ったのは若い頃の夢に情熱を注いでいた時のワイリーであった。
「トーマス・ライト博士…いくつもの目撃情報は聞いていたが、まさか僕の前にも現れるなんて…しかしこのホログラムは…人格をインプットしているのは分かるが、これ程までの人格プログラムを…」
『ふふふ、気になることは追求せずにはいられないと言うのは科学者の性なのは分かるが、今はわしの話を聞いて欲しい。』
同じ科学者であるライト博士にはゲイトの行動は科学者としての性であることが理解出来るのか、微笑みながら話を聞くように促す。
「…分かりました。」
ホログラムについてまだ気になる点はあるが、取り敢えずライト博士が自分の前に現れた理由を聞かなければと耳を傾けた。
『君が優秀な科学者であることはエックス達の記憶を通して知っている。君の科学者としての実力を見込んでこれを渡したい。このデータファイルを受け取って欲しい』
ライト博士がゲイトに渡したのはエックス達に差し出したファルコンアーマーのパーツファイルよりも大きめのデータファイルであった。
ファイルに刻まれているのはファルコンのFではなくUだが。
「これは?」
渡されたデータファイルを見つめながらライト博士に尋ねるゲイト。
『それはエックスのスペック上での戦闘力を極限まで引き出す究極の強化アーマー…アルティメットアーマーのプログラムデータじゃ』
「何ですって!?」
あのエックスの戦闘力を極限まで引き出す強化アーマーのプログラムデータが自身に渡されることにゲイトは驚愕した。
『かつてのレプリフォース大戦でもわしはエックスにアルティメットアーマーを与えたが、未完成であることもあって装着しているだけでエックスに甚大な負担を与えてしまう欠点があった。当時のエックスはアルティメットアーマーをスペックダウンさせた現在のエックスが使っているフォースアーマーのオリジナルと使い分けることで負担を軽減していたが、オリジナルのフォースアーマーが大破し、エイリアが復元したレプリカのフォースアーマーにはアルティメットアーマーへの変化機能はないため同じような運用は出来ん。故に君にはこのプログラムを解析し、エネルギー効率を大幅に改善したエックスの改良型アルティメットアーマーを組み立てて欲しいのじゃ』
「なるほど…スペックダウンさせたフォースアーマーの不完全なレプリカでもあの性能なんだ。完全上位互換のアルティメットアーマーの性能は確かに頼りになるでしょうね」
この状況において強力な戦力が増えるのは喜ばしいが、しかしこのアルティメットアーマーについてある程度の説明は聞いておかねば。
「それで、ライト博士。このデータファイルのアルティメットアーマーは改良型と言っていましたが、具体的にどのような?」
『ふむ、基本的な性能は改良前のアルティメットアーマーとほぼ同じじゃ、しかしヘッドパーツの性能をエイリアが復元したフォースアーマーのヘッドパーツと同様、通常の特殊武器の使用無制限から半減程度に抑えた結果、エックスの体にかかる負担を大幅に減らすことに成功した。改良前のアルティメットアーマーはオリジナルのフォースアーマー同様、特殊武器のチャージ攻撃を行うとすぐにエネルギー切れを起こすデメリットがあったからのう。それの解消も兼ねておる』
「なるほど…エックス自身、あまり特殊武器は使わないし、アルティメットアーマーのヘッドパーツの性能の弱体化はあまり困るものではないかもしれないな。寧ろメリットになっているかもしれない…これを僕に託すと?エイリアではなく?」
ライト博士と交流を持つエイリアではなく、自分にデータファイルを託すライト博士の真意が分からないゲイトは尋ねる。
『わしは君を信じておる。君の夢と研究に対する情熱を。確かに君は若さ故にやり過ぎてしまったかもしれないが、君の夢はとても素晴らしいと思う。わしは君が世界のために研究をしていたことをルインを通して知っている。その夢と研究に対する情熱を何時までも大事にして欲しい。頼んだよ』
ゲイトの夢に対する情熱を信じてライト博士はそれだけを言うと、ライト博士のホログラムは消えてしまった。
残されたゲイトはアルティメットアーマーのデータファイルを見つめた後、格納庫を後にするのであった。
「あら?ゲイト、機嫌が良いけど…どうしたの?」
少しだけの時間とは言え休憩を取っていたエイリアは機嫌が良いゲイトに気付いて声をかける。
「ふっ、よくぞ聞いてくれたね。エイリア、これが何か分かるかな?」
ゲイトは上機嫌にエイリアにライト博士から託されたデータファイルを見せる。
これを見た彼女の反応は予測出来ていながらだ。
「大容量のデータファイルじゃない。それが…な…に……」
「エイリアさん?」
データファイルを見て硬直したエイリアにアイリスは疑問符を浮かべている。
「気付いたね?」
「な、何であなたがこれを…」
「ライト博士から直々に託されたのさ。しかもただの強化アーマーじゃない。エックスの究極の強化アーマーのアルティメットアーマーの改良型のプログラムさ。いやー、やっぱり伝説の偉人はただ頭が固いだけの無能共とは違うね。僕の夢と研究を理解してくれただけでなく、僕の夢と研究に対する情熱を信じるとまで言ってくれたんだよ!!君にも聞かせてあげたかったよ。何か正直…一生分の運を使い切ったような気がするよ」
「な…な…っ?」
「トーマス・ライト博士は僕の理想に理解を示してくれた!!つまり僕の理想は正しかったと証明されたんだよ!!どうだ、研究所と政府の無能共めっ!!はーっはっはっはっは!!!」
「おー、悪人みてえな笑い方」
「あ、はははは…」
悪人のような高笑いをするゲイトに引き攣り笑いを浮かべるアイリスとルナだが、隣のエイリアは沈黙している。
「ずるい…」
「「へ?」」
「んー?何がだいエイリア?」
「ずるい!!ずるいわよゲイト!!何であなたがライト博士の最高傑作の改良型のアルティメットアーマーの解析と組み立てを頼まれるのよ!!そして何でその時に私を呼んでくれなかったの!?」
憧れのライト博士に直々にデータファイルを託されたと言うゲイトに向かって目の縁に涙を滲ませながら悔しそうに、羨ましそうに叫ぶエイリアだが、ゲイトはどこ吹く風である。
アイリスとルナは今まで頼れるお姉さんみたいな雰囲気を出していたエイリアのこのような子供っぽい部分を初めて見たため硬直している。
「別に良いじゃないか?君はルイン同様に今ではライト博士の義理の娘で関係者なんだし、会おうと思えば何時でも会えるだろう?」
「そ、それとこれとは話は別よ!!せ、せめて私にもアルティメットアーマーの改良型を解析させてよ!!」
“義理の娘”発言に赤面しながらも、エイリアはアルティメットアーマーのプログラムの解析をさせて欲しいとゲイトに頼むのだが…。
「嫌だね!君は今までエックスの強化アーマーを解析してきたはずだ!!その中にはレプリフォース大戦時のアルティメットアーマーのデータもあるはず!!」
「レプリフォース大戦時のアルティメットアーマーとそのアルティメットアーマーは厳密に言えば別物でしょう!?」
改良が加えられている時点でレプリフォース大戦時のアルティメットアーマーとは別物だと言うエイリアだが、ゲイトはファイルを懐にしまう。
「そうだとしてもこれは僕がライト博士に託された物。つまり僕が解析し、組み立てる義務がある!!大体…君だけが科学者としての幸福を味わおうなんて虫が良すぎるんだよ!!それに君と一緒にやったら君を悔しがらせることが出来ないじゃないか。」
「うわあ、酷え」
「ゲイトさん、そんなだから色々と敵を作っちゃうんですよ…?」
「とにかく、君は僕がこの至高のプログラムを解析し、組み立てる様を指を咥えて見ているんだね!!ふふふ…はーっはっはっはっは!!!!」
ルナとアイリスが苦笑しながら言うも、ゲイトは気にせずに高笑いしながら去っていく。
そんなゲイトにエイリアはわなわなと震えながら怒りを爆発させた。
「あなたって人はーーーーっ!!!」
「おお、エイリアが爆発したぜ」
「エイリアさんって、意外と子供っぽいところがあるのね…」
苦笑しながら怒るエイリアを見つめるルナとアイリスであった。
おまけ~意外な一面~
怒りを発散したエイリアは恥ずかしそうに俯いていた。
「その、ごめんなさい。みっともないところを見せちゃって…」
「へ?あ、いやいやいやいや…別に気にすんなよ。何と言うか意外な一面が見えたし」
「そうですよ、寧ろ親近感湧いちゃいます。エイリアさんにも夢中になれるものがあるんだって。それに意外な一面を持ってたりするんですよ?ゼロやエックスも」
「へえ、あの堅物共の意外な一面とやらを聞きたいね」
ニヤニヤと笑いながらアイリスに尋ねるルナ。
「うーん、そうね。ゼロは髪の毛のことで悩んでることがあるわ」
「へ?髪?何で?」
「ほら、ゼロって人工毛髪のボリュームがある方じゃない?何と言うか、空円舞を使う時に少し邪魔になるんですって。だから時間がある時に……えっと…ルインやルナみたいにスッキリした髪にする方法はないかなって資料を探してたわ」
「…ああ、俺のポニーテールみたいに細くか?」
「そう」
「確かにゼロの髪はボリュームあるものね…それでエックスの意外な一面って?」
「俺も知りたい」
エイリアとルナはワクワクしながらエックスの意外な一面を知りたがった。
「精神的な余裕がある時にライドアーマーに乗ると性格が変わります。」
「「え?」」
「私が研修生時代の時なんですけど、エックスがライドアーマーに乗った時にライドアーマーのパンチをしようとした時に“オラオラァッ!!”って」
「は?マジで?」
「え?私、そんなの見たことないんだけど」
「エックスがライドアーマーに乗るのは大規模な事件か戦時ですからね基本的に、当時臨時オペレーターだったエイリアさんが知らないのも無理ないと思います。私も初めて見た時ビックリしました」
「あのエックスが“オラオラァッ!!”ねえ…」
「……想像出来ないわ」
エックスの意外な一面を知ったエイリアはそれを見てみたいような見たくないような葛藤に襲われたのであった。
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