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ある晴れた日に

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160部分:共に生きその十


共に生きその十

「もう小学校の時からね」
「どうせ一番言ってたのはあいつだろ?」
「うん、彼」
 これだけで話が通じた。
「わかるでしょ」
「野本もなあ」
 やはりこの男であった。彼と竹山が親戚同士なのはあまりにも有名であり最早学校の誰もが知っていることになってしまっていた。
「あいつもあいつで個性がな」
「彼も昔からああだよ」
「始末に終えねえな」
 野本に関してはこう言う正道だった。
「昔からあんなんだとな」
「あしらうのは楽だから」
「楽かよ」
「行動パターン変わらないからね」
 この辺りは親戚同士だけあってよくわかっていることであった。
「だからすぐにわかるんだよ」
「そうなのか」
「そうだよ。だから気にしないし」
「オタクって言われるのはどうなんだ?」
 このことも竹山本人に尋ねるのだった。
「そこんところはどうなんだよ」
「まああまりいい気分はしないけれど」
 まずはこう言うのだった。
「実際ね」
「やっぱりそうか」
 この辺りはホームルームの時に春華に言われたことと重なっていた。
「けれど馴れてはいるよ」
「馴れてるのか」
「自覚もあるし」
 その辺りもわかっている彼であった。
「それに悪いとも思っていないしね」
「まあ悪いことじゃないよな」
 正道もオタクに関しては特に悪いとも考えていないのだった。だからここでこう言うのである。
「他人に迷惑かけないとな」
「かけてはないつもりだよ」
 このことは竹山も自己弁護めいていたがそれでも言うのだった。
「あくまで僕の趣味だから」
「趣味か」
「生き方でもあるけれどね」
「おいおい、そこまでいったらよ」
 正道は今の竹山の言葉に思わず顔を崩して笑って言った。
「大袈裟だろ?それもかなりな」
「まあそうだけれどね」
「しかし生き方か」
 その竹山の言葉でふと思うのだった。
「それを言ったら俺も同じかな」
「音橋君もって?」
「俺は音楽だけれどな」
「やっぱりそれなんだね」
「ああ。音楽は生きがいだよ」
 竹山と同じものを見ての言葉であった。
「やっぱりな。ずっとな」
「本当に音楽が好きなんだね」
「ギターだってね」
 暖かい目でギターを見つつ述べた。
「ずっと持っておくさ」
「ずっとね」
「そうさ。ずっとな」
 また言うのだった。
「持ってるさ。だからな」
「うん」
「それを言ったら御前と同じかもな」
 今度は竹山に向けた言葉であった。
「俺もな」
「同じって?」
「生き方だろ?」
 彼もまた生き方という言葉を口に出してきた。
「オタクってよ」
「僕にとってはね」
「だったら同じだよ」
 こう言うのである。
 
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