ある晴れた日に
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143部分:妙なる調和その十五
妙なる調和その十五
「それが」
「そうよ。まあ大体そうね」
「で、その吉見って弁護士があれかよ」
「ああ」
野本は皆の問いに答えた。
「何か色々言ってるぜ。戦争責任とか慰安婦とか人権とか外国人参政権とか総連とかな」
「胡散臭そうな奴ね」
茜がそこまで聞いて言った。
「何よ、それって」
「総連は私だって知ってるよ」
「私も」
凛も静華も朝鮮総連については知っていた。というよりは流石に皆が北朝鮮についてはどういった国家なのかはっきりとわかっていた。
「あんなあからさまに悪いことやってる組織と関係あるのね」
「何かあのマンギョンハン号か?」
野本はうろ覚えに述べた。
「そういう船あったよな」
「マンギョンホン号だね」
それを竹山がフォローする。
「あるよ。総連の船で北朝鮮を行き来するね」
「それに何回か乗ったこともあるらしいしな」
「そいつ、拉致に関係ねえか?」
野茂はそこを思いきり疑っていた。
「大阪のラーメン屋でそんな事件あったよな」
「じゃあやっぱりその弁護士」
「やばい奴じゃないの?それもかなり」
「可能性はかなり高いわね」
恵美がまた言った。
「それもかなりね」
「そんなのがこの街にいるなんて」
「しかも動物を殺す怪しい奴もいて」
「ああ、そういえば」
明日夢がここであることを思い出したのだった。
「何年か前の幼女誘拐事件。覚えてるかしら」
「幼女誘拐事件!?」
「ああ、あれな」
皆話を聞いてその事件を思い出したのだった。
「あれだろ?五歳の女の子が急に消えて」
「それで二月後山の中に埋められていたんだよな」
「死体で」
「また一人行方不明になったらしいのよ」
明日夢はその男の子みたいな眉を思いきり顰めさせて皆に語った。
「今度はパブの外国人の人がね」
「外国人の!?」
「確かフィリピンの人だったかしら。女の人ね」
フィリピンからの出稼ぎの人である。この八条町にもパブはありそこで働いているのである。
「その人が急にいなくなったらしいわ。住んでるアパートの部屋もそのままでね」
「何でだろ」
「蒸発!?」
「そこがわからないのよ」
明日夢は首を少し傾げさせてからまた皆に述べた。
「どういうわけかね」
「それってやばいわよね」
「ええ」
静華の言葉に頷く咲だった。
「やっぱりそれって」
「事件なんじゃ」
「そんな話も出てるわ」
明日夢もそれについて言及するのだった。
「何しろいきなりだからね」
「結構物騒なのか?最近」
坂上が眉を思いきり顰めさせて述べた。
「やっぱり」
「そうかもな」
そして彼の言葉に坪本が頷く。
「動物のことっていいその蒸発のことっていいな」
「何かさ、街に変な人がうろついてるの?」
「だったら何処のどいつなんだよ」
凛も春華も不安を隠せない顔になっていた。
「そんな奴がうろうろしてるってやばいだろ」
「小さい子供とかマジでやばかね?」
野茂がふと言った。
「その何年か前のそれだってよ」
「あの時集団下校になったしね」
桐生がその時のことを思い出して述べた。
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