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ある晴れた日に

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138部分:妙なる調和その十


妙なる調和その十

「それでわかったからさ。いいさ」
「そう。それでいいのね」
「ああ。それにしても竹林がチェッカーズ好きでよかったよ」
 笑みがさらに明るくなり屈託のないものになっていた。
「俺、チェッカーズがかなり好きだからさ」
「もう解散して随分経つけれどね」
「それでもだよ。いいものはいいさ」
 こう言うのである。
「だから。よく奏でるんだよ」
「ここで?」
「学校でもな。知ってる奴もあまりいなかったりするけれどな」
「そうね。もうね」
 それは仕方のないことだと。未晴も話を聞いて納得するのであった。
「解散して。随分経つし」
「そうだよな。けれど俺は好きなんだよ」
 そこは引かない正道だった。
「チェッカーズの曲がな。今でもな」
「それでいいと思うわ」
 そして未晴もそれでいいというのであった。
「好きなものは好きでね」
「そうか。ところでもう家に帰るんだよな」
「ええ、そうよ」
 その話に戻るが返答は同じであった。
「今からね」
「そうか。俺ももうな」
「帰るの」
「そのつもりさ」
 未晴に対して述べた。
「けれどな。何か気が変わったな」
「何処か寄るの?」
「猛虎堂に行こうかって思ってるんだけれどな」
「猛虎堂?」
「ああ、あそこに皆集まってるんだよな」
「そうよ」
 そのことにも答える未晴だった。
「そこにね。多分男の子達も」
「あいつ等もかよ」
「皆結構あそこで集まってるのよ」
「ああ、それは知ってるさ」
 このクラスの面々は何かあるとスタープラチナかそこに集まって楽しくやっているのである。理由は簡単で両方共楽しく美味しく安く騒げるからだ。
「あそこかスタープラチナだからな」
「それで今日は猛虎堂なのよ」
「そういうことか。じゃあ行くか」
「飲むのね」
「勿論」
 今の未晴の問いにはにやりと笑ってみせた。
「飲むのも大好きだしな」
「そうみたいね。私はお酒はあまり・・・・・・だけれどね」
「酒駄目か?」
「あまり。やっぱり」
 こう答える未晴だった。
「お酒あまり強くないし」
「あの連中馬鹿飲むけれどな」
「あれ、はっきり言って凄いと思うわ」
 飲めない人間から見ればそうなのであった。
「ビール三リットルだしね、皆が皆」
「男も女もな」
 誰もが滅茶苦茶に飲む一年G組の面々であった。
「飲んで飲んで飲んでだからな」
「まあ飲めて食べられるうちはいいんじゃないの?」
「そういうものか?」
「それだけ健康だってことじゃない」
 未晴はこう考えているのだった。
「だから。やっぱり」
「それもそうか」
 未晴の話を聞いてそういう考えに自分もなる正道だった。
「じゃあやっぱり今日はな」
「行くの」
「ああ、そうする」
 何となくだが決めるのであった。
「今日は何が出て来るんだろうな」
「それはわからないけれど」
 言葉が少しあやふやなものになる二人だった。
「まあ行ってみてからじゃないかしら」
「それもいいか。じゃあな」
「ええ、また学校でね」
「それじゃあな」
 こう別れの言葉を交えさせてそれぞれの場所に向かった。正道が向かっている猛虎堂では今クラスの面々が未晴の予想通り暴飲暴食に励んでいた。
「今日の特製メニューはこれなのかよ」
「ああ、安かったんでな」
 佐々が野茂の問いに答えていた。見れば彼等は店の真ん中にある巨大な卓を囲んでそれぞれ山盛りのトマトとナスのスパゲティを食べていた。見ればそのスパゲティは大蒜と唐辛子をかなり効かしておりしかもオリーブオイルをたっぷりと使っていた。横には粉チーズもある。
「それになったんだよ」
「まあ美味ければ何でもいいけれどな」
「それはな」
 皆そう言い合ってスパゲティを口に入れる。それと一緒に酒も飲む。見ればビールやチューハイ等がそれぞれの横に置かれている。
「にしても。いい茹で加減ね」
「アルデンテだね」
 明日夢と恵美がそのスパゲティを食べながら言った。
「美味いじゃない、相変わらず」
「ソースもよく絡めてあるし」
「当たり前だろ。これで飯食ってるんだぜ」
 誇らしげにこう返す佐々だった。
「しっかりできて当然だろ?」
「まあそれはね」
「その通りだけれどな」
 咲と坂上がそれに応えて頷く。一口やったところで口直しにビールを飲むのだった。見ればそのビールは見事な黄金色をしている。
 
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