不思議な少年
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第二章
「坊やどないしてん」
「うん、虹蛇が怒ってるんだ」
男の子はマーガレットのその問いに顔を向けて答えた。
「この近くにいる」
「虹蛇って」
そう聞いてだ、マーガレットは男の子に答えた。
「そらこっちにもな」
「虹蛇いるよね」
「そやで」
こちらの世界ではそうなのだ、ニュージーランドにも虹蛇がいるのだ。
「けどこの辺りにもおるんか」
「うん、けれどね」
「その虹蛇が怒ってるんか」
「凄いね、何でかまではわかってないけれど」
それでもというのだ。
「それでもね」
「おってやな」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「何かしそうなんだ」
「何かって」
「ううん、虹蛇は地の中にいるから」
「そうした虹蛇やねんな」
「そこから何かしてくるのかな」
「地震か」
まずはこの災害を連想してだ、テレサが眉を顰めさせた。
「それはまずいな」
「そやね、何とかせんと」
マーガレットはテレサに顔を向けて答えた。
「若しそうやったら」
「そうだ、ではだ」
「すぐに街の東の方に行こうか」
「そのうえで虹蛇に会うかしてな」
「詳しいことを調べるか」
「ここで地震とか起こったら」
どうなるかとだ、マーガレットは怪訝な顔になってそのうえでテレサに対して話した。
「大変なことになるで」
「街と鉱山がどれだけの被害を被るか」
「考えるだけで恐ろしい」
「ほなな」
それならとだ、テレサはマーガレットに言った。
「今からだ」
「行こうな」
「東の方にな」
「うん、急いでね」
男の子はまたマーガレット達に言った、切実な声と訴えかける目は彼が嘘を吐いていない何よりの証だった。
その男の子にだ、マーガレットは尋ねた。
「そういえば君名前何ていうん?」
「僕の名前?」
「そや、何ていうねん」
「オリバー=フィルダーだよ」
「フィルダー君かいな」
「オリバーでいいよ、オーストラリアから家族で旅行に来てたけど」
ニュージーランドと海を挟んで隣となる、この世界でもニュージーランドとは兄弟と言っていい間柄である。
「お母さんがこの街の生まれで」
「実家に里帰りやねんな」
「お父さんはシドニ―生まれで僕達今そこに住んでるんだ」
「そうか、けど虹蛇がわかるって」
そのことについてだ、マーガレットは男の子を神妙になった目で見つつ話した。
「自分凄いで」
「そうなの?」
「特別な能力や、神様や自然を感じる職業になれるわ」
虹蛇は自然の力を司り操る神だ、この世界でもオーストラリアでは非常に大きな力を持っている神々だ。
その神々を感じられるならとだ、マーガレットは言うのだ。
「凄いことになるで」
「そうなんだ」
「ああ、ほなお姉ちゃん達は今から虹蛇の方行くから」
「それでだね」
「何が起ころうとも」
それでもとも言うのだった。
「止めてこの街も鉱山も守るからな」
「お母さんの生まれたこの街もなんだ」
「絶対にな」
明るく笑ってだ、マーガレットはテレサと共に翼を羽ばたかせて空に舞い上がった、マーガレットは翼人テレサは天使なので空を飛べるのだ。
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