恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第七十三話 張遼、董卓を探すのことその二
「とにかく。最近建築ばっかりだよな」
「修業の時間は減ってないでやんすが」
それを減らす様な二人ではないのであった。
「妙な感じだよな」
「お金は大丈夫でやんすかね」
「だよな。相当派手な宮殿になるけれどな」
「働いている人間も相当多いでやんすよ」
チャンとチョイものだ。このことに気付いてきたのだ。
「駆り出される奴は大変だよな」
「重税もかけられてるでやんすよ」
「只でさえ都は大変だったんだろ?」
「それでここまでしていいでやんすか?」
「おい、怪我人が出たぜ」
山崎である。彼も来たのである。
「柱が倒れてな。大変なことになってるぜ」
「何っ、本当か?」
「それは一大事です」
それを聞いてだ。山崎の方にだ。キムとジョンはすぐに顔を向けた。
「すぐに行きましょう」
「はい、そうしましょう」
「幸い死人は出てないけれどな」
山崎はそれはないというのだ。
「それでも。ちょっと行った方がいいな」
「わかっている、ではだ」
「行きましょう」
「怪我人も増えてきてるしな」
「このまま。もっと大変なことになりそうでやんすよ」
チャンとチョイはだ。これからのことに不安を感じているのであった。
その彼等にだ。今度は山崎が声をかけてきた。
「御前等もおかしいって思うんだな、今は」
「絶対におかしいだろ」
「董卓ちゃんのすることではないでやんすよ」
「だよな。これ本当にあのお嬢ちゃんが命じてるのか?」
山崎もだ。いぶかしみながら話すのだった。
「自分の為にこんな建築やら何やらするか?」
「しないよな、絶対に」
「堤やそうしたものはよく造ったでやんすが」
つまり民の為に造るものを造っていたのである。彼等も擁州においてはその建築に従事してだ。キムとジョンにこき使われてきたのだ。
「しかし今はよ」
「おかしなことになっているでやんすよ」
「これ、絶対にお嬢ちゃんの命令じゃないぜ」
山崎は断言した。
「他の誰かが命じてるんだぜ」
「誰か?それは誰なんだよ」
「ちょっと考えつかないでやんすよ」
「黒幕がいるんだろうな」
悪事を働いてきた人間としてだ。山崎はこう察したのだった。
「多分な」
「黒幕かよ。何か話がきな臭くなってきたな」
「宮廷にいるでやんすか」
「だろうな。そこにいるな」
山崎のその目が鋭くなっている。
「いるとすればな」
「何か俺達って洒落にならない状況の中にいるんだな」
「とんでもないでやんすよ」
そんな話をしていた。そしてであった。
その彼等にだ。キムとジョンが言ってきたのであった。
「御前達も来てくれるか」
「事態は深刻です」
「ああ、じゃあな」
「俺達もそれじゃあ」
「行くでやんすよ」
三人も二人の言葉に頷いてだ。そうしてだった。
救援に向かうのだった。建築現場は大変なことになっていた。
陵墓の建築現場ではだ。
呂布が無表情で立っていた。それだけである。現場は多くの者が土を運びそして積み上げていっていた。ここも作業が行われているのだ。
呂布はその中に立っている。その彼女のところに陳宮が来た。そしてこう彼女に話したのだ。
「恋殿、状況ですが」
「どう?」
「今のところ順調です」
こう呂布に話すのである。
「皆頑張って作業してるのです」
「そう。けれど」
「けれど?」
「無理はしたら駄目」
それはだ。よくないと言うのだ。
「怪我をしたら元も子もないから」
「そうですね。それは」
「そう。こんなことで怪我をしたらよくない」
呂布はだ。今の建築をこう言うのだった。
「何にもならないから」
「あの、恋殿その言葉は」
陳宮は怪訝な顔になって呂布の今の言葉に言った。
「聞かれたらまずいのです」
「いい。これ絶対に月の命令じゃないから」
「名前は月様のものです」
「名前だけ」
既にだ。読んでいるといった感じだった。
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