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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第七十二話 呂蒙、学ぶのことその七

「あの人が都に入って実験を掌握しました」
「それで今の暴政かよ」
「それが私達にも飛び火する形になっていまして」
「で、今かよ。洒落になってねえな」
 こう言ってだ。ダックはぼやく顔になっている。
「どうなるんだよ、この国は」
「少なくともこのままではです」
 呂蒙はだ。その顔に危惧するものを浮かべてだ。また話すのであった。
「国全体がおかしくなってしまいます」
「ここであれだな」
 ビッグベアが言う。
「あかりとか右京が言ってた刹那だのアンブロジアとかが出て来たら最悪だな」
「そうじゃな。オロチとかのう」
 タンもそれを話す。
「そういうのが出たら大変じゃな」
「只でさえ。不穏な状況ですし」
 呂蒙は今度はその顔を曇らせていた。そうしての言葉だった。
「最悪の事態にならないことを祈ります」
「ああ、本当にな」
「そうじゃな」
 ダックとタンもそれには同意であった。彼女達はそんな話をしていた。
 そして孫策もだ。周瑜に対してだ。己の執務室に座り木簡に何かを書きながらだ。鋭い顔で言うのであった。
「戦ね」
「なるというのね」
「ええ。南越征伐の話だけれど」
「受けるのかしら」
「まさか」
 そのことはだ。一笑に伏して終わらせる孫策だった。
 そしてだ。周瑜にあらためてこう言うのであった。
「無駄な出兵以外の何者でもないわ」
「そうね。受けたら受けたらね」
「そこで何言われるかわかったものではないわ」
 周瑜もだ。それは危険だというのだ。
「私達の力をその征伐で削いで。それから適当な謀反の理由をつけてね」
「征伐されるのは私達になるわ」
「そうなるのがおちね」
「冗談じゃないわよ」
 孫策は一言で言い切った。
「それがわかってるのに」
「けれど動かないとそれはそれで」
「征伐の対象になるわね」
 孫策の言葉はだ。いささか面白くなさそうである。
 その話をだ。さらに続けて言うのであった。
「しかも私達だけではないしね」
「そうよ。袁術もよ」
 彼女もだというのだ。
「南蛮征伐なんて。無茶を言われてるわ」
「袁術は受けないでしょうね」
「張勲から文が来たけれど」
「どうせ我儘言って嫌だとか言ってるのね」
「その通りよ」
 実にだ。袁術の性格をよくわかっている二人であった。
「何で益州まで出て南蛮なんか攻めないといけないのかってね」
「怒ってるのね」
「あの娘は自分の州の統治に専念したいからね」
 この辺り袁術の内政志向が出ていた。
「だから余計によね」
「私だってそうよ」
 孫策自身もだというのだ。今の顔は不機嫌なものだった。
「交州の牧にもなったばかりなのに」
「その州の統治をはじめないとね」
「それなのに南越なんてね」
「攻めるどころじゃないわね」
「ましてや南越はよ」
 孫策もはっきりとわかっていた。その南越のことをだ。
「我が漢王朝に忠実なのに」
「何故征伐の必要があるのかしら」
「無駄な出兵どころじゃないわ」
 こう言って否定する彼女達だった。
「見え見えの口実じゃない」
「そういうことね。それに」
「私達や袁術だけじゃなくてね」
「袁紹や曹操にも言ってるそうね」
「その通りよ」
 周瑜は孫策に対してすぐに答えた。
「彼女達は高句麗よ」
「高句麗ねえ」
 その国の名前を聞いてだ。孫策の顔に皮肉な笑みが宿った。彼女にしては珍しい笑みだがあえてその笑みを浮かべてみせたのである。
 
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