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邪教の時計塔

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第一章

                邪教の時計塔
 サミュエル=ダーガーとガバ=ティンはダーガーの神託でオーストラリアのダーウィンに来ていた。
 二人は身分を隠して冒険者として街に来た、しかし二人が街に入るとすぐにだった。
 市役所の役人が来てこう言ってきた。
「あの、ダーガーさんとティンさんですね」
「ちゃうで」
 ダーガーは役人にすぐに返した、見ればその役人は若い豹人だった。
「人違いや」
「いえ、太宰さんからお話がありまして」
「太宰さんから?」
「はい、ダーガーさんの神託のことで」
「となると」
「はい、お二人が来られるのを待っていました」
 こうダーガーに言うのだった。
「実は」
「そうやったか」
「それでは」
 役人はダーガーそしてティンに自分から市役所の中に案内した、するとバンパイアの妙齢のスーツの女が市長室にいた。
 その女がだ、こう名乗った。
「ダーウィン市長メアリー=オコナーです」
「私等を待ってたって聞いたけど」
「はい」
 その通りだとだ、市長はダーガーの問いに答えた。
「太宰副首相からです」
「神託のこともか」
「内密にですが」
 それでもと言うのだった、市長にしても。
「お話は聞いていまして」
「その神託についてか」
「市長としてです」
「協力してくれるんやな」
「そうして欲しいと副首相から連絡がありました」
「そうやったか」
「はい、では」
 それではとだ、市長はダーガーそしてティンに街の現在のことを話しはじめた、最初に彼女は市長室の窓からだった。
 街の景観を見てだ、ダーガー達に話した。
「この街では今街のキリスト教の教会が巨大な主の石像を造ろうとしています」
「アメリカの自由の女神像みたいな」
「はい、そのこと自体はです」
「ええけどか」
「この街に潜んでいるカルト教団がです」
「それに反対してるか」
「この教団もキリスト教の団体ですが」
 それでもとだ、市長は話すのだった。
「偶像崇拝を禁じていまして」
「その辺り難しいな」
 偶像崇拝の話が出てだ、ティンも言った。彼もダーガーも市長の動きに合わせて街の景観を見ている。ダーウィンの街並は実に整っていて美しい。特に時計塔が目立つ。
「キリスト教の宗派でもな」
「はい、偶像崇拝を禁じている宗派もあります」
「正教とかでもあったな、その話は」
「正教ではイコンですね」
「そや、そっちやな」
「そしてカトリックやプロテスタントでは」
 こうした宗派ではというのだ。
「偶像崇拝を認めています」
「そうやな」
「しかしそのカルト教団は」
 この教団はというと。
「偶像崇拝を認めておらず」
「そのイエス像にもか」
「反対していてです」
「壊そうとしてるな」
 ダーガーが鋭い目で市長に言った。
「そやな」
「はい」
 その通りだとだ、市長はダーガーの問いに答えた。
「そうです、このことも内密ですが」
「それで私等の神託は」
「おそらくですが」
 こう前置きしてだ、市長はダーガーそしてティンに話した。 
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