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神への生贄

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第二章

「あれやろ、世界を全部石にしたやろ」
「それで海の中に沈めました」
「そんな風にしたやろ」
 それでとだ、ロシティーはさらに話した。
「そやからな」
「今度の神様は」
「偽物や、そやから生贄もな」
「差し出す必要はないですか」
「そんなんしたらあかん」
 きっぱりとだ、ロシティーは老婆に言い切った。
「絶対にな」
「そうですか」
「生贄は女の子達か」
「あと若い男達も」
「そういうのを要求してきてるか」
「左様です」
「女の子は嫁、男は働き手か」
 ロシティーは生贄の使い道についても察して述べた。
「そういうことか」
「では生贄を送ると」
「利用されるで、今後も」
 村から人を無理矢理差し出されてというのだ。
「そやから絶対にしたらあかん」
「ですが生贄を捧げるのは今夜で」
「何や、今夜か」
「左様です」
「ほなこの話は今日で終わらせる」 
 それならとだ、ロシティーはまた老婆に言い切って見せた、手ぶりも含めて威勢のいい口調での言葉だった。
「そやからな」
「このことは」
「ほんまにや」
 まさにとだ、ロシティーはまた言った。
「絶対にや」
「生贄は出したらいけませんか」
「今夜その神様とその軍勢やっつけたるわ」
「何があってもそうしたるで」
 スーンもここで老婆に言った、もっと言えば言い切った。
「そやからな」
「ここはですか」
「そや、ほんまにな」 
「わい等に任せてくれ」
 強い声でだった、ロシティーはスーンと共に老婆に約束した、そしてその日二人は村の生贄との別れの祭りでだった。
 村の馳走をふんだんに食った、だが酒は飲まなかった。ロシティーはこのことについてスーンと話した。
「今夜はな」
「絶対にな」
「戦闘になる」
「大勢の連中とな」
「それでや」
 その為にというのだ。
「ここはや」
「絶対にやな」
「酒は飲まん方がええ」
「ほんまやな」
 その通りだとだ、スーンはロシティーのその言葉に同意して頷いた、今二人は村の海の幸や畑で採れたものの料理それに果物を食べている。
 だがやはり酒は飲まずだ、それで話していた。
「今は」
「敵をやっつけた後でな」
「飲むか」
「そうするんや」
 こう話してだった、二人は祭りの中では食うことに専念した、そして生贄達が捧げられる時にだった。
 二人は秘かに生贄達が捧げられる岸辺の木の陰に隠れて様子を見た、他の村人達は神とやらにそこには来るなと言われているのでいない。
 それで生贄達だけが岸辺にいて二人は様子を伺っていたが。
 生贄達は海から出て来た巨大なモンスター達とその中央にいるシーサーペントに慄いた、そしてだった。
 霧が出て来ると皆眠った、ロシティーはその様子を見て隣に潜んでいるスーンに言った。
「あの霧は錬金術の霧やな」
「眠霧の術やな」
「錬金術使ってきたか」
「ほなアルケミスト系の術使える奴おるな」
「相手の中にな」
「そしてモンスターがおる」
 スーンがこのことを指摘した。 
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