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香水と蝶

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第四章

「それでや」
「薬剤師であることからですか」
「しかも犬人でタイ人やな」
「そうですね」
「今太平洋では冒険者の職業は各自登録してある」
「偽名であっても」
「職業と種族は間違いない」
 それはというのだ。
「この二つは嘘を言わん」
「名前を偽ることが出来ても」
「国籍も偽れる、しかし」
 スーンはさらに言った。
「口調はどうや」
「それですか」
「あれはタイの訛りやな」
 タイ人としてだ、スーンはこのことを指摘した。
「完全に」
「そうですね、確かに」
「この世界ではそれぞれの地域で訛りがある」
「タイもまた」
「そしてあいつの口調はな」
「タイの言葉ですね」
「そや、タイ人でや」
 それでとだ、スーンはまた言った。
「しかもや」
「犬人の薬剤師」
「結構限られるな」
「それだけで」
「しかも偽名使ってるとこを見ると」
 目を光らせてだ、スーンはさらに述べた。
「悪いことをしててな、前科もや」
「ありますか」
「これだけ揃ってる奴やと」
「かなり限られますね」
「そや、ほなな」
「ここはですか」
「そうしたとこから調べるか」
 スーンの考え通りだった、冒険者の名簿の薬剤師の部門から犬人それもタイ生まれの者が調べられた。その結果だった。
 一人の男が疑われた、その男はというと。
「マッコト=サタカチットですか」
「こいつ怪しいな」
「そやな、写真見てもな」
 登録名簿には写真がある、ロシティーもその写真を見て言うのだった。
「あいつそっくりやしな」
「ええと、前科三犯か」
 スーンはそのサタカチットの経歴を見て言った、スーンも彼の名簿の写真を見つつ今の胡散臭い男にそっくりだと思った。
「詐欺行為でか」
「詐欺なあ」
 ロシティーも言うことだった、その名簿を見つつ。
「そういえば今もな」
「それに近いな」
「自作自演やしな」
「そやな、これはクロやろな」
「あの男の正体こいつやな」
「サタカチットやな」
「ほな今回のこと本人に突きつけるか」
 ロシティーはスーンにあらためて提案した。
「わい等が目の前に出て」
「いや」
 ここでだった、スーンは虎の目に知性を讃えた光を宿してだった。そのうえでロシティーに対して述べた。
「それでもシラ切るやろ」
「別人とか言うてか」
「そやからあの香水とか煙草の要素を調べてな」
 そしてとだ、スーンはロシティーに自分の考えを話した。
「動かぬ証拠を掴むんや」
「そうすることか」
「あいつが触ったばっかりの野菜や果物とか手に入れて煙草の吸殻拾って」
「それを調べるんやな」
「そうしたらわかる」
 あの男の自作自演の工作がというのだ。 
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