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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第71話:Genius

今現在ルインがいるのはレプリロイド工学が盛んな研究所である。

再稼働してからは、今までの知り合いをソニアを伴って訪ねているのだ。

最初の大戦前から通っていたので、最早この研究所の造りは把握している。

はてさて、親友の彼女はどこにいるのだろうか?

ふと、ある研究室に入ると見慣れた金髪の女性…エイリアがいた。

「ヤッホー、エイリア」

「え!?あなた、ルイン!?」

エイリアはルインの姿を見ると同時にまるで亡霊を見るような目で自分を見つめる。

そういう風に見られるのは地味にショックだ。

「あ、あなた、どうして…?まだ復活の目処は立っていないはずなのに…」

ケインにルインの状態を聞かされていたエイリアはルインが復活するにはまだまだ時間がかかるといわれていたのだが、なら目の前にいるルインは一体何なのだろう?

「色々あってね、何やかんやで復活したの」

苦笑しながら言うルインにエイリアは微笑みながら抱きしめる。

「本当に良かったわ…私は唯一無二の親友を失ったと思っていたんだから」

「ありがとう。」

「それにしても…ルインが復活したことをDrは黙っていたのね…本当に子供っぽいんだから」

この場にいないケインに対して呆れたように言うエイリアにルインは苦笑しか出来ない。

「それにしてもエイリアは全く変わらないね」

「レプリロイドが老けるわけないじゃない。それに定期メンテナンスを面倒臭がってサボる誰かさんとは違います」

「ふぐっ!!サボるのは事実だから言い返せないのが悔しい…」

「いい加減、定期メンテナンスを受けなさい。そしてワクチンを飲めるようになりなさい。昔あなたに特製のオブラートを渡したじゃない」

「オブラートがあっても苦いのは嫌!!」

嫌々と首を振るルインにエイリアは苦笑を浮かべる。

どうやら彼女の味覚は死んでも治らないらしい。

「それからルイン、あなたのハンターとしてイレギュラーを倒そうとする姿勢は凄く立派だと思うけれど、それで死んだら意味がないわ。」

「うっ…」

「あの時のエックスは本当に辛そうで…正直見ていられなかったわ」

「あ…う…」

最初の大戦が終わってエックスは1人で静かに泣いていた。

それを見たエイリアはエックスにハンカチを差し出すとお疲れ様とだけ伝えた。

多分あの時のエックスに下手な慰めは逆効果だと思ったから。

「は、反省してます…」

「本当に反省してるのあなた?」

ジト目で見つめるエイリア。

実はエイリアはルイン復帰までは唯一、エックスとかなり親密な女性型だったりするので仲はどうなるのか噂されていたりする。

何とか逃れられないかと頭を悩ませた時であった。

「エイリア、前に君に渡した資料なんだが…」

落ち着いた声。

紫のアーマーと切れ長の紫色の瞳。

そして最も特徴的なのは、白衣。

知的な雰囲気を漂わせる初めて見るレプリロイドにルインは首を傾げた。

「あら?ゲイトじゃない。どうしたの?」

「ああ、前に渡した研究の資料を返して欲しくてね。それで彼女は?」

「彼女はルイン。イレギュラーハンターで第17番精鋭部隊に所属している特A級ハンターよ」

「あ、後、第17精鋭部隊の副隊長をやってます」

「特A級ハンターだって?あのエックスとゼロと同じか、女性型だというのに凄いな」

「ああ、思い出した。ゲイトってこの研究所きっての天才科学者だって聞いてるよ。」

確か噂で聞いたことがある。

ドップラーをも上回る才能を持ち、ライト博士の再来ではないかと言われているほどのレプリロイドだ。

「天才科学者だなんて大袈裟だよ。まだまだ僕は未熟者さ。君の戦闘スタイルは?噂を聞けばエックスとゼロはバスターとセイバーだろ?」

「あ、エックスが使っていたセイバーは私が使っていた物なの。今は返してもらっていて、私の武器はZXセイバーとZXバスター。変形させることでセイバーとバスターに切り替えて遠近両方に対応出来る仕組みなの。どちらもチャージ可能なんだ」

「へえ、このサイズでチャージ機能までついているのか…セイバーにチャージ機能を付加させることで更なる攻撃力の強化を図ったのか…」

興味深そうにルインの武器を見つめるゲイト。

「うーん、良く分かんないけど多分。」

「そう言えばルイン。あなたの隣にいる物体はなんなの?」

ルインの隣に浮かぶソニアを見つめながら言うエイリアにルインはムッとなる。

「物体じゃないよ。この子はサイバーエルフ。プログラムが実体化した生き物なの」

「プログラムが実体化した生物?信じられないが凄いエネルギーを発している…こんな小さな身体のどこにこんなエネルギーを秘めているんだ…実に興味深いね……」

ゲイトの興味がソニアに向けられ、怖くなったのかソニアはルインの後ろに隠れた。

「一応言っとくけど、この子を調べたいとか駄目だからね」

「なっ!?…くっ、頼む前に釘を刺されたか」

「けど、ルインの体も解析不能な部分も多いのよ。あのケイン博士ですら解析出来ない部分が沢山あるんですって」

「そうなのか…」

「それにしてもあなたはまた新しいプログラムを組んだんですって?あなたの組んだプログラム。私では解析出来ないわ」

「へえ、そんなに凄いんだ。」

プログラムを見せてもらうが、エイリアでも解析出来ないプログラムをルインが分かるわけがない。

しかし親友の解析能力を知っているルインからすれば、エイリアでも解析出来ない程のプログラムを作り上げることが出来るゲイトの実力が分かるというものだ。

「でも何でゲイトはそんなに高度なプログラムを造るの?」

「僕はね、エックスやゼロ、君のような優れたレプリロイドを造りたいんだ。」

「…今のプログラムでも充分優れたレプリロイドが造れると思うけど」

今見せて貰っているプログラムは、恐らくケインかドップラークラスの科学者でようやく解析出来るレベルだろうに、これ以上となると想像出来ない。

「いや、まだだ。この前ケイン氏に渡したが解析されてしまった。これでは偽物しか造れない。」

「…君はどうしてそんなに上を目指すの?」

普通なら充分過ぎるくらいのプログラムを組めると言うのに何故更に上を目指すのかが、ルインには分からない。

「ああ、エックスやゼロや君のような優れたレプリロイドが沢山造られれば、この世界は更に栄えるはずなんだ。人間やレプリロイドの犠牲も少なくなり、平和の維持にだって貢献出来るはずさ!!」

瞳を輝かせて言うゲイトを見てルインは笑みを浮かべた。

「そっか、頑張ってねゲイト。私はゲイトの夢を応援するよ」

「ああ、ありがとう」

握手を交わす2人をエイリアは微笑みながら見守っていた。

それはまだ、あの悪魔により全てが狂い始める前の、幸せな一時であった。




おまけ

「そう言えばエイリアは何をしていたの?」

ゲイトが部屋から立ち去ったのを見て、ルインはエイリアがこの部屋で何をしていたのかを尋ねる。

「今回のドップラー博士の事件の時にエックスが使っていた強化アーマーの解析よ。エックスから送られたデータが無傷で助かったわ…今はまだ完全に解析出来ていないけれど、もし解析出来ればエックスの力になるはずよ。本人はあまり好まないかもしれないけどね」

「いや、きっとエックスも分かってくれるよ…ただ、もう争いが起こらないのが一番なんだけれど…」

「…そうね……」

2人は外の景色を見つめながら、どうかこれ以上の争いが起こらないことを願った。 
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