快楽を求めて
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第五章
「壺が欲しくてね」
「わい等に依頼したんか」
「そうだったんだよ」
「成程な」
「私はこうした趣味があってね」
商人は川端達に自分の性的思考の話もした。
「壺が賞品に出たと聞いてね」
「わい等に依頼して」
「そうだよ、持ってきてくれて助かったよ」
「けど病院に担ぎ込まれたんやろ」
「気絶してね」
何故気絶したか、もうそれは川端にも田中にも言うまでもなかった。
「それでだよ」
「けれど私とね」
「そう、気付いたしこうしてね」
「楽しんでいるのよ」
天使も二人に話した。
「そういうことなのよ」
「そうなんか」
「そう、お疲れ様」
天使からも二人に今回のことについて労いの言葉を贈った、川端も田中もこうしたことが本当にあるのだとその目で見て理解した。
そうして二人は成都を後にしたがその時にだった。
川端の手に何かが宿った、それはというと。
靴、安全靴だった。川端はその靴を手にしつつ田中に話した。
「宇比地邇や」
「その安全靴の名前ですか」
「そや、日本の神話の大地の神様でな」
川端は田中に心の中で話してくる言葉を述べた。
「それでや」
「大地の神の力が宿った神具ですね」
「そや、足を守ってくれて素早くも動ける」
「そうした神具ですか」
「スコップやマトックは幾らでも掘れて強力な武器でもあって」
それでというのだ。
「そうした神具やったけどな」
「今度は防具であり」
「動きも素早くしてくれる」
「いいものですね」
「そや、そして神託を適えてな」
「ご自身もですね」
「一回り強くなったわ」
このことも感じているというのだ。
「ええことや」
「そうですね、では」
「次の場所に行こうか」
「そうしましょう」
「わい等のやることは多いしな」
この世界を救わねばならない、川端はそのことを一言で言い表した。そうして成都を出てそうしてだった。
二人で次の場所に向かった、二人にとっては思わぬ人生の勉強をしたことを心の中に留めてそのうえで足を進めた。
快楽を求めて 完
2019・3・17
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