ベル・クラネルが魔剣使いなのは間違っているだろうか
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14話
怪物祭の騒ぎから三日たった。
「今日からまたダンジョンに潜れるよ」
騒ぎのあと魔剣の使いすぎで体が悲鳴をあげてしまい、まともに今日まで動けなかったのだ。
「きゃっあ!」
「この糞小人族が!」
「さっさと金目のものを寄越せ!」
「裏路地からだよね?」
裏路地から争い声が聞こえ、ベルはそのまま顔を覗かせる。そこには冒険者と思われる大人の男が三人にそれに取り囲まれるような形で一人の少女がいた。
「ほらさっさと寄越せ!」
「や、やめてください!」
「うるせえ!こんのっ!」
「そこで何をしてるんですか?」
ベルはこのままでは危険だと判断し、声をかけた。
「あ?なんだてめぇ」
「ただの通りすがりの冒険者ですよ。それより彼女を解放してくれませんか?」
「あっ?なんだお前こいつの新しいカモか?」
「さあ、どうでしょうね」
ベルは男の質問に特に答えることはしなかった。
「それで彼女を解放してくたま去るんですか?」
「おいおい、お前この状況分かってんの?ヒーロー気取りなのは良いけど、こっちはLv.3が三人だぜ?」
「てめえ一人で敵うはずないだろうが!」
そのまま三人のうちの二人が襲いかかってくるが。
「解放、咲刃十六夜」
喚び出したのは峰の部分全体に赤い紋様が掘られ、鍔も独特な形をした黒刀だった。
「なっ、武器が突然現れただと!?」
「何ビビってやがる!たかが武器一つで、レベル的にはこっちが勝ってるんだ!」
そのまま躊躇なく二人はベルに向かって自身の武器を降り下ろす。バキンッと音がなる。もちろんそれは二人の武器がおれる音だった。
「もう一度言います。彼女を解放してください」
「チッ、お前ら行くぞ」
リーダー覚の男のその言葉に従うかのように二人もその場を去った。
「大丈夫?」
「……」
ベルは少女へと駆け寄る。少女はそのまま立ち上がりお辞儀をしたあとそのまま走り去っていった。
「大丈夫かな?」
「見た感じほとんどたいした傷ではなかったですわよ」
「咲刃十六夜」
「マスターさんが早めに介入したお陰だと申しますわよ」
そのままダンジョンへむかう。しかし、このときまだベルは知らなかった。彼女との出会いが彼女の運命を変えるものだとはまだ知らないのだ。
「うーん。ベルくん、そろそろサポーターさんを雇ってみたらどうかな?」
「サポーター?」
「そう。と思ったんだけど無理だよね?」
ダンジョンからの帰り、何時も通り自分の専属アドバイザーのエイナの元へと向かうと彼女からサポーターを雇うようにと話がでたが、無理だと言うことを本人が提案したあとに思い出す。
「そうでもないですよ。魔剣はダンジョンに入る前には出していますし、サポーターさんと待ち合わせするときもその前に出しとけば言い訳ですし」
「なら、こっちの方でいいサポーターさんがいないか探しておくね」
そう言うと今度はベルの服装へと目を向けていた。
「ベルくんってあまり服とか持ってないの?」
「え?あ、いえ。あるにはあるんですけど全部同じような服で」
苦笑いを浮かべるベル。
「ふ~ん。ねえベルくんって貯金してるよね」
「はい!それなりに貯まってきました」
「そりゃあ、無茶無謀なことをしてればねぇ」
「うぐっ」
「あはは、ごめんね。からかいすぎちゃったかな?」
エイナは頭垂れるベルの頭を撫でる。
「それじゃあ、ベルくん明日私と一緒に服とか買いにいかない?」
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