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【完結】猫娘と化した緑谷出久

作者:炎の剣製
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猫娘と回想、I・アイランド編
  NO.103 回想《8》 レセプション・パーティー

 
前書き
更新します。 

 



飯田は今か今かとやってくるであろうみんなの事を考えていた。
近くにはすでに轟に、そしてウェイター姿に上着を羽織っている上鳴と峰田の計四名の男達がいた。

「緑谷くんはまだ来ないのか……? 電話してから結構経つが……」
「そうは言うがよ、飯田。仮にも女子歴がまだ全然浅い緑谷は着替えるのにも苦労すると思うぜ?」
「そうだぞ! しかも、普段から表裏なく猫耳とかが可愛い緑谷が気慣れないドレスを悪戦苦闘しながらも着てきて、もしかしたらなにかのハプニングで着崩れとか起こしそうで、おいらはもう……」

峰田は想像したのか今にも鼻血を出しそうなくらいに恍惚な笑みを浮かべていた。

「峰田くん! よこしまな考えは緑谷くんに失礼だ! すぐに脳内から削除しなさい!」
「いいじゃねーかよー。そういう飯田だって、見たくないわけじゃないんだろ~? んー?」
「ぐっ!!」

痛いところを突かれたのか飯田は狼狽えてしまう。
真面目人間の飯田も結局は男の子なのである。

「そんで、轟はそこんとこはどうなんだ……?」
「上鳴……。そうだな。見たくねーと言うと嘘にはなるな……」
「だろう? 飯田と違ってお前は素直でいいねー」

男どもでそんな会話を繰り広げていると、扉が開いて、やってくる来訪者たち。

「ごめーん。遅れてもうた」

最初に登場したのはお茶子であった。
ドレス姿はピンク色の可愛い系で実にお茶子にマッチしていたために、上鳴と峰田は素直に「おお~!」と声を上げていた。
続いて八百万とその後ろに隠れている耳郎が姿を見せてきた。
八百万は黄緑色のエレガントな大人のドレスを着ていた。

「「いいねいいね!!」」

もう約二名は興奮しっぱなしであった。
そして八百万の後ろから耳郎がでてきた。
ドレス姿は可愛らしいシックな感じのものであった。

「ううー……恥ずかしいな……ウチ、こんな格好は慣れていないから、その、どうかな……?」

自分にまだ自信が持てない耳郎であったために、ついそういう風に返ってくる言葉を求めてしまう。
だが、返ってきたのはなんか先ほどまでの興奮が嘘のような落ち着いた表情の上鳴と峰田は、

「馬子にも衣裳だな」
「女の殺し屋みてー! なんか、落ち着けた」

仮にも女性に対してかなり失礼な物言いだ。
それでキレた耳郎は「死ね!」とイヤホンジャックを二人に放ち、突き刺して音波を送り込んだ。
自業自得と言う感じで二人は悲鳴を上げていた。

「麗日くん。とても似合っているぞ!」
「ありがとね、飯田くん!」
「八百万に耳郎も似合っているぞ……」
「ありがとうございます、轟さん」
「こいつらと違ってやっぱ二人は安心して感想を聞けるね」

痺れて転がっている二人を見ながら、いい気味だと思い耳郎は少し気持ちが和らいだ気がした。

「あれ……? デクちゃんは? まだ来てへんの?」
「そうなんだ。まだ緑谷くんだけ来ていないんだ……」
「おそらく着替えに手間取ってんだろうな……」

飯田と轟の言葉に八百万はすぐに「まぁ……」と声を出して、

「でしたら私に一言言ってくださればすぐにお茶子さん達と一緒に着替えのレクチャーもしましたのに……」
「緑谷はただでさえ女物は気慣れて無さそうだもんね」
「心配になってくるわ。飯田くん、電話はしてみたの?」
「そうだな……。もう一回電話してみるか」

と、飯田が携帯を取り出そうとした時であった。
自動ドアが開いてそこからドレス姿に着替えているメリッサが姿を現す。
メガネととって、肩が出ている大人な感じの雰囲気でやはり年上としての魅力が出ていた。

「「ヒョー!!」」

それで思わず上鳴と峰田は興奮から叫び声を上げる。

「あれ? みんな、まだいたの? もうパーティー始まっているわよ?」
「それなんだが、緑谷くんがまだ……」
「デクちゃん……? それなら私の後ろにいるわよ」

メリッサは振り返るが、なぜか出久は自動ドアの向こう側から顔だけを出して頬を赤くして震えていた。

「緑谷くん……?」
「あ、あのあの……飯田くん……それにみんなも……きっと変な格好だから、笑うなら素直に笑ってもいいからね?」
「そんなことないわよ。私がちゃんと似合うドレスを貸してあげたし、それにデクちゃん自体もすごい可愛くて魅力的だから、きっとみんなも驚くと思うわよ」

メリッサはそう言って出久の方へと歩いて行って、思い切って背中を押してあげた。
そしてまみえる事になる出久のドレス姿。
しいて上げるとすればお茶子のドレスに近いもので、新緑のような色彩で、メリッサにお化粧もしてもらったのか、いつもよりもより可愛く見えて、動揺から来ているのか二股の尻尾は常に動き続けていて、恥ずかしいのか赤い頬に手を添えて猫耳を片手で弄っている出久は、普段の活発さも鳴りを潜めて、まさに女の子というに相応しい様相であった。

「ど、どうかな……?」

顔を伏せがちながらもそう聞いてくる出久に対して、耳郎はすぐにある事を思った。

「(あ、あざとい!!?)」
「デクちゃん……可愛い!!」
「可愛らしいですわ、緑谷さん!」

そんな耳郎をよそに、お茶子と八百万の二人はすぐに感想を口に出していた。
お茶子に関しては自制はできたのか心の中だけでだが、某鉈女みたいに「(はうー! お持ち帰りしたいよー!)」と叫んでいた。
そして男連中といえば、

「……………………、はっ!? 一瞬意識が……」
「似合ってるぞ、緑谷……その、なんだ? 素直に可愛いと思う」
「ワンダフォー! ビューティフォー!」
「ぐへへー……あざといじゃねーかよ、緑谷ぁ~~~……ッ!!」

飯田はあまりの威力に意識を飛ばしていて、轟はクールに装いながらも胸は熱く燃え上がっていて、上鳴は声高らかに叫んでいて、最後に峰田はいやらしくよだれを垂らしながらも出久の頭から足までをじっくりねっとりと目に焼き付けていた。
そんな男連中に対して、女子連中はと言うと、

「「「これだから男子は……」」」

と口を揃えて言っていたり。
メリッサもさすがに同じ気持ちだが、口には出さずに苦笑いだけで済ませた。
当の出久はというと、

「あれ……? やっぱり変だったのかな……?」

と、かなり鈍い反応をしていて、耳郎がそんな出久の肩に手を置いて、

「緑谷はそのまんまの純粋なままでいてよ……」
「え? う、うん……。うん?」

返事はすれど、途中で訳が分からなかったために首を傾げるだけに留まった。








…………ちなみに、爆豪と切島は道に迷ったのか、どこともしれない通路を歩いていた。

「…………おい、切島。本当にこっちで合ってんのか……?」
「た、多分あってると思うんだが、あれ~? どっかで道を間違えたか……?」

と、普段からは考えられないほどに迷子な事になっていた。
爆豪は出久のドレス姿が見れるかもしれないという考えで来たというのに、切島の案内が適当で当てが外れてイライラしているのであった。
まぁ、見れていたとしても飯田以上に意識を飛ばしてしまい固まることは必須であろうが……。







そんな出久達をよそにすでに始まっているレセプション・パーティーではオールマイトがせっかく来ているというのに目立たせないと駄目だろうという計らいで壇上に立たされていた。

「(うーむ……結局いい考えは浮かばずにここまで来てしまった。もしかしたら、もうすでに手遅れかもしれないというのに、呑気に挨拶をしていていいのか……?)」

今か今かと迫ってきている魔の手に、オールマイトはすでに手遅れ感を味わいながらも、表向きは挨拶をしていた。
そんなときに、ついに魔の手が降りかかった。
突如として緊急放送が入る。

『I・アイランド管理システムよりお知らせします。警備システムにより、I・エキスポエリアに爆発物が仕掛けられたという情報を入手しました』

その知らせは瞬く間にI・アイランド中に放送されて、一般客として来ていた他の1-Aの生徒達は他の一般客達とともに避難を開始していた。



そしてレセプション・パーティー会場では、数人の警備員とは似ても似つかない戦闘服の集団が会場内に入ってくる。
そして顔に傷のある男が喋り出した。

「そういうわけだ……。警備システムが俺達が握らせてもらった。反抗しようとは思わない事だ。もしそんなことをしたら……」

モニターが映し出されて、そこでは観客たちが警備ロボに包囲されている光景が映し出される。

「もう、言わずとも分かるよなぁ……?……そう、人質はこのI・アイランド中の人間全員だ。お前らも含めてな――――やれ」

次の瞬間に、地面から捕縛装置が起動して瞬く間に会場にいたオールマイト含めたヒーロー達は拘束されてしまった。

「しまった!」
「オールマイト。いい様だな。そこで大人しくしているんだな。暴れようとしたら客の命はないと思え。他のヒーロー達も大人しくしているんだな」
「Shit!」

オールマイトは後手後手に回ってしまった事を今更になって実感して悔しさから歯ぎしりをする。
デヴィットはそんなオールマイトを見ながらも、

「(トシ……なんとか私が時間稼ぎをする……それまで耐えてくれ……)」
「(デイヴ……)」

もう、始まってしまった計画は止まらない……。


 
 

 
後書き
ようやく始まりました。
出久に関しては脳内で想像してもしよかったら悶えてください。 
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