レーヴァティン

「本当にな、だからな」
「このままか」
「ああ、湖軍もな」
「大きくしていくか」
「ただ守るだけでなくてな」
「攻められるだけのか」
「攻めなくてもな」
　実際にそこまでせずともというのだ。
「攻められるだけのな」
「力をな」
「持ってな」
　そしてというのだ。
「見せつけることだな」
「軍隊の正しい使い方だな」
「そうだよ」
　まさにとだ、久志は芳直に答えた。
「それは御前もわかるだろ」
「ああ、だから今も言ってるんだよ」
　実際にとだ、芳直は久志に答えた。
「俺っちもな」
「そうだよな、やっぱり」
「それが政だからな」
「戦わずして勝つのがな」
　まさにそれこそがというのだ。
「それでな」
「ああ、ここはな」
　まさにというのだ。
「湖軍も揃えてな」
「そして島の連中に見せてな」
　そしてと言うのだった。
「降すんだよ」
「それが一番いいな」
「軍隊は揃えてな」
「見せてな」
「どうしてもって時に戦う」
「そうしたものだよ」
「そうでござる、軍隊は」
　進太も言ってきた。
「大軍、精強なそれを揃えて」
「そして見せるものだな」
「左様、あらゆる生物には恐れがあります」
　この感情が備わっているというのだ。
「これが自分を守る最大の要素でござる」
「恐怖を感じてな」
「逃げたりするでござる」
　だからあらゆる生物は逃げて隠れるのだ、これは感情と言うよりかは本能であると言っていいかも知れない。
「そうするでござるから」
「だからだな」
「強そうな大軍を見れば」
「それで降るからな」
「戦って絶対に負けるなら」
　それも完膚なきまでだ。
「そうそう戦う者もいないでござる」
「しかもこっちが出す条件がいいとな」
　久志はあらゆる勢力に地位や財産、安全を保障している。そして実際にその様にして統治に組み込んでいっている。
「余計にだな」
「こっちに入るでござる」
「だからだな」
「左様、戦わずして勝つ」
「このことが大事だな」
「何といっても」
「そういえば武って文字もな」
　軍隊も象徴するこの漢字もとだ、久志は言及した。
「あれだな」
「矛を収めるでござるな」
「そうだよな」
　矛、つまり武器をだ。
「漢字は表意文字だからな」
「それが真の武でござるよ」
「そうだよな」
「だからでござる」
「本当の武を持つべきだな」
「大軍、本当に強い軍隊を持つことでござる」
　それが第一だというのだ。