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徒然草

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65部分:六十五.この比の冠


六十五.この比の冠

六十五.この比の冠
 最近の冠といえば昔の冠と比べると遥かに丈が長くなっているようです。それなので昔ながらの古風な趣の冠を収めるものを持っている人は端と端をつなぎ足してそのうえで使っているようです。
 これもまた時代の推移でしょうか。昔の冠は短く使いやすいものだったのですが今はこうした冠になっています。やはり長くなっておりそれが如実に出ています。気付く人は気付いています。別に悪いとは思いませんがそれでも何かしら違うものを感じて仕方がありません。それでどうにも被ってみてもやはり違和感があります。重いということも感じるのでありますがそれ以上に昔と違うということを感じさせられて。それで昔を懐かしむ気持ちにもさせられます。こんなことを思うのもやはり昔を知っているからこそですがそれでも自分にとってはやはり特別な気持ちにさせるものです。今しか知らない人にはわからないことですが冠一つ取ってもこうしたことがわかります。昔と今とでは同じようでいて実は細かい部分であっても違うものがあったりするものである、そのことを今の人達にも知ってもらいたいとは特に思いませんがこうして書き残しておくことにします。昔の冠もまたそれはそれでいいものであったことも付け加えておきます。


この比の冠   完


                 2009・6・20
 
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