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レーヴァティン

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第九十三話 ローマからその十

「何もなく増えないからな」
「増えるにはです」」
「それなりの理由があるからな」
「それが世の中ですから」
「だからな」
「今回のこともです」
「何か原因があるか、巨人の奴等も」
 久志はモンスター達の中でドラゴンと並んで強力でかつ神出鬼没のこの種族について考えてそうして述べた。
「いつも急に出て来るけれどな」
「出て来る理由はな」
「ありますね」
「絶対にな」
「左様です、ですから」
 それ故にというのだ。
「その理由についての考察もです」
「すべきだな」
「モンスターについても」
「この辺りに餌場でもあるのか?」
 久志はこう考えた、そしてローマの護民官の官邸に帰ったからその話をした。
「ローマかこの辺りにモンスターの餌場があるのかよ」
「その場合の餌って人間じゃないの?」
 淳二はあえて自分達だと話した。
「つまりは」
「ローマとその周りが人が多いからか」
「そう、それで沢山の人間をね」
「餌って思ってか」
「モンスターが来ているんじゃないかな、けれどね」
「それだったらな」
 久志は淳二のその話を聞いてこう返した。
「前からな」
「モンスターが多いか」
「そうだろ、最近急に増えたんだぞ」
 ローマ近辺でモンスターが異常発生しだしたというのだ。
「それならな」
「それはないね、言われてみれば」
「人間が餌だったらな」
 それならというのだ。
「確かにローマとその周りはこの島で一番人が集まってるからな」
「有り得るよね」
「人間だけじゃないしな」
 モンスターが食う様なものはというのだ。
「家畜も農作物も魚介類もな」
「何でもあるね」
「そういうのも狙うだろ、だったらな」
「前からだね」
「この辺りはモンスターが多いだろ、けれどな」
「前はずっと少なかったからね」
「数も種類もな」
「今はどっちもこれまでの十倍以上だから」
「おかしいんだよ、それでな」
 久志はさらに話した。
「巨人もやたら出て来るしな」
「そう考えたら」
「やっぱり違うだろ、多分な」
 今の妖怪達が次々に出て来る状況はというのだ。
「他に理由があるぜ」
「じゃああれかな」
 淳二は久志の言葉を受けてあらためて考えて言った。
「海の魔神がね」
「俺達が倒そうと思っている奴がか」
「仕掛けてきているのかな」
「俺達が旗揚げしたのを見てか」
「そうなのかな、おいらそうも思ったけれど」
「まさかな、いや」
 久志は淳二のその言葉を否定しようとした、だが相手は神ということもありそれで否定するのを止めて言った。 
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