雄英以外でのヒーローアカデミア
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第1話
突然だが、この世界の人間には『個性』というものがある。ああ、人間は誰しも個性的だろというツッコミはいらない。『個性』とは言わば、超能力。
中国の軽慶市での「発光する赤児」が発見された。それ以来世界各地で超常現象が報告され、世界総人口の約8割が超常能力『個性』を持つ超人社会となった。
8割…そう、『8割』だ。
残りは2割は『無個性』と言われ、蔑まれている。
そう、この話の主人公は、原作主人公の緑谷出久のように個性を継承し最高のヒーローを目指すようなやつではなく、元から個性を持っていて身体能力もチート級のやつで、彼がヒーローを目指すものだ。
…そう、の使い方、間違えた。
☆☆☆
「あー、暇だ…」
俺は年齢的には15歳。中学3年生で、高校受験のため、勉学に勤しむべき年齢なのだが…
「まさか、臥煙さんが俺の高校の進学先まで決定してるとは思わないだろ!!」
“なんでも知ってる”系女子の臥煙伊豆子さんに俺の進学先の合格通知を持ってきた。困っているだろうと言いながら渡してきた。いや、その学校、俺受けてないんですが…ちなみに、その学校に電話をしたら、臥煙さんの紹介なら大丈夫と言われてしまった。
そのため、同級生は今は受験勉強中。遊ぶ相手もいないし、この昼間からゲーセンにいく気も起きない。
「それにヒーロー科かよ…」
そう、ヒーロー。和訳すると、英雄。かっこいいよね。
原作の緑谷出久たちが通っている学校は雄英高校だが、主人公の行く学校は、
「神魔学園、ヒーロー科…何度見てもそうなんだよな…」
神魔学園ヒーロー科。雄英高校と同じく第一線で活躍しているヒーローを輩出している学校であり、倍率250倍。学力偏差値は75。
「そして、これに書いてある名前も」
臥煙さんが持ってきた合格通知書には俺の名前、「神松 刀語」。個性は“空想刀”。その名の通り、空想の世界にのみ存在するはずの刀を実存の世界で使用することができる。
「おやおや、浮かない顔だね」
「突然、話掛けないでください。うっかり刀で斬りそうです、臥煙さん」
まあ、臥煙さんが来ていたことは分かってたんだけどね。
「いや、君は分かってたやろ。余弦にしごかれた君なら」
「何の話ですか?私は気づいていなかったですよ」
「君は嘘が分かりやすいなぁ。刀語くん。君は嘘をつく時は一人称が俺から私に変わる。知らなかったかい?」
「そんなこと、どうだっていいんですよ。で、どうしてきたんです?用とかないでしょ、俺に」
「あー、君に謝る必要があってね。今から神魔学園に向かってほしい。紹介した友人から君の実力を見せてほしい、と言われたんだ」
「はあ、なるほど」
「それに君は暇だろ」
「そうですね…分かりました。神魔学園に行ってきます」
「あー、そうそう。ここで神魔学園に行かないで私の顔に泥を塗ろうなんて考えないでほしい」
「…分かりました」
少しは考えたが、いや、言われた後も考えたが、どうあってもいい風に転びそうにないから俺は神魔学園に足を進めた。
☆☆☆
「君が神松刀語くんかね?」
「ええ、まあ」
神魔学園に着き、受付で名前をいうと、あっさりと通された。案内された応接室には如何にもダンディ風の男がいた。
「あなたは?」
「小戸 鉈だ。ここのヒーロー科で講師をしている」
「あの、失礼ですが、個性は?」
「はは、全然失礼じゃないさ。俺の個性なんて聞いても面白くないだろうに。俺の個性は“大人”だ」
個性名は大人?なんだそれ?
「で、俺は何をすれば?」
「俺と戦ってほしい。見るよりも直で体験したほうが早いからな」
そうして、俺は小戸先生と共にアリーナに来ていた。この時間帯なら体育やらなんやらで使っていそうだが。
「ここは来週ぐらいに壊すからな。好きにやれる」
あ、そういうことなんですね。
「それじゃあ、スタート」
ッ!?小戸先生がスタートと言った瞬間、俺の目の前に先生が。
小戸先生は俺の腹めがけて拳を突き出す。俺はそれをバックステップでよけ、個性で刀を呼び出す。
「それが君の個性の空想刀か。見た感じ普通の刀だが」
「まあ、まだ段階があるんです、よ!」
勢いよく踏み込み、小戸先生の懐に入り込み刀を下段から振るう。しかし、躱されてしまう。俺は刀を逆手に持ち替えてそのまま振り落とす。小戸先生は
「フンッ!」
「まじかよ…」
空気を殴り無理やり後退した。
「大人ってOTONAかよ…」
おとながローマ字読みとか思うかよ…
「『天鎖斬月』」
俺の刀は、卍形の鍔がつき刀身は漆黒。
刀が解放されたことにより俺の身体能力は増大する。
「よっと」
「ほう」
さっきより早めに動いたが、小戸先生はなんなく躱す。
そのまま、二撃三撃と続けて繰り出すがそれも避けられてしまう。
俺は一旦距離を取る。
「何か秘策でもあるのかい?」
「一応は。…月牙天衝!」
俺が刀を振るうと、その斬撃は巨大化し飛来する。普通の人なら、いやヒーローでも普通は倒される攻撃だ。
それを
「フンッ!」
「うげ…」
小戸先生は拳で消し去る。OTONAという個性を考えればそうなんだろうけどさぁ…
「ふむ。試験はここまでだ」
「はい?」
「大体の強さもわかったし、臥煙さんが推薦したのもよくわかる。完璧に合格だ」
「はあ、ありがとうございます?」
思わず疑問形になってしまったがそれはそれだろう。
ともあれ、俺は神魔学園に正式に合格したのだった。
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