イメチェン
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第一章
イメチェン
山川涼平と付き合うことになって別人の様に奇麗になった冬美を見てだった、三人のクラスメイト達は今明らかに戸惑っていた。
「あの不死身が美少女かってね」
「もう何それ、よね」
「あんな地味娘ちゃんがあそこまで変わるって」
「何よ、これ」
「いつも山川と幸せそうにいてね」
「それはいいとしてよ」
別に彼女が幸せな恋愛を楽しんでいるのはよかった、そんなことは三人にとってはどうでもいいことだった。
では何故今あれこれ言っているか、それは明らかだった。
「急に可愛くなって」
「本当に別人になって」
「何、それだからね」
言うのは彼女の変貌ぶりについてだった、これまで性格や学業はともかく地味娘だと外見のことでは軽く見ていたのにだ。
それが急に垢抜けた美少女になった、それで三人は今昼食を食堂で摂りつつ喋っていた。
赤髪をショートボブにしているのは赤崎碧という、三人の中でリーダー格だ。性格は至っていい加減なことで知られている。
黒髪を上で束ねている背の高い少女は青木沙織という、三人のまとめ役と言われている。性格は実にずぼらで有名だ。
茶色のショートヘアの小柄な少女の名前は黄山奈央という、三人の中のムードメーカーで性格は極めて能天気だとされている。
三人共赤のブレザーにグレーのかなり短く折ったスカート、白いブラウスに青のリボンという恰好だ。その彼女がそれぞれの昼食を食べつつ話していた。
「何か一気に追い抜かされたわね」
「ええ、ルックスのことではね」
「学校の成績はとっくにだけどね」
「いや、これどうしたものよ」
「何かあたし達急に負け組になったね」
「そんな風に思ってるわね」
こう三人で話す、そしてだった。
碧はきつねうどんを食べつつ二人に言った。
「それでどうしようかしら」
「どうしようって?」
「どうしようって何が?」
「だから私達これからどうするかよ」
こう言うのだった。
「一体ね」
「このままクラスのお調子者トリオでいるかっていうのね」
沙織は鴨なんばうどんを食べつつ碧に応えた。
「要するに」
「そうよ、不死身は今やクラスきっての美少女よ」
碧はこう沙織に返した。
「地味娘ちゃんだったのがね」
「今の不死身明らかに輝いてるしね」
最後に奈央が言った、尚は若布うどんを食べている。三人共食べているのはうどんとなっている。ついでに言うと食べ方は三人共あまり上品とは言えない。
「それ見たら」
「わかるでしょ、何か負けていられないっていうか」
「追い抜き返す」
「そう思うでしょ」
「ええ、じゃあこれから」
奈央はうどんの中の若布を葱と一緒に食べつつ述べた、つゆの味が付いている若布の味もおつなものだ。
「私達もお洒落して」
「奇麗になるってことね」
沙織は鴨なんばの中の鶏肉を食べた、鴨とあるが学校の食堂でそうそう鴨がある筈もなく鶏肉である。
「要するに」
「そうよ、だからね」
それでとだ、碧はきつねうどんの揚げを食べつつ述べた。碧はこの薄揚げが大好きでその味を堪能しつつさらに言った。
「ここはね」
「私達三人が」
「そう、もうね」
「不死身みたいにっていうのね」
「奇麗になるのよ」
碧は秘策を語る様に言い切った。
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