お菓子の家
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第四章
「アイルランドでもね」
「アイルランドってあそこの四国の中でも一番料理あかんやろ」
「あれっ、そうなのかい?」
「そや、もうそれこそな」
このことは麻里佳達が起きた世界でもこの世界でも同じことだ、とかくイギリス圏は料理の評判が悪いがアイルランドは特にと言われているのだ。
「ダントツやで」
「そうなのかい」
「それでや」
麻里佳は老婆にさらに話した。
「カナダもな」
「ここもかい」
「正直お料理はな」
これはというと。
「太平洋で一番あかんやろ」
「そうなのかい」
「いい国やけどな」
地味ということはだ、麻里佳はあえて言わなかった。そのうえで老婆にさらに話した。
「それでもお料理はな」
「駄目なんだね」
「パスタの茹で方も酷いしな」
「アルデンテ何それやし」
亜紀もこう言った。
「うち等オタワで中華街行ったわ」
「あそこが一番美味しいしね」
「アルデンテって何だい?」
老婆は実際にこう言った。
「それで」
「そやから適度なコシや」
それだとだ、麻里佳は老婆に話した。
「やっぱり知らんかったか」
「パスタは思いきり茹でるものだね」
「コシがないとあかんに決まってるやろ」
「そうなのかい」
「とにかくシチューもお菓子もな」
どちらもとだ、麻里佳は老婆にさらに話した。
「あかん」
「どうしたものだろうね」
「お祖母ちゃんのお料理は」
ヘンゼルとグレーテルも言ってきた。
「こんなにまずいからね」
「お菓子の家だってね」
「私達も困ってるけれど」
「よくならない?」
「そらレシピ次第や」
きっぱりとだ、麻里佳は魔族の兄妹達に答えた。
「見るそれでな」
「そうなの」
「それ次第でなの」
「そや、幾ら何でもや」
それこそというのだ。
「イギリスやカナダ仕込みやどな」
「ちなみに私はベルファストで学んでたよ」
老婆は学んでいた詳しい場所のことも話した。
「あそこでね」
「北アイルランドかいな」
「そうだよ、イギリスだよね」
「まあイギリスはイギリスや」
北アイルランドもイギリスに入るとだ、麻里佳は答えた。
「この世界では四国に分かれてるけれどな」
「イングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズにね」
「それでもな、この四国の中でもや」
即ちイギリスの中でもというのだ、四つ合わせて一つの圏にされているのがこの世界でのことだ。この辺り起きた世界とは違う。
「何度も言うけどな」
「アイルランドは一番まずいのかい」
「というかあっち行ってわからんかったんかいな」
「いや、全然」
「お婆さん基本味音痴かいな」
麻里佳はこのこともわかってきた。
「そうなんかいな」
「多分そやな」
亜紀も言ってきた。
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