レーヴァティン
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第九十三話 ローマからその四
「時としてな」
「あるよな、本当に」
「最近変わったがな」
「ラーメン屋っていうかラーメンの在り方がか」
「街で手軽に食うか」
家から歩いて行ってだ。
「店の親父と気軽に挨拶をしてな」
「昔は本当にそんなのだったよな」
「俺達がまだ子供の頃だったか」
「ほんのな、まだそんな空気残ってたな」
「それが徐々に変わってな」
「今じゃラーメンってな」
「チェーン店かだ」
英雄はそうした店の味にも言及した。
「美味いがな」
「チェーン店の味は安定していていいんだけれどな」
「どの店でもな、しかしな」
それでもというのだ。
「街の味ではない」
「その店の、企業としての味だよな」
「だから違う、そして繁華街のラーメン屋だとな」
「もうラーメンの専門店でな」
「通の味になっている」
「もう研究し尽くしているっていうかか」
「そんな味だ」
繁華街にある様なラーメンの専門店の味はだ。
「どちらも美味いことは美味い」
「美味さを研究していっているからな」
「それは事実だが」
「街にある味じゃないんだよな」
「そこが問題だ、しかしだ」
「ここの食堂のラーメンはな」
「その味だ」
街のラーメン屋、昔ながらの中華料理店の味だというのだ。
「独特の美味さだ」
「だよな、この味も本当に美味いよな」
「全くだ、しかしだ」
「しかし?」
「ラーメンも本当に時代によって変わるものだ」
英雄は今しみじみとして思った。
「変わらないと思っていたらな」
「何でも変わるっていうけれどな」
「ラーメンも然りだな」
「全くだ、それじゃあラーメンと餃子に炒飯も食ったらな」
「その後でな」
「俺達の島でのことを話すな」
「聞かせてもらう」
英雄はその懐かしい美味さのラーメンの麺をすすりつつ久志に応えた。
「是非な」
「それじゃあな」
久志も応えた、そうして二人はラーメンだけでなく餃子も炒飯も食べてから食堂を出てだった。大学の校舎の一つにあるロビーでくつろぎながら話をはじめた。
久志はローマの護民官、行政の責任者にして元首になった。彼は就任するとすぐにローマの現状を確認した。
そうしてだ、護民官の官邸の自分の執務室に仲間達を集めて言った。
「現状は悪くないな」
「そうか」
「ああ、財政の状況も軍にしてもな」
こう正に話した。
「どれもな」
「悪くないか」
「安心は出来ないけれどな」
そこまでよくはなくともとだ、彼は立派な護民官の席から述べた。テーブルは香木のものでそれ自体が財産になりそうだった。
「それでもな」
「それなりにいい状況か」
「だからな、すぐにでもな」
「動けるか」
「そんな状況だよ、じゃあな」
それならとだ、久志はさらに言った。
「まずは内政をしてな」
「よりか」
「ローマの状況をよくしてな」
「そのうえでだな」
「軍隊も整えてな」
こちらもというのだ。
「戦闘にもっと向いた軍隊にしてな」
「そうしてか」
「ある程度内政も軍隊も整えてな」
そのうえでというのだ。
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