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徒然草

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178部分:百七十八.或所の侍ども


百七十八.或所の侍ども

                 百七十八.或所の侍ども
 ある場所に仕えている武士達が女官達のいる宮殿に招かれてそこでの御神楽を見た。そして後日その御神楽の様子を人に話しました。その話をした内容はどういったものかといいますと宝剣を誰彼が持っていたと話しているのです。それを女官のある者が聞いて御簾の中から帝が別邸に赴かれる際には御座所にあるその剣を持って行くものなのだと小さな声で話しました。これは実に慎みのある教養であります。この深い慎みのある教養を持っている女官は長い間帝に仕えた人でありました。やはり帝の御側に長い間仕えるような人はそれだけのものを持っています。
 俗に一見すれば学識のあるように見える人でもその実は目は虚ろなものであり大した学識も品性もなかったりします。こうした人はすぐにその実態がわかってしまいます。まことに下らない人であります。それに対してしっかりとしたものを持っている人は一見すると鈍重で愚鈍そうであってもその実は非常に優れたものがあると人にわかります。これは中々わかりませんがここぞという時にわかるものであります。本当にそうした時はやって来るものであります。取るに足らない人はそれを見るとすぐに嫌になってしまいます。しかし実のある人はそうではありません。このことは忘れてはなりません。


或所の侍ども   完


                2009・11・8
 
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