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慣れない仕事

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第二章

「運動もされて」
「そう言うけれど」
 悲しい顔になってだ、少女は言うのだった。その間も何処からかお菓子を出し続けて食べている。見ればチョコレート等だけでなく三色団子や羊羹も出して食べている。
「私は」
「食べないとですね」
「いてもたってもいられないから」
 それでというのだ。
「だから」
「お気持ちはわかりますが」
「それでもなのね」
「やはり」
「極端な食べ過ぎは」
「よくありません」
 身体に、というのだ。
「何度も申し上げます」
「私は食べることを止められないの」
 このことはどうしてもとだ、少女は言うのだった。
「運動は嫌いじゃないけれど」
「では甘いものを」
「甘いものを食べないと」
 そうでなければともだ、少女は執事に話した。
「食べることと一緒に」
「ですが」
「若しかして」
 二人のやり取りを見てだ、喜久子は太宰に言った。多くの人が行き交う駅から程近い商店街の中で。
「あのお嬢さんが」
「神託かも知れないですね」
「左様ですね」
「減量ですね」  
 少女の問題は何か、喜久子は即座に指摘した。
「これは」
「よくある話と言えばそうですね」
「はい、ただ」
 ここでだ、喜久子はいつもの真面目な表情を微妙なものにさせてそのうえで太宰に対して話をした。
「私はダイエットの経験はないので」
「そうなのですか」
「知識はあっても」
 それでもというのだ。
「元々太らない体質で」
「そうなのですか」
「そしていつも勉学と部活の鍛錬をしていますと」
「頭を使うとそれだけで、です」
 太宰も知っていることだった。
「カロリーを使いますからね」
「それもかなり」
「それで鍛錬に勉学もですと」
「元々太らない体質なら」
「尚更ですね」
「太らないので」
 それでというのだ。
「ダイエットはです」
「経験がないですか」
「ですから実経験としてはです」
 こうした場合最も重要なこれがというのだ。
「ありません」
「左様ですか」
「ですが」
 それでもとだ、喜久子は太宰にあらためて話した。
「ここはです」
「あえてですね」
「神託ならば」
 喜久子は太宰に意を決した顔で答えた。
「向かいます、そして」
「果たしますね」
「そうします、では」
「はい、これから」
「あのお嬢様にお話をしましょう」
 こう話してだ、そして実際にだった。
 喜久子は太宰と共に少女に身分を学生ということにして声をかけた、そうして実際に彼女と最寄りの中華料理屋に入って力士の様に食べる彼女と話をした。少女の名前は邑川理衣といった。
 その名前を聞いてだ、喜久子は言った。
「この舞鶴を拠点として全国に店舗を増やしていっている」
「はい、レストランを経営しています」
 執事の椙田与和が答えた、執事は今も少女の傍らに立っている。 
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