高知の洞窟
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第三章
「それだよ」
「案外真面目な趣味やな」
「人は外見で判断しちゃいけないよ」
「いや、それでもな」
その外見を見てとだ、紗枝は言うのだった。
「あんたほんまにや」
「詐欺師に見えるかい」
「どう見てもな」
「やれやれだね、それでギルドに依頼も出しているんだけれど」
「ああ、洞窟にやな」
「これから入るけれどね」
「そのボディーガードにやな」
この辺りは察しもつけてだ、紗枝は述べた。
「私等を雇いたいんやな」
「腕の立つ冒険者ならね」
「誰でもええんかいな」
「腕が立つならね」
「その洞窟どんなとこやねん」
「何でも奥にこの高地にあった古代文明の遺物があるらしいんだ」
「それでその洞窟の中は」
どうかとだ、紗枝は察して述べた。
「モンスターで一杯やな」
「恐竜がいるらしいね」
「恐竜が洞窟の中にもおるんか」
「そうなんだよ、どうもね」
「私等も恐竜と戦ったけど」
ここに来るまでのこのことをだ、紗枝はノームの学者に話した。
「あいつ等めっちゃ強いで」
「体力はドラゴン並だね」
「息吹いたり術は使わんけどな」
ドラゴンの力の源のこの二つはなかった。
しかしだ、それでもなのだ。
「巨体と牙、爪、尻尾でな」
「強いね」
「正直めっちゃ強いわ」
モンスターや獣の中でもというのだ。
「滅多なことで勝てんわ」
「そう、だから腕の立つね」
「冒険者を雇いたいんやな」
「ギルドに依頼出したよ、けれどね」
それがというのだ。
「ドラゴンに普通に勝てる位じゃないとね」
「恐竜には勝てんからな」
「中々依頼者がいないんだよ」
「そういう先生はどやねん」
「あっ、学者としてのレベルは高いけれど」
それでもとだ、学者は紗枝にすぐに答えた。
「そっちはね」
「戦闘はからっきしかいな」
「術も使えないよ、武器も本しか持てないよ」
「ほなからっきしやな」
「そうなんだよ」
こと戦闘の方はというのだ。
「普通の獣相手でも楽々ご飯にされるだろうね」
「ほな一人で恐竜の群れの中に入ったら」
「即座にだね」
「恐竜の胃の中やで」
忽ちのうちに喰われてしまうとだ、紗枝は言い切った。
「そうなるで」
「だからだよ、腕の立つ冒険者に同行してもらって」
「ボディーガードしてもらってやな」
「洞窟の中を調べたいけれど」
「ほなその依頼はな」
紗枝は三人と目で話をした、すると三人共無言で微笑んで頷いた。これで四人の意志を決定してだった。
「今からギルドに行って来るわ」
「そうしてだね」
「先生の依頼受けてな」
「一緒に洞窟に入ってくれるんだね」
「先生一人で行ったら」
それこそとだ、紗枝は教授にどうかという顔で話した。
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