海底火山の恐怖
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第二章
「水中でも呼吸が出来る飴等を使い街に入り」
「ああ、南洋で売られてる」
「今度世界中に広めるつもりです」
舐めていると水中でも呼吸出来る様になるその飴をというのだ。
「我々の統治領域全体に」
「そうしたら水中でも誰でも長い時間作業出来るから」
「言うなら酸素タンクです」
「うち等の世界で言う」
「非常に素晴らしいものなので」
それでというのだ。
「是非です」
「欲しいですか」
「そう考えています、それで」
「街にはですか」
「中に入れば」
それでというのだ。
「そこはこちらの世界の技術で海中でも酸素があり水がないので」
「地上の街みたいになっていて」
「言うなれば水の中の泡玉です」
「そこにお水がなくて空気がある」
「ですから人魚や魚人以外の種族の人も暮らせます」
「そうなりますか」
「そうです、今からそちらに街の市役所から人を寄越します」
硫黄島までというのだ。
「暫く待っていて下さい」
「ほまそれまでお茶飲んでお菓子食べてます」
「これまで通りですね」
「そうします」
「全く、貴女達は」
太宰は相変わらずな調子の雅美達に小言を言ったがそれを聞く四人ではなかった。それで四人は迎えに来た街の公務員にだ。
蛙人なので水中でも問題なく移動出来る雅美以外の三人が飴を貰ってそれを舐めつつ泳いで街まで入った。その中で。
街の役人、男の人魚で同心の様な身なりをしている彼が四人に話した。
「実は潜水艦もあるのですが」
「それ使わんかったのは何でなん?」
「今実は街にあるものは全て出払っていまして」
それでというのだ、四人が来た街は明治時代の日本を思わせる赤や白の石を多く使ったハイカラなもので空気がある。そこからまるで水族館の様に上や横の海と魚介類達が見える。見れば彼等は街に入ってこようとはしない。
「それでなのです」
「出払ってるんかいな」
「実は」
ここでだ、人魚の役人は曇った顔で話した。
「今近くの海底火山がです」
「あっ、噴火しそうなんか」
「若し噴火しますと」
「この街にも被害が及ぶからな」
「その危惧があるので。実は」
さらにだ、役人は雅美に話した。
「その海底火山の中に巨大なモンスターがいまして」
「そのモンスターがやね」
「火山の動きをです」
まさにそれをというのだ。
「活発化させようとしています」
「ほなその魔物もやね」
「警戒しています、その魔物は」
役人は曇った顔のまま雅美達に話した。
「巨大なナックラビーでして」
「あの気色悪いケンタウロスみたいなのか」
「はい」
まさにと言うのだった。
「あれが火山の中にいて」
「それで火山の動きをやね」
「活発化させています」
「そやねんね」
「巨大なだけでなく」
役人は雅美達にさらに話した。
「しかもです」
「ああ、ナックラビーってな」
「あれ水属性のモンスターやったな」
「それも海水特化で」
「淡水生やないで」
四人でナックラビーのことを話した、このモンスター日本で魔物と言うものは海に棲んでいるだけに淡水には極端に弱いのだ。
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