怨霊の謎
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第三章
「この度はです」
「はい、怨霊が憑いているなら」
それならというのだった。
「必ずです」
「晴らしますね」
「そうします」
まさにと話してだ、そしてだった。
遠藤は武者小路と共に市長室に入り市長と面会した、市長は狼人の恰幅のいい老人であったがその彼が。
市長の椅子に俯いて座っていた、全体をドス黒い空気が覆っている。その彼を見てそうしてだった。
遠藤がすぐにだ、こう言った。
「これは」
「やはりですか」
「憑いていますね」
遠藤が一目で述べた。
「これは」
「やはりそうですか」
「はい、この気配は」
これでわかったのだ、これは武者小路も同じだった。
「間違いなくです」
「怨霊でしょうか、それとも」
「犬神ではないです」
遠藤はこちらは否定した。
「怨霊です」
「そちらですか」
「はい」
こう坂本に答えた。
「それは、ただ」
「ただ、ですね」
「どうもです」
遠藤はその目を険しくさせて述べた。
「かなり癖の悪い怨霊ですね」
「そうなのですか」
「そうです、市長さんの行動ですが」
「特にです」
これといってとだ、坂本は遠藤に述べた。
「おかしなことは。神仏も大事にされて」
「そうしてですか」
「祟られることはしていませんが」
「ですが政治家です」
遠藤は坂本にこう返した。
「そうでなくても人はです」
「自然とですか」
「怨みを買うこともです」
「あることはですね」
「残念ながらあるので」
だからだというのだ。
「ですから」
「市長を怨んでいる人はですか」
「心当たりがありますか」
「政策上で」
市長の高知市へのそれでとだ、坂本は答えた。
「あると言えばありますが」
「では」
「その政策上での対立相手とですか」
「他には選挙でのです」
そちらからもだ、遠藤は話した。
「対立候補を調べれば」
「そこからですね」
「わかるかも知れません」
「そうですね、では」
それではとだ、坂本も頷いてだった。
坂本は二人を市庁舎の会議室に案内してそこで話をした。
「一番怪しい人は伊藤照伊さんですね」
「どういった人ですか」
「高知のある新聞社の創刊者でして」
「最近新聞社も凄く増えたわね」
武者小路も述べた。
「太平洋が統一されてから」
「識字率もかなり上がってきているからな」
遠藤は武者小路のその言葉に応えた。
「そのこともあってな」
「それでこの高地でもなのね」
「増えてきているということだな」
「太平洋全体のことね」
「浮島や地下世界でもな」
「ええ、まさに全体のね」
「この新聞社の名前は黄泉瓜といいまして」
坂本は新聞社の名前も話した。
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