龍天使の羽撃き
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15
同日午後。
キリトやヴォジャノーイがリアルで通う学校。
の一室。
「うーしそれじゃぁマスダイバー殲滅作戦について話せる分だけ話すぞー」
この場に居るのはヴォジャノーイこと灯俊、カトラスこと葵、キリトこと和人、明日奈、リーファこと直葉、リズベットこと里香、シリカこと珪子、シノンこと詩乃、ユージオ、アリス。
「ねぇちょっと待ちなさいよヴォジャノーイ。訳がわからないわ。明日奈に無理やり連れてこられたのだけど、今から何するのよ? それにこの部屋は何? この学校模型部なんてあったの?」
「ん?何って…マスダイバー殲滅作戦に関しての情報共有。
俺達は連合の主力だからな。
今度有志連合発足式があるがその前に色々決めておきたい」
「……わかったわ」
とシノンが席につく。
「おいブラッキー。なんでシノンさんがこの部屋を知らないんだよ」
「やー。わすれててさ。許してくれよ」
「今度お前が女装してエレリアとデートしたら許す」
「悪趣味だな!?」
キリトを無視してヴォジャノーイこと灯俊が説明を始める。
「マスダイバーを倒さず無力化するため、トリモチを多用する事が決定した。
各々自分の機体と相談してミサイルユニットやランチャーユニットを増設すること。
なにか質問は?」
「いいかな、灯俊君」
「明日菜さんどうぞ」
「私と和人君の機体、近接特化なのだけど……」
「心意の練習はしてる?」
「バッチリよ」
「ゴキブリは?」
「切って売るぞクソカエル」
「大丈夫だな…。ユージオとアリスは?」
「問題ないわ。私もユージオも壁殴りはマスターしたわ」
一瞬アリスがキリトを見やる。
(溜まってるなー、この人も…)
「姉御とシリカちゃんは?」
「どうにかしとくわよ。シリカ、どうするの?」
「えっと…私のはハルートですし…。テールユニットを増設すれば大丈夫です…。
灯俊先輩、作ってもらえますか?」
「キリトに頼んだほうがいいんじゃ…?」
シリカがキリトを見ると、キリトが視線を剃らす。
「このバカに頼んだら無駄な近接装備が大量に引っ付いてくるのよ」
とリズベット。
「OK。俺が作ろう。おいコックローチ、こっちを向けよオイ」
「ちなみに、その時預けたのは私よ。私のケルディムにビームサーベル4本と実体剣が二本と両腕にワイヤークローがついてたわ」
シノンが指鉄砲をキリトに向ける。
「お前純粋射撃機に何してんだよ。バカか」
「ぅぐ…」
はぁ、とヴォジャノーイがため息をつく。
「シノンさん、ケルディムって素組?」
「ええ、そうだけど…」
「たぶん備品のジャンクパーツにケルディムサーガがあるからそれからパーツ取っていいよ」
「備品?」
「昔あったGPデュエル部の遺産だよ。明日菜さん、後で案内してあげて」
「はーい」
「なぁなぁ灯俊ー。オレはー?」
ヴォジャノーイの隣に座るカトラスが袖を引っ張る。
「悪いな葵。今回はプレーローマを出す。艦長を頼んだ」
「ちぇー…。どうせロンメルかチャンピオンだろ?」
葵が唇を尖らせる。
「ああ。そのどっちかだ」
「え? 葵先輩が艦長なんですか? 林檎ちゃんと蜜柑ちゃんは?」
とシリカが尋ねる。
「あのバーサーカーは好きに暴れさせるに限る。それにライトニングとヘルメシエルは拡張性が高いうえ速い。今回の作戦には持ってこいだ」
「オレのバエル・ゼブルはー?」
「お前のは一対少数向けだろうが」
「ま、いいや。久々にプレーローマの砲門を開こうか」
一通り話し合いが終わると、灯俊が備品倉庫からプラ板やジャンクパーツを取り出した。
「これがさっき言ってたやつ?」
「いや、これはキリト達が模型部に入ってから買った武装パーツだ。
おいさっきから俺ばっかり喋ってるじゃねーかお前も説明しろよ部長だろうが和人」
シノンへの説明をキリトに押し付けると、ヴォジャノーイはプラ板を弄り始めた。
「シリカちゃん、ハルートある?」
「はい」
シリカがバックからケースを出し、ヴォジャノーイに渡した。
ケースを開けると、異形の機体が顔を見せる。
最終決戦仕様のハルートだ。
MS形態のハルートを巡航形態に変形させると、各部のサイズを計り始めた。
「とりあえずプラ板被せてその上から色々乗せる方向と、3ミリ穴開けるのどっちがいい?
前者は機体を綺麗に保てる、後者は今度から自分でカスタムできるようになるよ」
「えっと…じゃぁ3ミリ穴で」
「OK」
灯俊はニッパーなどの工具を持ってきて、ハルートを分解する。
「あと、プレーローマから出撃するときは巡航形態になるし、ユニットつけてたら変形はほぼできない。それでもいい?」
「はい」
ヴォジャノーイがばらしたパーツの裏からドリルを通す。
「ちょっと灯俊」
「勘弁してよ姉御。俺の専門はミキシングなんだからさ。穴開けないと始まんないんだよ」
「スクラッチくらいやりなさいよ」
「そういうのは姉御みたいにセンスがある奴じゃないと無理なのさ」
そして40分程でハルートへのミサイルユニットの増設が終わった。
「はい。完成」
「意外と速いんですね」
「適当ではないよ? 一応変形できるようにしといたし。
でも近接戦は無理かな。ブースターも増設しようかと思ったけど、元から最終決戦仕様だし出力は足りるでしょ。
あとシザービットはオミットの設定にしとくといいかも。シリカちゃんビット苦手でしょ?」
「はい…」
「慣らし運転はキリトにでも手伝って貰うといい」
そうして、15時すぎまで部室で機体を弄り、解散した。
とある町工場。
「ごめんくださーい。明日葉ですー。アカリさんいますかー?」
「はーい」
灯俊が町工場の事務所のドアを叩くと、小柄な女性が出てきた。
「こんにちは、灯俊君。うちのドラ息子がお世話になってるわね」
出てきたのは朱璃の母だ。
「いえいえこちらこそ」
「そのドラ息子なら、いつもの所よ」
「ありがとうございます」
灯俊が向かった先に、朱璃がいた。
「できてるか」
「そんな吹替ハリウッドみたいな事言いながら入ってくるなよな」
ツナギを着て手袋とマスクをつけている。
「お前が頼んでたやつはできたぞ」
朱璃が小型アタッシュケースを持ってくる。
カチッと開けると中には金属光沢を放つパーツが敷き詰められていた。
灯俊はその内の一つを手に取り、工場の灯りを当てる。
「RGユニコーンの外装パーツとハンドユニットの鍍金だ。注文通りだろう?」
「ああ。恩にきる。今回はマジで追跡班から予算出てるからな即金で払えるぜ」
灯俊がパーツをケースに戻し、財布を取りだそうとした時朱璃が止めた。
「今度僕の機体を手伝え、それでチャラだ」
「あいよ」
灯俊がアタッシュケースを持とうとすると、朱璃がそれをかすめ取った。
「この後お前の家行っていいかい? 君の技術を盗みたいんだ」
「技術? ただのミキシングだぞ。お前の盗めるような技術は…………おい何が目的だ」
「本音を言うと妬いてる葵たんマジかわゆす」
「くたばれ」
後書き
ブレイクデカール殲滅戦の前置きが長いですが、個人的にはこれくらいはやっとかないとむりじゃね? って思います。
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