徒然草
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133部分:百三十三.夜の御殿
百三十三.夜の御殿
百三十三.夜の御殿
帝の寝床は東枕になっています。当然のことでありますが東に向けたその顔に朝日を浴びてそれで目覚めると実に気分がいいものです。ですからあの孔子も東枕にして寝ていました。そうしたことを考えていきますと寝床の間取りは東枕か南枕にすることが一般的でありまたよいことでしょう。ただし白河上皇は北枕で眠られました。北枕は演技が悪く南向きの伊勢神宮に足を向けて眠るのは如何なものでしょうかとある人が言ったそうですがこれは間違いです。伊勢神宮の神殿は南東に向いておりまして南ではありません。確かに北枕は如何なものかと思うのですが伊勢神宮は南向きではなく南東に向いていることはここで書いておかなければなりません。
白河上皇がどうして北向きに寝ておられていたかといいますと実際のところよくわかりません。やはりそこには何らかの御考えがあってのことでしょう。上皇は何かと難しいところもある方だったので色々と御考えがあったのだと思います。しかし自ら進んで北に枕を向けて寝るという人もいませんのでどうしてもわかりかねます。今となっては上皇だけが御存知のことです。しかしあえて申し上げるなら枕は東が一番いいです。それで起きるのが最も気分のいいものであります。少なくとも朝日を浴びて起きるということは一日の生活のはじまりを告げるものでもあり実に心地よいものではないでしょうか。そう思いながら眠り朝日で起きる。やはりこれは何とも言えない有り難くもあり美しくもあるものであります。
夜の御殿 完
2009・9・24
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