徒然草
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13部分:十三.ひとり、橙の
十三.ひとり、橙の
十三.ひとり、橙の
夜遅く誰もが寝静まった中で一人寂しく灯りを頼りに本を広げて昔の人々の考えを知りその友人となっていくことは安心することであるし楽しくもありもうそれで死んでしまいそうになる位に心が穏やかになるものであります。
私が読んだ本の中では中国南北朝梁という国の人である昭明太子の選んだあの文選や唐代中期の詩人であった白楽天の白氏文集やこれは何時の時代の人なのか今もなお実際のところはわからないのだけれど老子の言葉を書き残した老子、そして同じく荘子、これは荘周の書き残したものとされていますがこういったものが好きなのであります。我が国の昔の立派な方々が書き残されたものもまた心を湧き起こさせるものが非常に多いのであります。一人夜の中でそうした方々の本を読んでいく。静かでありますが非常にいいものであります。
古今和漢の書は夜にこうして灯りの中で静かに読んでいく。趣があるものであります。昼に読むのとはまた違った味わいがありまして。そのうえでかつての優れた方々と友人になれる、これまた非常に素晴らしいことであります。そうした本を一回だけでなく何度も何度も読んでいって友人を深く知りたいものであります。夜はただ寝るだけではなくこうした楽しみもありまして。ただ暗いから嫌だだの寝るだけだのというのはまことに味気ないものと存じます。
ひとり、橙の 完
2009・4・28
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