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人徳?いいえモフ徳です。

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三十五匹目

「お早う御座いますご主人様」

目を覚ますと、ティアと眼があった。

最近暑いのでひやっこいティアを抱き枕にしている。

「んー…おはよ、ティア」

先ずはティアに魔力を注ぐ。

50数個のコア一つ一つが魔力の貯蔵庫になっているらしい。

本当は週一でいいんだけど、僕は魔力にかなり余裕がある。

「んー……」

起きたくない…眠い……。

ティアのひやっこい体を抱き寄せる。

「ご主人様? 起きないと怒られますよ?」

「んー……それはやだ……」

体を起こす。

ティアは不定形でチュルンとベッドから下りて人形になった。

寝間着から着替え、ドアを開ける。

昨日大量に創ったアクリル系の服を着たティアがベッド脇でお辞儀をした。

「ではお待ちしておりますので」

「うん。今日は王宮にいくから」

朝食を済ませると、お婆様に準備するよう言われた。

今日王宮に行くのは僕とお婆様。

お母様はアカデミーに行くし、お父様は騎士団の詰所だ。

部屋に戻ってローブを来て、内側のポケットに諸々の薬品を入れる。

四割が媚薬、四割が魔法系傷薬、残り二割が魔力回復薬だ。

「ティア、行くよ」

「はい」

今日は馬車でいく気分らしい。

だいたい徒歩と馬車と七三くらいの割合だ。

それくらい、王宮と僕の家は近い。

ティアは不定形で僕の膝の上だ。

「気持ちよさそうじゃの、シラヌイ」

「はい。ひやっこくてきもちいですよ」

「どれ…」

お婆様がティアの表面に手を当てる。

「おお、これは夏場にはよいかもしれんのぅ」

「でしょ?」

ティアで遊んでいると、直ぐに王宮についた。

ティアが服のなかに潜り込んで、人型になった。

「ゆくぞ、シラヌイ、ティア」

お婆様のあとを二人でついていく。

衛兵はティアを見ても何も言わなかった。

お婆様と一緒なら大丈夫とでも思われたのだろうか。

お婆様すげぇ…。




お婆様と別れてボーデンの所に行くと、目を丸くしていた。

「や、ボーデン。これ僕のペット」

「ティアと申します。以後、お見知りおきを」

「スライム………………?」

「うん」

「待て待て待て待て…何をどうしたらこうなるんだ!? また訳のわからん異世界知識か!?」

「いや。これはそっち系じゃなくて、なんか、凍らせた時の俺の魔力で自我が芽生えたんだってさ」

「はい。ご主人様の仰る通りです」

「はぁ…まぁ、タマモ様がいいって言ってるならいいんだろうけどよ…」

「じゃぁそういう事で。あ、クーちゃん呼んでくるよ」

「おー」

シラヌイが出ていき、ボーデンとティアが残された。

「で、ティアって言ったか?」

「はい」

「シラヌイに何かしてみろ。コアごと火山にぶちこむからな」

「貴女こそご主人様をキズモノにしてみろ骨まで溶かすぞ」

「それが素か?」

「ご主人様の素でもありますが」

「へぇー…。なるほどそういう意味か…。ま、シラヌイにはちょうどいいお目付け役だな」

ボーデンとティアがシラヌイの話をしていると、シラヌイがクーコを連れて戻って来た。

「へー…本当に人形のスライムなんて居るのね」

クーコがぎゅっとシラヌイの腕を掴む。

「宜しく、スライムさん。私はクーコ」

「初めまして王女殿下。そこまでしなくてもご主人様をとったりしないのでご安心を」

「ちっちがうわよぉっ!」

「?」

はてなマークを浮かべるシラヌイ。

「ティア。僕とクーちゃんはそんなんじゃないよ。それに僕じゃクーちゃんの夫にはなれないかなー。もっと相応しい人が居ると思うよ」

「シラヌイー。いっとくけど貴族連中全員お前狙ってるからぜー。痴女には気を付けろよー?」

「何ソレこわい…」

事実、シラヌイの身分は王族ではないが王族よりも価値がある。

「まー。姫様達が見張ってるし大丈夫だろうけどな」

クーコがぎゅっとシラヌイの腕を抱く力を強める。

「シラヌイは私のよ!」

「それ絶対にシャクティと同じニュアンスじゃん…やっぱり僕はペット枠…はぁ…」













「ねぇ、シラヌイ。シャクティって、だぁれ?」
 
 

 
後書き
推薦の書類審査落ちた…。勝負すらさせてもらえないとか…。 
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